それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
スペクターとユノの対話、そんな雄々しい言葉を使ったしこれでも指揮官という彼女、こういうときはきちんと職務を全うする少女であったはずだった、が先制でスペクターにあれこれ問いかければ向こうは無慈悲にもバカの一言で斬り捨て、そこから始まったのは
「あ~クッソ、来て早々の人間に捲し立てるとかどういう神経してんだテメェ」
「そ、それは確かに悪かったけど、バカは無いんじゃないの?」
「少なくともあんな作戦ぶっ立てて実行するやつなんざバカ呼ばわりでもいいだろバーカ」
「ああああ!!またバカって、バカって言ったほうがバカなんだよ!?」
「おう、そうかよバーカ」
子供の喧嘩だコレ、ギャーギャーと言い合うその姿は何というか微笑ましい光景になっていた、言い合うとはいったが基本的にギャーギャーと騒いでるのはユノでありスペクターは非常に、本当に心底面倒そうにそれをあしらうと言った感じではあるが、それでも周りの人形たちも、そしてヴァニラとカリーナも初めて見るユノの本当に少女らしい行動に
「やっぱり、近い存在が居ると素面が大きくの出るのかしらね」
「思えば年齢が近い子とは殆ど接したことがありませんでしたわ、なので私達も初めて見ました、あんな子供らしい騒ぎ方をしている指揮官さまを」
人を人と見れず、マネキンとしてしか見れない彼女は今日まで年齢が近い人間とは会話なんて殆ど、もしかしたら全く無い少女であり、確かに人形となれば見た目やマインドマップなどでそういう存在は居るがそれは何かが違うので彼女にとってそれがいい刺激になりそんな反応を見せているのだろうとカリーナは静かに思った。
「あああ、もううざってぇな」
「それはそっちが私をバカバカ言うのが悪いんじゃない!」
「何度だって言うがな、指揮官っていうトップが自分の命をベットしてるって時点でバカじゃなけりゃあなんだってんだよ?」
ヤダ、凄く真っ当なこと言ってる、そんな空気が流れ始めるヘリポート、ぶっちゃけて言えば彼女が立てたあの計画を知ってたのはアーキテクトとVectorとウィンチェスターだけであり、他の人形たちは一切知らなかった、なので話を聞き、戻ってきたユノの右頬に痛々しいテーピングがされていたのを見れば、それはもう基地の面々から揃って何考えてるんだと怒られている、が
「だって、そこまでやらなきゃ話できなかったじゃん!!」
「オーケー分かった、テメェはバカじゃねぇな、大バカだなおい」
「だからバカじゃないってば!!!」
「ええい、もうよせ見苦しい……あの時は、済まなかったなスペクター」
流石にそろそろ止めないと延々と続きそうだなと言うところで副官が二人を止めに入り、それからスペクターに頭を下げる。
あれから彼女は思い詰めていた、ただ危険分子だから殺す、ユノの幸せのためにそれしか無いんだと思い込み彼女に何も知らせないで行ったことが、今に思えば間違っていたのではないかと。
ただ自分が失うのを恐れていただけで彼女の気持ちを何一つ考えてなかったのではないのかと、だからこそ頭を下げた、スペクターという少女の事情を何一つ知らずに、ただ無慈悲に殺そうとしたことを。
「頭上げろよ、アンタは何も間違っちゃいねぇ。あん時のアタシはこのバ「グルルル」……能天気を殺そうとしか考えてなかったからな」
「じゃが、その所為で危うくお主がこうして生きれる道を閉ざしてしまうところだったのじゃ」
「結果論だろそんなの、指揮官を守る、それがテメェら人形なんだろ、ならそれを守っただけだ。アタシには殺される理由もあった、だから謝んな」
何処と無く声に怒気が混ざっているように感じた、実際スペクターは苛ついていた、何か知らないが目の前のナガンM1895が弱気になっているのが許せなかった。
因みに、この反省は暗部全員に渡っていたりする、彼女たちもあのひだまりを失いたくないが故に少々タガが外れかけていたかもしれないと。
「分かった、この話は此処で終わろう。さて……指揮官、いい加減に機嫌を直すのじゃ、全くこれでコヤツの姉を自称するのかお主は」
「姉だぁ?いや、まぁ番号だけ見りゃあ確かに姉にはなるが……おい、『姉ちゃん』」
「(パァッ!!!!)何、スペクターちゃん!」
(あ、すっげーチョロいわこいつ)
お母さん……そんな悲壮感増々な呟きを娘組の誰かがしたが残念かなユノには元より呆れきっているスペクターにも届かなかった模様、ともかくたった一度の姉ちゃん呼びで機嫌を直した彼女はこの後どうするかを聞けば、PPSh-41が再度この基地でも検査がしたいと言うことで医務室に向かったのだが、そこにはそこで五月蝿いのが居たりする。
「いやぁ、あの時の蹴りがかなりいい感じに入っちゃってさ、お陰で今まで動けなかったんだよね」
「だからD08に飛んだのですが、まさか此処まで完璧に治療してくれるとは思いませんでした、とりあえず今日一日は安静に、明日からアーキテクト監修の元、戦闘行動の運転を行って下さいね」
「あの変態ハイエンド、アタシを治してくれたのは感謝してるが逆コーラップスとコーラップス技術にセーフティ掛けるわ、胸をこんなにデカくするわ、まぁ動きにくいってわけでもねぇから良いんだけどさ」
「私も急に大きくなってビックリしたなぁ」
この基地、あのドリーマーに良いようにされすぎてねぇかとスペクターは呆れるが口にはしない、一応あれでも恩人であり、そして自分もいいようにされた身なので突かれたくないのである。
こうしてスペクターはこの基地に迎えられ、ヴァルサー一家が案内するということになったのだが、
「なぁ、なんでアタシはあそこまで怯えられてんだ?」
「ヒャッ、あ、その、ち、違うん、です」
「駄目よ、シャフトは色々あって臆病なんだから、そんな怖い雰囲気を醸し出したら怯えられるに決まってるじゃない」
それを言われるとあ~と納得するスペクター、今までの生活が生活だったので警戒してそういう雰囲気を出してしまうことが癖になってしまっている、他の人形たちは修羅場を幾つも潜り抜けている者たちなので特に気にはしないが、シャフトは違う、唯でさえ人の顔色を伺いながらビクビク生きてきた彼女にはスペクターはちょっと相性が悪かったりする。
「まぁ、アタシもなんとか慣れるから、お前はお前でゆっくり慣れてくれとしか言えねぇよなぁ」
「は、はい……が、頑張り、ます」
その日、スペクターはこの基地を案内され、一日を終えるのだが深夜、彼女は用意された自室にて、ベッドに座り込み窓から月を眺めつつ
「なぁ、アタシはここであったけぇものを貰って、お前たちは許してくれるのか?ううん、ごめん、許さなくても良い、アタシはここでもっと色々貰いたいって思っちまった」
告げるのは彼女が救おうとして誰一人として救えなかった妹たち、アーキテクトの話では結局は専用の設備かナノマシンがなければ助けられなかったと聞き、どうあがいても救えないとは言われたがそれでもスペクターにはこれだけは自分が背負うべき十字架だと思っていた。
「キャラじゃねぇか、寝よ……おやすみ、妹たち」
翌日、自称姉を名乗るユノがおはようコールとともに強襲、ブチギレで追いかけ回すスペクターが目撃されたらしい。
これにてスペクター編、終了ですが明日もスペクターちゃんが主役かもしれないし名前を決めるかもしれない。
つまり未定ってことさぁ!!