それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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ノアちゃんはアウトロー時代で一度だけ呑んでたりする。


背伸びしたいお年頃

深夜、本来であれば利用者は居ないはずの食堂の一角、冷蔵庫が置かれている台所から微かな光が漏れていた。

 

そこに居たのはユノによく似ているが目の色や髪の長さと色が違う少女、『ノア』は冷蔵庫をガサゴソと漁っているのだ、自室にも個人の冷蔵庫があるこの基地なので夜食というわけではないとは思われる、では何を探しているのか。

 

「食堂にも置いてねぇのか……」

 

どうやら目的の品は見つからなかった模様、落胆の声と息を吐いてからこれからどうするかなぁと思考を巡らす、が此処で無いとなると他にありそうな場所なんて浮かばねぇぞと思う。

 

そんな彼女の探しているのは……

 

「どこにあんだ『酒』」

 

ノア、少しだけ背伸びしたいと言うか悪ぶりたい少女である、なぜ急に彼女がお酒を探しているのかと言えば、実を言えばたった一度だけだが呑んだことがありその味が忘れられなかったからというのが一つ。

 

もう一つはあの時呑んだのはとても美味しくなかったのだが、聞けばこことかで呑めるきちんとしたのはとても美味しいという話をM16から聞いて興味が出たというのもある。

 

「だがどこにもねぇんじゃ確認しようがないぞ……失敗したな、これならM16に聞いときゃ良かった」

 

しかし今の時間ではあのM16とて任務でもなければ寝てしまっているだろう、となれば自力でなんとか見つけ出すしか選択肢は存在しない、だが先程も述べたが彼女は考えられる場所はもう無いので正直に言えば手詰まりな状況なのである。

 

結局、彼女はその日は諦めて床に就くことにした、そして翌日の朝、この時間帯ならば此処に居るだろうと言う場所に向かえば目論見通りにその人物が居るのを確認、ノアはよしよしと思いながら

 

「なぁM16、一つ聞いていいか?」

 

「ん、ノアじゃねぇか、答えられるものなら良いぜ」

 

「酒が呑める場所」

 

「オーケー、その話は一旦中断しようか」

 

「なんでだよ!!いいだろ、アタシは呑んでみたいんだよ!」

 

「いやいやいや、駄目だ、酒は大人になってからだからな」

 

バッサリ斬られるも食い下がるノアだがM16はあしらうように言葉で躱す、その態度にノアは更に食い付くことになるがM16は決して口を割らない、そしてこのやり取りは割と騒がしいので

 

「ノアちゃん、どうかしたの?」

 

「あ?何だよお前か……あ、いや、おい『姉ちゃん』この基地で酒が呑める場所知らねぇか?」

 

彼女としてはこうすれば絶対にしゃべるだろう、そう思って姉ちゃんという単語を使ったが向こうの態度はノアが思ってたような感じではなかった、ユノは最初こそ『姉ちゃん』と呼ばれて何が聞きたいのかなとニコニコ笑顔だったのだが酒が呑める場所という質問内容だと知った瞬間、うーんと悩んでから

 

「聞いて、どうするの?」

 

「そりゃあ勿論、呑むに決まってんだろ」

 

「じゃあ駄目かな。ほら、お酒は二十歳からって言うじゃん?」

 

「オメェもそれを言うのか、そもそもこんな世界でそれ守ってる奴いんのかよ、あとなアタシたちにはエアハルテンだっけか、アレのお陰で呑んだところで悪影響なんて出ねぇっての」

 

「……え、私酔うんだけど」

 

ユノの言葉に疑問符を浮かべるノア、それもそうだろう、今のユノには既に投与されていないが自分たちには体の状態を維持する役目を担っているナノマシン『エアハルテン』の存在があり、基本的にそれはアルコールとかでも問答無用で無効化する筈、なので酔うというのは本来であれば無いはずなのだ。

 

だがM16は知っている、グデングデンに酔っ払うことを、それも数杯とかではなくたった一杯、それも酷い時は一口でグデングデンレベルに酔う、なのでその事を伝えてみれば

 

「嘘だろ、アタシなんか一度だけ呑んだあの時なんか一瓶丸々呑んでも何もなかったぞ」

 

「お、何だよそれ先に言えよ、お前呑める口だったのか」

 

「いや、駄目だってM16!いくらナノマシンの効果があったとしても今のノアちゃんが大丈夫な保証無いんだよ?」

 

「心配性だなオメェ、たかが酒だろ、それに今もエアハルテンは投与してんだ、味を楽しむくらいは良いだろ」

 

言うじゃねぇかと何故か急にテンションを上げて意気揚々と酒が呑める場所を教え始めるM16とそれを聞いてBARの存在を初めて知ってそんな所あったのかよと嬉しそうに笑うノア、そしてこの二人をどうやって止めようかと悩むユノ、確かにエアハルテンもあるし自分よりもハイエンドモデルとしての体になっているとは言え人間であることは変わらない。

 

PPSh-41から教わっているが未成年である自分たちの体で飲酒は悪影響が出やすいらしい、なのでノアも自分と変わらない年齢であるのならば誤飲ならまだしも自分の意志で呑むのは止めなければならない、なぜなら

 

(私は、お姉ちゃんだから!)

 

その日の夜、BAR。そこには上機嫌でジャックダニエルを呑んでいるM16、お姉ちゃんなのに、お姉ちゃんなのにと繰り返しながらオレンジジュースを飲むユノ、そして同じ席では

 

「っかぁ~、なんだよ酒ってこんなに美味かったのか!!」

 

とても輝かしい笑顔でグラスを空にし感想を述べるノアがそこには居た、因みにかれこれ数杯目である、だと言うのに姉を自称する彼女とは違い顔は全く赤くならず、寧ろこれをジュースかなにかを勘違いしているのではないかという勢いで呑みきっている感じまである。

 

そう、見ての通りユノはノアを止めることが出来なかった、止めようと努力はしたのだがハイテンションでブレーキが掛からなくなった二人を止めることは叶わず、だがせめて呑みすぎないようにとことで着いてきたのだが恐らくはそれすら叶わないだろう、と言うのが分かるほどに彼女の呑み方は速度が早い。

 

「ねぇ、あまり呑みすぎないようにね?」

 

「何だよまだそんな事言ってんのか?あの時も言ったが問題ねぇっての」

 

「そうは言ってもさ……あれ、ペーシャちゃんに此処に来てるって言ったっけ?」

 

「指揮官が伝えてあるんじゃないのか?」

 

え、となる二人、それを気にしないでマスターであるスプリングフィールドにおかわりを要求するノア、スプリングフィールドはスプリングフィールドで大丈夫なのかなと思いながら普通に出しているのでペーシャに怒られる時は一緒に怒られると思われる。

 

結論だけで言えば、PPSh-41が来たがノアの体質上問題ないですよと伝えたので怒られることはなかったが流石に15杯目に突入する所でユノが全力阻止された模様。




ノアちゃんはユノっちと違い、基本的に酔わない、ガンガン呑んじゃう、止めないといつまでも呑んでそうな勢いがある。

いよいよ本当の一周年が目の前なんやなって

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