それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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チュッパチャップスとか此処暫く舐めた記憶ねぇな


ダウナー系ショットガンガール

ミーンミンミン、どこから聴こえる蝉の声、今日も今日とていい感じに暑さを誇っているS09地区、そもそも元々はこんな四季紛いは無かったはずなのだがと懐から取り出したチュッパチャップスの包みを剥がして舐めているのは【AA-12】

 

「あっつい……」

 

額から流れる汗を拭いてボヤくもだからといって暑さが和らぐわけではなく、そのボヤキも蝉の声に塗りつぶされる。彼女は静かに決意する、今日の警備任務が終わったら基地のプールに行こうと、別に泳ぐつもりは欠片もないが、あそこに居るだけで暑さなんて消え去るのでそれで良い。

 

勿論、警備任務は彼女一人で行っているわけではなくその日のパートナーもいる、今日の相方は

 

「暑いよねぇ……」

 

同じ様に暑さに茹だれるのは【PP-19】その細身からは想像できない、と言う訳ではないがかなりのパワーを所持しており一部噂ではあのSPASとも張り合えるのではないかという話も出ているほど。

 

そんな彼女だが暑さは嫌いのようで今日はついてなかったなぁとも続けてボヤく、この基地の警備配備は何故かくじ引き、一応適正からのくじ引きなので全く駄目なところには当たらないがこういう暑い日に外の警備である正門前というのは中々にツイてないと言わざるおえない。

 

しかし文句を言う程ではない、更に言えばこの環境下じゃ大変だろうからとユノがアーキテクトに頼んで作ってもらった自走式温度調節スカウト【かいてきちゃん】が基地に配備されているので暑さのあまりに倒れるということは避けられるようにして、時には

 

「二人共、冷たい物の差し入れ持ってきたよ~」

 

「あっ、ありがとうございます指揮官」

 

「ありがと~指揮官、アイスと……コレ何?」

 

こうしてユノが自ら差し入れを持ってくることも多々あるのでそれを楽しみにしている人形たちも居り、二人もその一部だったりする。今回彼女が持ってきたのは手製のアイスクリームと先がすぼんだ形をし中にはビー玉が入っている不可思議な瓶の飲み物。

 

無論、二人も初めて見るそれに首を傾げるのでユノはコレはねと説明を始めた。

 

「これはラムネ瓶、その名の通り中身の飲み物はラムネっていう炭酸飲料だって一〇〇式ちゃん達が言ってた、何か偶々瓶が手に入ったから作ったんだって」

 

「へぇ、あ、ビー玉で圧迫して封をしてるってことなのかコレ。面白いこと考えてるな」

 

「つまり、このビー玉を押し込めばってうわわわっ!?」

 

PP-19が瓶に付属していたラムネ開けと呼ばれる凸型の器具でビー玉を押し込んだ瞬間、シュワッとラムネが溢れ出て慌てて口をするのを見て

 

「コレって封をする時にどうしても振るからこうなっちゃうんだって、っとと」

 

「微妙に不便、うわぁ」

 

二人も続けて封を開けるが結果は同じであり、ユノも慌てて口をして飲むがAA-12は半ば諦めたような顔で溢れ出るラムネを眺めてから、ゆっくりと口にする。

 

少々炭酸が抜けてしまってはいるが寧ろ結果として程よい感じになったラムネ、飲めば柑橘類の香りと甘酸っぱい感じ、そしてキンキンに冷やされたそれが喉を通れば

 

「ん~、最高だね!」

 

「暑さが和らぐ、アイスもあるしこれなら終わりまで頑張れるよ」

 

「この暑さは辛いからねぇ、じゃあ他の子にも配ってくるよ、頑張ってね二人共」

 

じゃあね~とアイスとラムネが詰まっているクーラーボックスを肩にかけて去っていくユノを見送ってから、ふと疑問に思った。

 

