それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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まぁた世界線飛んだぞ

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コラボだよ!!お相手は『いろいろ』様の作品『喫茶鉄血』です!


ジャンピングインザワールドライン

あの誕生日からそれなりの日数が経ったある日、本日の物語の主人公であるノアはD08基地にてドリーマーからの定期診察(と何故か揉まれる胸)を終えて、帰る前の休憩を挟んでいた。

 

「やっぱりその飛行ユニットのデータを取れるのは助かるわねぇ」

 

「それはいいんだけどよ(ングング)その、妙にいやらしい手つきでアタシの胸揉むのやめねぇか?なんだか、妙な気分になるんだが」

 

「い や よ」

 

うーん、コイツと思いながらも恩人だしとその言葉を飲み込んでパンケーキを頬張り味合う。それから今は共に来た医務長PPSh-41に診察を受けているこの基地の人形でありそして妊婦でもある417を思い出しつつ

 

「そういや、生まれたら此処は前線じゃなくなるんだっけ?」

 

「正確には此処より後ろにできる施設に異動ね、カフェを開くらしいわよ」

 

「カフェ……そういやウチの能天気バカが別世界のカフェの話ししてたな」

 

「あら、それなら417達も行ったことあるなんて聞いたことあるわね」

 

聞けばこの地区にあるとある路地裏、そこを通ると別世界に繋がりそこにはとある喫茶店があるという話、そしてその喫茶店の名前は『喫茶 鉄血』

 

普通であれば何を言ってるんだということになりそうだがノアはそうはいかなかった、なぜならばその喫茶店の名前は能天気バカ(ユノ)から聞いたのと全く同じだったからだ。

 

「この基地の三人、それと能天気バカ、合わせて四人の証言があるってんなら……」

 

「まぁ、ありえないとは言えないわよね~」

 

奇妙なことがあるもんだと思いながら気付けば追加されていたパンケーキを頬張りつつ、いいのかと聞けばどんどん食べてくれと言われてそうかとなるノア、彼女が定期診断に来ると決まって餌付けのごとくスイーツとかが振る舞われる。

 

それから暫くPPSh-41を待っていたのだが、戻ってきた彼女は

 

「すみません、少し私は此処に残ります、恐らくですがそろそろだと思われますので」

 

「ん、じゃあアタシは適当に飛んで帰るわ……あっと、あんま無理すんなよ、特にほら417とかヴィオラとかもういつ生まれても可笑しくねぇんだろ?」

 

「ありがと、ノアちゃんもね」

 

「気をつけろよ、飛んでるからって絶対に安全じゃないんだからな」

 

417とヴィオラの言葉……だけではなく妙にこの基地の面々からそういった言葉を掛けられれば顔を赤くしながら大丈夫だってのっと伝えて、彼女らに別れの挨拶をしてから腰に補助ユニット、背中に例の翼のような飛行ユニット、それから頭部にはバイザーを生成して勢いよく飛行を開始、だが今日は真っ直ぐに帰らない

 

《寄り道?》

 

「ああ、少しだけな、そんなに時間を掛けるつもりはねぇ」

 

《うん、分かった。だけど夕食までには帰ってくるんだよ?》

 

「んなに遅くなんねぇっての、じゃあな」

 

この通信から数分後、彼女は417から教えてもらった座標、例の都市伝説の路地裏前に来ていた。見た感じはなにもない、バイザーの暗視モードでも異常などは見られない。

 

所詮は都市伝説だったかと思いながらその路地裏に入っていき路地裏を抜けた時、異変が彼女の前に広がった。そこは廃墟の街ではなかった、そこは荒廃した世界とは思えないほどに人が賑わいを見せ、無いより文明の破壊なんてものが欠片も感じさせない空気だった。

 

更に言えばバイザーは現在地を記してくれるように出来ているのだがそれがエラーを吐いている、詰まる所

 

「……どこだ、ここ」

 

役に立たなくなった頭部のバイザーを分子崩壊させてから後ろを向く、そこには恐らく自分が出てきたと思われる路地裏、だがその先はあの街ではない、それから前を向けばフワッとしたいい匂いと同時にそこには一軒の建物が、どうやらこの匂いはこの建物から出てきているらしいがノアはそれどころではなかった、なぜならその建物の看板には

 

【喫茶 鉄血】

 

どうやら、彼女も世界線を飛び越えてしまったらしい、んな馬鹿なと思いたくなるノアだが状況証拠が揃いすぎて否定できない、しかし此処まで来てと思った彼女はゆっくりと喫茶店の扉に手をかけて開ければ店内にはそれなりの人数の客と

 

「いらっしゃいませ、お一人様ですか!」

 

「……え、あ、え?オメェ、代理人、んんんん!?」

 

彼女のを迎えたのは確かに代理人だ、だが彼女が知っている代理人像とあまりにかけ離れており、思わず思考がショートしかける、だが別世界だと仮定すれば代理人の性格が違っても不思議じゃねぇか?と無理やり結論づけようとした時、いよいよ彼女のキャパが悲鳴を上げる。

 

「もしかして、ユノちゃん、ですか?」

 

「あ?」

 

カウンターから驚いたような声、見ればそこにも代理人、なるほど、訳が分からん、半ば茫然自失の様子を晒すノアの感じに何かを察したこの喫茶店のマスターである代理人は自身のダミーである【D】に彼女をカウンター席に通すように指示、座ったのを確認してから

 

「もしや、貴女は別の世界のユノちゃん、でしょうか?」

 

「あ~、アイツを知ってるってことはマジでアイツが言ってた別世界の喫茶店ってことか……その様子だと深くは聞いてねぇか、それともアイツもまだ知らない頃か」

 

