それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
S地区の様々な鉄血に関する情報が表示されては消えるを繰り返す空間、どこどこの地区の鉄血に動きがあった、また別の地区で鉄血の襲撃、救援が必要な可能性あり、また別では難民の集団が鉄血に襲われ壊滅寸前、等などのメッセージと地図の表示を見ながら必要であれば本社に通達、または緊急性が高いのに限っては本社が話を通してある基地に通達し対処してもらう。
そう、ここはユノ専用に用意された高速リンク指揮システム【ナデシコ】の電脳空間、そこで彼女は三日目となるS地区の鉄血への監視業務に追われていた。
「P基地からS07、ポイントD5にて鉄血の集団の動きあり、規模は中規模、侵攻ルートからポイントS2の街へかと、装甲兵の存在は確認できません」
《了解、通達しておきます》
「お願いします……ふぅ、09が特別平和だったってだけで他のエリアはこんなに活発だったんだ」
《まぁ数とかはあるからねぇ、それよりもユノっち、今回からナデシコのサポートとしてスパコンの【オモイカネ】を付けてみたんだけど何か変化感じれる?》
「軽く、なったかな?それに入る情報がかなり詳細になってる、助かってるよ」
その報告を聞いて安心するような声を出すアーキテクト、実を言えば【ナデシコ】もだが今の【オモイカネ】も作ったのは彼女なのだが設計図を起こしたのはアーキテクトだけではない、これは過去にあのレイラの脳が搭載されていたイントゥルーダーが書き起こしたものであり、それを今のユノが使っても問題ないようにしたのが今のナデシコとオモイカネになっている。
なのでどんな効果が現れるのかが今一まだ分かりきってはいない、だが詳しくテストする時間もなく、最低限のテストだけで積んだのが今日、だが結果はユノの言葉でありそれで安堵の息を吐いたのだ。対してユノはそのオモイカネのお蔭で昨日までは此処まで長時間電脳にいると感じていた息苦しさが今日は全く無く、更に優先すべき情報をオモイカネが判別し表示してくれるお陰で仕事がしやすいとも感じていた、だが同時に
(まるで、意思があるみたいに感じるんだよね)
いやまさかと思ってから再度、表示され続ける映像を見つめる、休みなく現れては消える情報、少し前の自分では間違いなくパンクしていたそれ、しかし今の彼女ならば難なくとは言わないが殆んど躓くことなく捌くことが出来る、それに関しては成長したなぁと自分で自分を褒めるのだが、ふと思ってしまう
このまま自分がナデシコをもっと自在に扱えるようになり、そして
(使えたら、鉄血との戦いも終われるのかな……そうしたらみんながこれ以上危険な目に合わなくても)
だが、もしそこまで自分が行ってしまった時、それはもう自分ではないのではないかと恐怖を覚えた、その決意をした時、私は私なのかと……そこまで考えてから頭を振るい、今そんな事を考えても仕方がないことだと思考から追い出す。
そこで設定してあったアラームが鳴り、電脳内の時計を見ればお昼を差していた、もう休憩の時間だ。
「って、それならアーちゃん教えてくれればいいのに……ってあれ?」
もしかしたら忘れてお昼食べに行ったのかなと思いながら教わった通りに投影パネルを操作して意識を現実に戻そうとする、が戻らない。
もう一度、もう一度とするが結果は変わらず、焦りながらも冷静に
「アーちゃん!ナガン?あれ、カリンちゃん!?嘘でしょ……ヴァニラさん、FMG-9!!??繋がらない……!?」
間違いなく不味い状況に陥った、そう判断を下すまで時間はいらなかった、しかし問題が起きているのが電脳なのか現実なのかが分からない、なので自分が集められる情報を集めようとした時、空間にノイズが走り
「やっと、見つけた」
少女の声が聞こえた、聞いたことのないその声に警戒しつつ辺りを見渡す、何処からなのかすら分からない、しかも電脳空間の自分はそれ用の現実と同じPPKを所持しているがそれだけであり、はっきり言えば心許ない。
「誰!?」
「
今度は方角がはっきりわかる声に銃を向ければそこに居たのは、一人の少女、まるで少し前の自分を見ている姿、だがはっきりと違うと言える肌の色と額にあるマーク、そして大きな銃のようなものが取り付けられたサイドアーム、何より右太もも辺りに描かれているマークで彼女が何者かは判断できた
「(鉄血!?それになにこの反応、ハイエンドとかそんなレベルじゃない!?それに)計画の最大の障害、私が?」
「そう、貴女がこのまま成長されると私の計画が全て止まってしまう、だから」
死ね、反応ができなかった対面の少女が発言した時には目の前に移動し、せめてもの抵抗で銃口を向けるもその手を思いっきり弾かれれば無情にもPPKは宙を舞い、それを気にする間もなく首を締め付けられる。
「アッ……ガッア」
首を掴んでいる手をどうにかしようとするも少女の姿からは想像もできない力に何も出来ない、ならばと蹴りを放とうと身体を動かそうとすれば
「無駄」
「ウグッ!?アガハッ、オエッ……」
逆に蹴り返されて寧ろ自身の体力を無駄に削る展開になる、段々と薄くなっていく自身の意識、彼女はこの電脳空間での意識の消失がどれほど危険かはアーキテクトから散々聞かされている、故にどうにかしないとと焦るのだが抜け出せるわけもなく、次第に抵抗する力すら失われていく。
「アッガッグ……ウッ(駄目、全く抜け出せない……!)」
「そろそろね、さようなら、これで人類に私達を止めることは……」
此処までなの、力が更に籠もりいよいよ意識が無くなる寸前、薄れゆく視界の中で彼女は確かに見た灰色の腰まで届く髪の少女を、縋るように手を伸ばしたユノに少女はニコリと笑ってから
「そうは問屋が卸さないってね!!」
SMGのような銃声、彼女の知識が正しければこの音はUMPに近いそれを空間に響かせれば、ユノの首を掴んでいた少女の腕を的確に居抜き、開放、だが銃撃は止めずに更に少女に浴びせながらその灰色の髪の少女はユノの前に現れる。
その少女は何処と無くUMP姉妹に似ているように見えた。
いやぁ、誰なんだろうなぁこの二人(すっとぼけ
と言うよりもこの話分けるつもり無かったんですけど!?このままじゃあ、例外的に縛り解禁するとある人形とノアちゃんのカップリング前話が押しちゃうんですけど!?