それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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例えクローンだとしても彼女たちは三つ子の姉妹、ならば誕生日は同じでもよいじゃろうて


ハッピーバースデー!!

乾いた炸裂音、それを聞いた瞬間のノアの動きは常人のそれを遥かに上回る速さだった、即座に少し前の能天気バカ(ユノ)の首根っこを掴んで自身の背後に回し、間に合うか分からねぇがと悪態つきながら生成時間が比較的短い【97式散】のシールドを展開、せめて自身の頭だけでもと構える、が

 

(……あ?何も来ねぇぞ?)

 

「く、首ぃ……」

 

「あ、わりぃってじゃねぇよ、オメェ少しは警戒心ってのを持てっての!」

 

「基地に居るのにそこまで必要じゃないよ、何かあったら流石にもっとこの基地は騒がしくなるし……」

 

そんな半ばコントみたいなやり取りをしていると食堂の電気が付き、彼女らの眼に広がった光景は数々の料理、更に妙に力が込んだケーキもあれば部屋中にコレでもかと装飾が施されている、何だこれと疑問を浮かべる間もなく次に

 

『ハッピーバースデー、指揮官、ノア!!』

 

聞こえたのは自分たちを祝福するかのような言葉、だがそれがどういう意味なのか知らない二人は目を点にして彼女たち、この基地の仲間たちを見つめれば手にはクラッカー、どうやら先ほどの乾いた炸裂音の正体はコレだったらしい。

 

だが向こうも向こうで二人の状況を見て何があったのかという顔をしている者も居る、が副官がすぐに理解して苦笑いを浮かべつつ

 

「呵々、そうかそうかクラッカーの音は今日が初めてじゃったか」

 

「ったく、何だこれ無駄に驚かせやがって」

 

「ハッピーバースデー?」

 

「ふふっ、ようは誕生日おめでとうってことさ」

 

聞き覚えのある、だが同時にこの場に居るのは殆どありえないと言える声に振り向けばそこにいつから居たのだろうかペルシカの姿、コレにはユノは大層驚いた顔をしてから

 

「来てたんですか?」

 

「ああ、今日は後見人をしている君たちの誕生日、だから少し動いてみたのさ……おめでとう二人共」

 

「いや、その誕生日ってのは何だよ」

 

そこからかとなりそうになったった所でユノが漸くそれの意味を思い出す、誕生日書いて字の如くの催し物、自分らがこの世に生を受けた日を祝うもの、と言うことをユノとペルシカから聞かされれば難しい顔をしてから

 

「んなの、オリジナルの誕生日だろ、アタシたちは……」

 

「バカを言うな、クローンなど関係あるか、お主らがあやつから生まれてきたのならばお主ら全員姉妹じゃ、しかも三つ子のな、なれば誕生日が同じでも不思議ではあるまいて」

 

「おばあちゃん……え、じゃあエルフェルトが言ってた18って私の年齢?」

 

「やっぱりエルから漏れてたじゃん!!」

 

「隠せてなかったんですか!?」

 

ワイのワイのと急に盛り上がりを見せ始めた会場にやれやれとため息付く副官、そこでクリミナたちも前に出てきて先ず彼女らに改めて誕生日おめでとうと告げてから、同時に今日まで隠して挙げ句寂しい想いをさせてしまったユノに

 

「ごめんなさいユノ、隠してたのはこの事でしたの」

 

「皆で準備してたんだよ!」

 

「シャフトの飾り付けはどれも綺麗です」

 

「ステアーだって、ケーキ頑張ってました」

 

因みにこの皆とは今そこでノアとユノに絡まんと動き出しているアニスたちも混ざっている、こういう時の連携はとても頼もしく、更に言えば母親であるユノに褒められるのもそうだが、最近ではよく遊んでくれるという理由でノアにも懐いており

 

『褒めて褒めて!!』

 

「うおっとと、ああクッソ、最近遊んでも言わねぇから嫌われたかと思ったが……何だよ泣かせるじゃねぇか」

 

