それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
そう言えば最近忙しくて『みらくるふぁくとり~』出来てないな、そんな事をふと思ったアーキテクト、そろそろ新商品でも作るかなぁとラボで考え始めた……のが四日ほど前。
今の彼女は設計図用の大きな紙を前にかれこれこの四日間、ラボに来ては唸るということを繰り返していた、まぁ端的に言えば
「浮かばん!!」
スランプである正確に言えば普段の開発は進んでいるし詰まってるわけではなく、みらくるふぁくとり~用のものがスランプに陥ってるという状況である。
と言うのも割りかしあのコーナーで作れるものは制限が大きい、別段映像に流したりしないこの基地専用というのならば何作ろうが余程じゃなければ止まられないのでD地区のドリーマーみたく鉄血人形ユニットタイプを作れるのだが、こと『みらくるふぁくとり~』はそれは待ったが掛かってしまう。
やはり他の基地に鉄血人形と言うのはあまりよろしくないのではというのが副官の考え、アーキテクトもそれは理解できるので禁止事項に触れないように今までも作っていたのだがいよいよネタが出なくなりつつあったのだ。
「(まぁ、別段ロボ系列じゃなければまだ出るんだけど~)でもロボ作りたいんだよね~、人形タイプのお手伝い防衛ユニットみたいなの~」
更に言えばハイエンドモデルクラス、だが人型は引っ掛かる、どうしたものかと考えるも煮詰まる、なので彼女は少しだけ視点を変えた。
確かに人型は難しい、だが極論を言えば手と足と胴体があればお手伝い防衛ロボは成立する、そこからまずはパソコンのモニターにイメージを幾つ持つ切り上げていく。
合体機構、ようは人形が着込むもしくは乗り込むタイプの物、更にAIR自立もできればなおよし……面白そうだが今回の趣旨に反するのと今からではデータが足りない、保留。
プラウダータイプ、前回も作ったがやはり身長という問題が大きい、今回は却下。
ダイナゲートをトランスフォーム出来るようにする、保留、コレは別のなにかに使えるものと考える。
ドラグーンが乗ってるあれをベースに自律行動させる、合体機構と変わらない却下。
「浮かばねぇ……困ったぞコレぇ?お、おおお!?」
コレ使えんじゃね?何かを見つけた彼女はそこから先程と同じ様にモニターにそれを書き写し、次にパーツ単位で作り上げて紙に写していく、それから材料や組み込むAIを決めてから、最後に
「やっば、私やっぱり天才なんじゃね?」
アーキテクト、かれこれ4徹目の出来事である。そして数日後、ユノを拉致して、ゲーガーも呼び出しいつものスタジオなのだがカメラマン役のFMG-9はタラタラとい冷や汗を流し
(おいおいおい、死んだわアイツ)
「……コレは何だ、ポンコツハイエンドモデル?」
「ポンコツなんてひっどーい、アーちゃんうさぎは君が他の基地でも、そしてこの基地でも更に馴染めるようにセッティングしてあげてるんだぞ~」
「おいコイツ眼がやべぇぞ」
そこに居たのはユノっちおねえさんと色違いの格好をしたノア、改め『ノアっちちゃん』一応その後にユノっちおねえさんとゲーガーにわとりから説明をされれば深い深い溜め息をついてから、ハッと目を見開いて
「待て、じゃあ何だ此処で今からやることを他の基地の連中に知られるってことか!?」
「あ~、そうなるよね~」
「ふっざけんな!こんなこっ恥ずかしいことやるのさえどうかと思ってるのに見られるとか何だ新しい拷問か!?」
「分かる、お前の気持ちは物凄く分かる……すまない、こんな上司で……」
ポンとゲーガーにわとりに肩を叩かれ何分かったことをと振り向いたとき、言葉が出なかった。何ていうか物凄く悲しい目をしていたのだ、悟ってしまったと言うべきか達観してしまったと言うべきか、ともかくそんな顔と眼をしていたのだ。
そして同時に悟った、アタシ多分こっからもう逃げ出せねぇなと、当たりである。無慈悲にも始めるタイトルコール、いつものノリのアーちゃんうさぎとユノっちおねえさん、もはやヤケクソ感満載なゲーガーにわとり、そして
「今回から新しいお仲間が増えたよ~、さぁご挨拶だ!」
「の、ノアっちちゃん……だ」
「えへへ~可愛いなぁノアっちちゃんっていったい!?胸叩くこと無いんじゃないの!」
「次余計なこと口走ったら覚悟しろよテメェ……」
「あ、はい。調子乗りました……そ、それと私とかノアっちちゃんとか色々あるけどまぁ気にしないでください!じゃあアーちゃんうさぎ、今日は何を作ったのかな?」
小声のはずなのに突き刺さるような声と視線に流石に反省したユノっちおねえさんはアーちゃんうさぎに進行を促す、向こうも向こうで徹夜明けテンションが行き過ぎたと思いつつ、パチンと指を鳴らせば
ガシャン、ガシャンという態とらしい足音がステージに響く、全員が音の方向を見れば
「ブフッ、クッ、クククッ、おま、それは卑怯だろ……!!」
「なぁおいコレ大丈夫なのか」
「アーちゃんうさぎ、その、これD地区の人達も見るんだよ?」
3人それぞれがそんな反応を見せた物、それはドラム缶ボディだった、それは手足も見るからにロボだった、それはとてもとてもも覚えのあるクラシックメイドを着ていた、それはなぜか頭部に当たる部分に2つの団子を付けメイドキャップもしていた、それはグポンという効果音とともに目を光らせてガシャンガシャンと彼女らの方へと歩いていた。
ノアっちちゃんは未だお腹を抱えて笑いをこらえ、ゲーガーにわとりは物凄く嫌な予感がしているということが分かる顔をし、ユノっちおねえさんも流石にコレマズイんじゃないかなぁと引き笑いをしているのだが、アーちゃんうさぎはガンギマッた顔で、眼で両手を広げて高らかにこの存在の名を謳う、祝え!これこそがハイエンドモデルクラスのマインドマップを持ち、禁止事項に接触しないようになおかつ万能お手伝いロボとして5徹目のアーちゃんうさぎが作り上げた凄いやつ
「その名も……『メカだいr「カメラ止めろぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ゲーガーにわとりの悲壮な叫びでこの日の収録は中止、後日、改めて同じメンバーでしたのだが
「え~、イマイチ記憶がないんだけどさ、コレ本当に私が作ったの?」
「お前以外に誰が居るんだ誰が……」
「アーちゃんうさぎ、しっかり寝ようね?」
「いやぁ、いつ見ても笑えるなコイツ」
徹夜決めすぎて記憶がないアーキテクトが見つめるのはデザインは変わってないが名前は変えた『めかめかメイドさん』、こんな見た目だがサイドアームからの戦闘やら掃除やら、何だったら足は歩けるしホバー移動もできる凄いやつ、問題はアーキテクトがどうやって作ったかの記憶がないという点だけ。
睡眠はしっかり取りましょう、その日のみらくるふぁくとり~はユノっちおねえさんのその言葉で締められた。
後日、アーキテクトはD地区の代理人さんにメチャクチャ怒られたとか何とか。
アーキテクト製品紹介コーナー
『めかめかメイドさん』
見た目は本編参照、性能も本編参照、ただ一つ付け足すとすれば戦闘はできなくないが前線と言うよりも防衛側、装甲は割とペラい。