それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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ノアちゃんはお菓子に釣られた


妹組の茶会

その日、ノアは何故かお茶会の席に居た、はっきり言えば彼女はこういうのが趣味なタイプではない、どっちかと言えばルピナスダミー四姉妹と遊んであげているイメージの方がすぐに思い浮かぶほどだ、と言うより既に何度か遊んであげている光景を目撃されていたりする。

 

そして本人も場違いすぎんだろコレと思いながらもテーブルに並んでいるお菓子の数々に目を奪われているのかチラチラとそれを見つめる仕草を繰り返す。どうして彼女がこの席に呼ばれたのか、誰から呼ばれたのか、その答えは彼女の前に居た。

 

「食べても良いんですよ?」

 

「美味しよ~?」

 

先ず彼女に声を掛けたのはG36CとUMP9、だがそれだけじゃなくて同じ様にお菓子に舌鼓しているのはスピットファイアと97式も居る、彼女らの共通点は妹という点、だがコレにははっきり言ってノアは待ったをかけたかった、自分は確かにあの能天気バカの後の存在だと言えばそうなのだが

 

「アタシはアイツの妹のつもりはねぇぞ」

 

「え、え、そうだったの!?」

 

「おい待て、何だおめェらもしかしてアタシがヤツの妹に甘んじてるって思って誘ったってのか?」

 

驚く97式にノアは若干キレながら聞けばそっと目を逸らされる、しかも言った本人だけじゃなくてその場全員からである、その反応にマジかよコイツラと思わず口元を引き攣らせる。

 

どうやら彼女らは盛大に勘違いしているらしい、確かにユノが困っている様子があれば一応話を聞いたり、向こうからお菓子を作ったのだなんだと言われれば食べるのは好きだからと着いていき、ユノの娘を自称するルピナス達に遊んでと言われれば適当に遊んであげたりとしているが、それはあくまで付き合い程度であり、断じて姉妹とかそういう枠組みからの行動ではないとクッキーを食べつつ更に熱弁する。

 

「大体だ、アイツ本当に指揮官なのかってくらいに抜けて過ぎやしねぇか?この間だって『身長伸びたし余裕余裕』とか言いながら棚の天辺から瓶を取ろうとして手を滑らせて額にぶつけてたし、あれアタシが瓶をキャッチしなけりゃそのまま踏んづけてコケてたからな?」

 

「あ~、なんか分かるわそれ、あたしのお姉ちゃんも戦場で大丈夫なのかなってくらいにのほほ~んとしててさ、朝に居眠りしてそのままにしたら夕食まで起きなかったってこともあるんだよ?」

 

「それもう何か異常が出てるのではと疑いたくなりますね……でも二人のお姉さんはそうやってのんびりしてていいですね、G36お姉さんは……」

 

「厳しいって感じですよね、でも指揮官さんと居るときの柔らかい時もあるのですよね?」

 

「それは勿論、その時のG36お姉さんは本当に優しくて……優しいのですが部屋の本を勝手に掃除するのはちょっと頂けないんですが」

 

声のトーンが重かった、恐らくは自分で分かりやすく置いてあった本のタワーを崩されたか、綺麗に整理整頓されて棚に戻されたということがあったのだろう、因みにそれはG36及びネゲブ基準だと乱雑に扱われていると感じだったので掃除されたのだが本人はそう思ってない、真面目に、そして本気であれは整理整頓されていたと思っていた。

 

その話の流れでではとなるのがUMP9とスピットファイアの二人、因みにノアの部屋は割と整理されている、と言うよりも何かを飾ったりは彼女から自発的にはしないでユノやクリミナ、もしくはルピナス達やアーキテクトが勝手に来てはあれこれ彼女と話しつつ飾って帰るということを繰り返すので何もせずにも部屋は豪華になり何故か綺麗になっていくと言うのが本音だったりする。

 

「私は何も言われないかなぁ、あ、でもベッドの上でお菓子食べるのだけは止めろって言われる、まぁ掃除大変だから納得できるけど」

 

「こっちは逆に75姉さんがガサツなので部屋を掃除しに行かないとごちゃごちゃしてる空間だったりすますね……いつも言ってはいるのですが」

 

困った姉さんですよと言葉はそう言っているが声はどことなく嬉しそうだった、聞けばCZ75も掃除はしているのだがスピットファイアがした方がもっとキレイになるのでそれを頼りにしている、と直接言われて頼られていることが少し嬉しいだとか。

 

その後も姉に関することを雑談していきながら茶会は進められるのだがふと突然、UMP9から

 

「ノアは、指揮官にはなにか思ってることはあるの?」

 

「んだよ突然、さっきも言ったが能天気すぎて……ああ、でも肝は座ってるやつだなってのは思ってる」

 

思い出すのは自分に手を差し伸べたあの日の出来事、殺意も憎しみも全てをぶつけ、更には銃口まで向けたというのに何一つ揺らぎもせずに自分を見つめてきたあの時の瞳、そのときだけは思い知らされた、自分はコイツには勝てないと。

 

実力云々ではない、意志の強さが違いすぎると、そう思い知らされた。

 

「だからこそ、アタシには今のアイツと、あの時のアイツ、どっちが本当なのか分かんねぇんだ……」

 

「どっちも、ではないでしょうかね。この基地で平穏に過ごしているのも指揮官ですが任務中には私も耳を疑うような声で指揮を受けますし」

 

「あれは驚くよね~、ほんの数時間前は普段どおりの声だったのが作戦開始とともに覇気が混ざったのに変わるんだもん、思わずそこに居るの誰だって叫んだくらいだし」

 

UMP9の様に、数人ほどは指揮系統が変わったと疑いを掛けるほどに声の質が変わるらしい、因みに本人は無意識に行っているらしく帰ってから聞いても

 

『え、そうかな。でもほら皆に怪我があったら嫌だからさ、自分ができることをしようって考えながら声を発してるって所はあるね』

 

「アイツらしい理由だな、でもそうか、アイツにはオメェらは人間に見えるから怪我一つでも偉い騒ぎになるのか」

 

「なるなる、一度腕が吹っ飛んで帰ってきた時は顔を青くしながら何度も謝られたからね」

 

難儀な眼してんな、そう思わずにはいられなかった。こりゃあ面倒になるし自分もできる限り怪我はしないように考えるのだがそれにしてはと同時に思ったことを口にする。

 

「アイツ、他人の怪我は気に知るくせに自分のことに関すると無頓着な感じするんだよな、アタシが付けちまった右頬の切り傷もそのままだし」

 

「何でも、あれはノアちゃんを救えた証だから気にしてないんだとか言って怒られたらしいですよ?」

 

「当たり前だっての……」

 

此処まで饒舌になると周りは思う、口では何だかんだ言っているノアはユノのことを少しは認め始めているのだと思えるくらいには、表情は相変わらずだがユノのことを語る彼女の口元は少しだけ上がっていたらしい。




基本的に美味しいものを提示すればホイホイ釣れるハイエンドモデルが居るらしい。

そろそろみらくるふぁくとり~でも考えましょうかね~

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