それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
指揮官であるユノの仕事は当たり前ながら執務室にて書類整理をするだけではない、時には作戦行動中の部隊の指示、コレは滅多に無いが本社に呼ばれれば向かったりもそれに含まれるが本社に呼ばれる時は大体がヘリアンかペルシカに呼び出されたということだけであり、この基地から指揮官が定例会議のようなものに呼ばれるということはほぼ無いと思ってくれていいだろう。
しかし、その代わりというわけではないがこの基地ならではの仕事が彼女には課せられている、ここ最近では描写することが殆どなかったが故に忘れられていそうだがユノの眼は
「……平和、かな?」
「S09地区だけという括りにすればですけどね指揮官さま」
今彼女が居るのは基地の地下に作られた特殊戦術室、そこではS09地区のマップがデカデカと表示されており、カリーナが見てるだけでは何も分からないがユノからは確かに鉄血の反応がそこかしこに表示されておる、が今日はどれも動きらしい動きが見当たらない。
分かるのならば襲撃をして殲滅をすればよいではないかと思われそうだが、下手に刺激して他の集団が動き出したりとかがあり得なくはないため本社からの指示、もしくは向こうが動き出してそのルートが街や他の基地に襲撃だなと分かるまではこうして監視に留めている。
コレが数日前までの彼女の仕事内容だったのだが、今日珍しくヘリアンから通信が来たのだがその内容が
「S09だけではなく、S地区の監視」
《ああ、実は本社内からそれが可能ならばさせるべきだという声が日に日に大きくなっててな、私としては一人にかける負担が大きすぎると突っぱね続けてはいたのだが……》
「いよいよそれも難しいということじゃな?まぁ確かにここ最近のS09は静かなものじゃ、それで指揮官の存在価値に疑問を覚えた奴らが騒ぎ出したということじゃろ」
《その通りだ……すまない、私の力不足だ》
謝られば悪いのはヘリアンさんじゃないですよと慌てるユノ、それから別に構わないがすぐには難しいと告げたのだが
「何か考えがあるのか?」
「アーちゃんを頼ろうかなって、一応考えはあるんだ、じゃあ行ってくる」
「む、お、おお……何を考えておるのじゃ?」
その時のユノの表情は、どことなく覚悟を決めている、そんな顔だったが副官が止める間もなく彼女は執務室を出ていってしまった。
場面移して、ユノが向かったのはアーキテクトのラボ、ノアがこの基地に来たことでコーラップス関連の技術の研究が出来るようになったが想定以上の難易度にあまり進みは良くないなぁとか思っている時にユノが入ってきて、事情を説明すれば
「う、うーん、出来るできないで言えば、出来る、出来るけど……」
「何か、問題あるの?」
「言っちゃえばさ、今のユノっちって眼の能力を使えて6割じゃない、これはそれを10割、つまり100%に引き上げる、ていうよりも補助する外付けの機械なんだ」
モニターに表示されたのはかなりメカメカしいゴーグル、それとそれなりに大きなだけどリラックスできるような形のチェアー、どうやらコレに座りこのゴーグルとヘッドギアが一緒になったようなものを被り使用するらしい。
これにより現状で6割しか進んでいない脳の電脳化の残りを補助、しかもそこから更にブーストを掛けることによって眼の能力だけをフルに使えるようにするという代物、電脳とほぼ直結になるため、今のユノの能力ならば本社からの要望も、そして同時に支持できる部隊の数も飛躍的に跳ね上がるし、鉄血の反応も靄だったのがそれなりに詳細まで見れるようになる、のだが無論こんなのがデメリット無しで使えるわけがない。
「これ、かなり負担があるんだよね。一度に流れてくる情報量が今までと比べ物にならないから脳への負担が大きい、しかもそれで指揮までするってなると、正直オススメできる装置じゃないよ」
「そうかもしれない、だけどそれで万が一を防げるなら安いと思うんだ」
「安いわけ無いじゃん?!もしがあればユノっちは廃人になる可能性だってあるんだよ!?だったらもっと機能を限定的にした、それこそ本社の奴らが言うS地区の監視だけが出来るだけにすれば、負担もかなり軽減できるし」
「ありがと、でもそれじゃいけないんだと思う、それで済ませちゃってさ、もし大規模戦闘や、他のエリアで何かあった時に力及ばずなんてことがあったら、きっとこの基地が、みんなが色々言われる、指揮官としてそれは防がなきゃ」
目が指揮官の時のそれだった、彼女としては自分がなにか言われるならば気にしない、でもこの基地のみんなが、と考えるのは耐えられない少女である、そして今日までみんなに守ってもらっていたからこそ、自分もできることを探し、特に指揮と監視については自分にしか出来ないことであるが故にアーキテクトの心配も分かるが退いてはいられないのだ。
暫しの沈黙の後、アーキテクトがゆっくりと、だがまだ迷いが見える感じに頷いてから
「でも、でもこれだけは守って、もし何かしらの異常が出たら即座に中止、使用し始めてから暫くは私と医療班が付きっ切りでモニタリングすること、あとは……お願いだから自分を大切にしてよユノっち」
「分かってる、ごめんねアーちゃん……またワガママで心配掛けちゃうね」
「謝るくらいなら頼まないで、なんてね。全力で、出来る限り安全性を考慮して作るよ、あ、あとユノっち、こういう時は謝るんじゃなくてお礼だってRFBが言ってたぜ?」
「あ、うん、ありがとう!」
それから数日後、アーキテクトに頼んだものが完成し特殊戦術室へと運び込まれ早速、試運転が開始される、頭部にはヘッドギアが、そして腕などにはバイタルを測定する機器が付けられ常にチェックできるようになっている。
肝心のユノなのだが、現状の彼女の意識は電脳空間に存在していた、所謂VRみたいなものなのだがそれよりもさらに没入感を強くし本当に電脳にダイブしているという感じだとユノは感じながら360度に表示されている地区ごとの地図を眺めて少し感激の声を漏らす。
「どう、ユノっち?」
《凄い、鉄血の情報がこんなに……でも、それなりにキツイねコレ、どこからどう報告すれば良いんだろ》
「現状でどんな感じ?」
《動きはたくさんある、襲撃も、でもコレは今からあげても間に合わない、だとすればこっちか!ヘリアンさん、こちらP基地、S04地区のDエリア、そこの鉄血に動きあり、周辺基地に防衛依頼を!》
後に、戦場の監視者、そう呼ばれる彼女のスタートはこうして始まった、だが初日は
「キュ~」
「だから無理するなって言ったじゃん!!!」
あれもこれもと動いてしまったがために脳がパンク、緊急停止させられた模様、しかしたった一時間とは言えその成果はバカには出来ず、本社にて声を上げていたものが全員急に黙ったとヘリアンが笑いながら話したとのこと。
まぁた魔改造しよったぞこの作者……因みにものすごく便利だけどバックファイア現象とか起きたら割りかしシャレにならないという特大の弱点があったりする。