あ、こういうの弱いんだノアってと周りが思うのも気にせずにアニス達を一人ひとり抱きしめたり頭を撫でながら思わず涙ぐむ彼女、無論AR小隊も、G36もヴァニラも、皆が一人ひとり彼女らに祝福の言葉を掛ける。

 

そうして全員言葉をもらってから、ペルシカがなぜ此処まで来てくれたのかと聞けば

 

「まぁ私はさっきも言ったけど個人として君たちを祝いたいと思っただけさ……君に『お母さん』と呼ばれといて来ないのもどうかと思ったしね」

 

「あ、あれは忘れてくださいよ!?」

 

「なんだ、おめぇコイツを母親と思ってんのか?」

 

「事故!事故だから、あ、いや、全く思ってないわけじゃないですけど」

 

いやぁ面白いし可愛いなぁこの娘と笑うペルシカを見てからかわれたと気付いたユノは怒りながらも、ただ心の中では割りかし本気で思ってる部分もあるので笑顔になる。

 

ともかく、折角用意した料理が冷めせてしまうというのと、いつまでも主役を立たせているわけにも行かないと二人を定位置に座らせてから、先ずはとケーキにロウソクが18本立てられ火を点ける

 

「……で、どうすんだこれ、食べんじゃねぇの?」

 

「誕生日ケーキと言うのはコレが決まり事みたいなものじゃ、確か意味はしっかりとあるらしいがな」

 

「年齢分の本数を一息で消すことによって願いが叶う、と聞いたことがありますわね」

 

「願い事ねぇ、オメェはなにかあんのか?」

 

「うーん、また誕生日がこうして開けますように、とか?」

 

欲があるんだかねぇんだか分かんねぇなと笑いつつノア自身もあるのかと聞けば彼女は即答できずに悩む、思えばこうして何かを願うと言うとなればついこの間までの、隣の能天気バカ(ユノ)を殺すことしか考えてなかったとなり、だからこそいま思いつくものを考えてみるとあら不思議、自分も次の誕生日を迎えたいという願いだった。

 

「同じ、か。はぁ、能天気バカとか言ってたくせにアタシも変わんねぇってことかね」

 

「それでいいのではないでしょうか、もしかしたらこの先変わるかもしれません、ですが今願えるモノがあるというのは大事だと思いますわ」

 

「そういうもんなのか?まぁいいや、さっさと火を消して食べねぇか?」

 

「だね!」

 

因みに、いや、彼女ら的にはそれなりに重要かもしれないが誕生日ケーキはユノとノア『一人ずつ』に『ワンホール』である、彼女二人の普段の食事を見れば納得の行く配慮ではあるが何も知らないものが見れば新手の拷問かとも思える光景ではある、なんせ料理はケーキだけではない、和洋中、古今東西様々な祝い者の料理が食堂には並んでいるのだ。

 

だからこそ、ペルシカの引き攣った顔も無理はないだろう、彼女らの普段の食事なんて聞いたこと無いのだから。

 

「いつもこんな量なのかい?」

 

「む?まぁたしかに普段よりは多いが、あの二人ならば難なく食べるじゃろうて」

 

「えぇ……」

 

こうして始まった誕生日パーティー、細かく書く必要はないだろうがただ一つ、今日のことは彼女二人にいつまでも忘れることのない大事な、本当に大事な一日の一つになったということは書いておく。

 

所で、誕生日と言えばプレゼントなのだがこれは二人にそれぞれ色違いのブレスレットが送られたらしい。




これ一周年記念話とかマジかよ、内容普段と変わってねぇじゃん(白目)

という訳で本日の更新で気付けば自分でも第一目標でした365日連続更新達成となりました!これも読者の皆様の応援などなどのお陰であり、自分でも達成できたことが驚きであります。

今後の目標とかは特にはありません、と言うよりこれからも今日までと変わらずに出来る限り日刊でのんべんだらりと書いていきたいと思いますのでこれからもよろしくお願いいたします!!

次回予告
ノアちゃん「……どこだここ」

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