時間的にはまだ休みでも業務終了でもない、だと言うのに今しがた彼女はこうして差し入れをしてきた、もしかしたら思ったよりも早く終わって差し入れに動いたのかもしれないと思ったが何となしに引っかかり副官に通信を入れてみた所

 

《呵々、問題あったらそもそも執務室から動かさぬよ》

 

「それもそうか、疑うなんて私も酷いやつだなぁ」

 

《いやいや、分からぬでもない、してそっちは異常は見られぬか?》

 

「ないよ、じゃあ引き続き警備してるから」

 

どうやら問題なかったらしい、という事でその後は特に何かあるわけでもなく警備の業務を終えたAA-12は冒頭に決めた通りプール施設に居た、姿は勿論水着である。

 

泳ぐというわけではなく、プールサイドのチェアーに腰を深く掛けてグデ~としている、パシャパシャと他の人形たちの泳ぐ音、いつの間にか増設されていたウォータースライダーから誰かが滑り落ちてバシャーンと言う音、それらをBGMにウダウダとする、それがこの暑い季節での彼女の至福の一時。

 

(あ~、最高。この基地こういう施設にも力を入れてるところで良かった……)

 

しかもセルフとは言え此処では飲み物も常備されているので更に彼女をダラケさせて居る要因になっている、業務さえきちんと終わらせ、時たま起きるスクランブルに警戒しなければいけないのはあるがそれでも破格は白さであるとAA-12は考えてもいる。

 

至福な一時を噛み締めるように堪能しているAA-12、そこに声を掛けてきた人物が居た。

 

「あら、こんにちはAA-12」

 

「んあ?PPKじゃん、ああ、クリミナのほうが良い?」

 

どちらでも宜しいですわよと現れたのはクリミナ、だが彼女が泳ぎに来たという感じではないなと思ったので聞いてみれば、そっとプールの方を指差されて見れば

 

「ハッハッハ!!このサメアーキテクト様に追いつけるわけ無いだろ!!」

 

「何あのフザケタ速さ!ちょっと、もっとこう水中用の物生成できないのノア!」

 

「ばっかお前無茶言うなよ、元々アタシは飛ぶ以外は武器しかねぇからな!?」

 

いつぞやのシャークスーツを着込んでプールを爆進するアーキテクトをなんとか追いすがろうと泳ぐルピナスとノア、だが無論追いつけるはずもなくなにか作れないのかと言うがノアの言葉通り、水中のことなんて考えられてるわけないのですぐには生成できるほどには思い浮かぶはずがない。

 

「これがプール……浮かんでるだけでも楽しいって不思議だねお母さん」

 

「でしょ~、私もこの体になってからは初めてだけどやっぱり泳げるって気持ちいなぁって思うよ」

 

「このアヒルボートも良いものです、今度モーター付けてみたい」

 

また別のところでは浮き輪を使ってプカプカ浮かぶシャフトとそれをゆっくり引っ張るユノ、その隣をアーキテクト手製のアヒルボートの上で丸まりながらプールを楽しむステアー、どうやら家族全員出来てクリミナはいざという時の待機らしい。

 

だがそれじゃあ折角一家で来た意味ないよなぁと気を利かせたAA-12は

 

「泳がないのか?せっかくなら全員で楽しんだほうが良いじゃん?どうせ私は此処で暇してるし何かあったら動くよ」

 

「宜しいのですか?そちらこそ休んでいたというのに」

 

「別に、眺めてるのも好きだから」

 

どこからかチュッパチャップスを取り出して舐めながら彼女は家族の所に向かったクリミナを見送る、楽しげな彼女らを見つめAA-12はただ一言

 

「平和だなぁ」

 

明日も頑張ろ、そんな事を思うAA-12であった。




という事で交換できてもらいましたAA-12ちゃんです、水着は引き当てました。彼女の声が結構可愛くて好きなんですよね~。

因みにPP-19は二週でお向けできました、奇跡かなって思う。

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