その言葉にん?となるマスター、正直言えばこんな平和な所で話す内容じゃねぇがと思いつつも話さなきゃ面倒になりそうだしと自身が持たされ、一度だけ共に撮らされた写真が入った端末を見せながら

 

「まぁ、アタシとアイツは同じ世界から来てる……ちょっと事情があってな。んでこれが今のアイツ」

 

「そ、育ちましたね」

 

「本当に何も聞いてねぇって感じか。言っちまえばアタシらはクローンだよ、多分この世界にいる【ユノ】から生み出されたな」

 

「!?」

 

出来るだけ小声で、周りのそういうことには縁もないだろう客には聞こえないように呟いてから、コレ以上はいらないかと今度はユノの近況と自分についてを話す、結婚式後から出会ってないマスターからすれば色々と驚きが多い話だが、彼女は落ち着いて聞き、時にはノアにケーキを差し出しながら相槌を打っていく。

 

話を終えたのはこの喫茶店に来てから数十分後、思ったよりも語っちまったという感じに時計を見るノア

 

「わりぃ、忙しいのにあれこれ語っちまって」

 

「いえ、ユノちゃんの今が分かってとても有意義でしたよ、幸せそうで何よりです」

 

「まぁ、あの能天気バカ(ユノ)が真面目な時はだいたいヤバいって時らしいけどな……んあ?」

 

チリーンという音が彼女の耳に届いた、が振り向いてもそして店内にある時計からでもない、そして何より周りの誰もが今の音は聞こえてないとばかりな反応である。

 

「もしかして、鈴の音が聞こえましたか?」

 

「アンタもか?」

 

「いえ、ですが前にユノちゃんが来た時もそれが聞こえて帰られましたので」

 

なるほどと納得してから、ああと感じた。今ならば空に向かって『飛べば』帰れるだろうなと、いや帰らなければならないと。

 

時間が来たのだ、だがこの世界の金なんてねぇぞと思っているとマスターがニコリと微笑んで

 

「代金は今の会話で十分です、ああ、ですがユノちゃんに伝えてください、今度はご家族皆で来てくださいと」

 

「……ああ、しっかり伝えといてやるよ、じゃあっと!?」

 

喫茶店の扉が開かれ、入ってきたのは仲の良さそうな家族、だがその家族を見た時ノアは驚きの表情を見せた、それは向こうも同じである、特に母親と思われる女性はすぐそこに居る娘と目の前のノアを何度も見比べて

 

「ユノ、なの?」

 

困惑と、何かを察した声で母親、この世界の【レイラ】が問い掛ける、がノアは答えずに笑ってから娘であるこの世界の、そして自分たちの【オリジナル】である【ユノ】に近づいて膝を折ってしゃがみ込んで

 

「なぁ、母さんや、皆のこと、好きか?」

 

「え、うん、大好きだよ!」

 

屈折のない笑顔、心からの言葉、子供らしい一直線な声にノアはそうかそうかと頭を撫でてから、一瞬だけ悲しいと羨ましいという感じの表情をしてからこの世界のユノに

 

「その気持ち、ずっと持ち続けるんだぞ……アタシや、アイツみたいにならねぇようにな。何時までも幸せにな【オリジナル】」

 

「オリ……ジナル?え、そ、それって!」

 

「アンタもだ、この娘から目を離すなよ、後悔したくねぇなら絶対に一人にすんなよ!!」

 

困惑するレイラからの言葉は聞かずにノアは二人の間をすり抜けて店から外に出ようとしてから、彼女は少し立ち止まってから手のひらに何かを生成、それをマスターに放り投げた。

 

突然のことに少し慌てながら受け取ったそれは拳大の青い宝石【サファイア】

 

「代金だ、やっぱり受け取っとけ!」

 

顔はマスターからは見えないが今のノアは物凄く清々しい笑顔をみせていた、そして今度は止まらずに店から出た彼女は後を追ってきたレイラ達を見ることもなく、そしてすれ違ったこの世界のレイラの副官である【ナガンM1895】にも言葉を掛けずに力いっぱいに跳躍、補助ユニットやら翼のような飛行ユニットを展開して、頭部バイザーも装着してから

 

「マスター、ケーキ最高に美味かった……じゃあな!!!」

 

フルスロットルで飛行を開始、晴天の空に吸い込まれるようにノアは消えていった。

 

暫く飛んでいるとバイザーのGPSが再稼働、現在位置は先程の街から大して離れていない距離の上空、時間はと見れば3分と経っておらず

 

「まるで、夢見てぇだったな……ってあ」

 

何かを思い出してジャケットを漁るが見つからない、うわやっべとボヤく彼女、何を忘れていったかと言えば

 

「あら、これ」

 

「さっきの娘の端末、ですよね?」

 

喫茶店に置いてきたようだ、やっちまったなぁと思いつつもまぁいいかと開き直った所でユノから

 

《の、ノアちゃん、どこ行ってたの!?反応がロストしたってFMG-9達が慌ててたよ!?》

 

「あ~、あれだ、喫茶店に行ってた」

 

《喫茶店?あ、もしかしてマスターさんに会ったの!?》

 

帰ってからこの事を話し、ついでで端末置いてきたと伝えたのだがそこはきっちり怒られた模様。




という訳でノアちゃんも無事に世界線ジャンパーの称号を獲得しました、しかも端末まで置いていくとかまた世界線の穴を固定するような真似しよってからに……

てかノアちゃんバンバン情報漏らしてるけど君それ良いの?(震え声)

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