それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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彼女であって彼女ではない、そんな少女


オモイカネの少女

開放されたことによって呼吸が出来るようになったユノは息を整えながら状況を理解しようと目の前の少女を見つめるが、頭が追いつかない、とにかく今自分は眼の前の彼女のおかげで助かったというのだけは理解できているのが救いか。

 

「何とか間に合ったようだね、怪我はないかな支配者(ルーラー)?」

 

「え、あ、無いです、貴女は?」

 

「あ~、答えてあげたいんだけどチョット待っててね、まぁ味方だよ」

 

その間も彼女は銃を相手に向け視線も外さない、見れば若干冷や汗をかいており緊張していることが分かる。あの時は不意打ちもありどうにか出来たがここから先は正直言えば難しいというのが本音だったりする、だけど

 

(現実からコンタクトがあるまでは時間を稼がないと)

 

「どういうことだ、お前のメモリーは……まさか」

 

「そう、オモイカネに眠らされていたんだよあたいはね!」

 

出来るだけ緊張を悟らせないようにか不敵な笑みを浮かべて答える少女、もう少しこのまま会話で時間が稼げるかと考えてみるが向こうはそんな生易しい存在ではなく、コレ以上の言葉はないとばかりにサイドアームの武器を起動させて

 

「まぁいい、なら諸共消すだけだ」

 

「やっば、ちょいごめんねルーラー!」

 

「ひゃぁ!?」

 

あ、コレ不味いわと判断した少女は即座に反転、と同時に炸裂音が響き先程までユノが居た場所の空間が弾けた、それを見たユノも何が起きたかは理解でき、そして自身の窮地は決して去ったというわけではないということも分かった。

 

だがここは電脳空間、こんな戦闘になることなんて想定されてるわけもなく遮蔽物になるようなものは一切ない、つまりこのまま逃げ回っていても何れあの冗談染みた威力の攻撃に自分たちの電脳体は弾けてしまう。

 

(でも、通信は繋がらないし、どうすれば……)

 

「うわっとと、安心してルーラー、一応もうすぐの筈だからさ!」

 

「もうすぐって?きゃっ!?」

 

「しまっ、クゥ!?」

 

至近弾、それによりユノを抱えていた少女が転けてユノ共々転がる、すぐに逃げようと行動を起こそうとするが敵がそれを許すわけもなく片側の重火器を少女に浴びせつつもう片方の銃口をユノに向け、何も語らずに

 

「っ!?」

 

無慈悲に銃口が吠えユノが居た所が爆炎に包まれる、それを見て絶望の瞳を晒してただ呆然と見つめ……ニヤリと笑った、勝ったとばかりの表情に怪訝な瞳を向ける敵側の少女だがハッとなり爆炎の方を見れば煙がちょうど晴れ、そこには見るも無残なユノの姿ではなく、光の膜【フォースフィールド】に守られ無傷のユノの姿だった。

 

「ハァ、ハァ、た、助かった?」

 

《しゃあおらぁ!!ユノっち無事!?》

 

「アー……ちゃん?」

 

今の今までうんともすんとも言わなかった通信が急に繋がりアーキテクトの声を彼女に届ける、この展開に舌打ちをしたのは敵側の少女、逆にユノを救った例の少女は先ほどと変わらず勝ち誇ったような笑顔を浮かべ

 

「逃げ切り勝利さ、でまだやるかい?言っておくけど支援ありだったら鬼ごっこはもう負けないからね」

 

「……これ以上は私と言えど無理か」

 

「待って、貴女は誰」

 

「私は【エルダーブレイン】覚えておけルーラー、私とお前は対となる存在、何処に居ようと分かる、必ず殺す……」

 

それだけを告げると少女【エルダーブレイン】の姿にノイズがかかり完全に消え去る、漸く危機が去ったことに息を吐くユノ、見れば救ってくれた少女の方も同じ様に息を吐いておりあの勝ち誇った笑みも今の状況ならお前を逆に排除できるというブラフに近いものだったのかもしれない。

 

落ち着いたのでとここで現実と電脳で情報交換が行われる、どうやら向こうは向こうで急に通信が繋がらなくなり更に映像も映らなくなったことで大騒ぎだったようでFMG-9達が色々行ってたらしい、だが全く解決策が見えずこのままじゃとなった所で急に繋がり、アーキテクトからの支援がぎりぎり間に合ったというのが先程の場面となる。

 

《ともかく無事で良かったですよボス》

 

「私だけじゃ多分駄目だったけどね、えっと見えるかな、あの娘に助けてもらったんだ」

 

《ええ、こちらでも確認できるわ、何者なの?》

 

ヴァニラの怪しむ声がその少女に刺さる、しかし彼女の気持ちも理解できる、確かに指揮官を救ったのは彼女かもしれないがだからといって両手上げて信頼できるというわけではない、向こうもそれを理解できてるからなのか、まぁだよねぇという感じに頭を掻いてから

 

「えっと、じゃあ改めて、あたいはUM……あぁ、ごめん今のナシ、あたいはそうだな【オモイカネ】って呼んでよ」

 

《そうか、やっと理解できた。君はあの日の彼女、その一部をイントゥルーダーはオモイカネに》

 

「正確にはあたいはその残留思念、まぁサイバーゴーストみたいなもの、しかも自分を確立するためにいろいろな情報を取り込んだから、ベースは確かに彼女だけど今となっては全然違う中身だから、イコールじゃないよ」

 

元の名は他にあったらしいがそれを名乗れる資格はこの空間の自分にはないと続けて、とりあえずそれで理解を頼むよと申し訳無さそうに笑うオモイカネ、ユノからしてみれば信頼も何も助けてもらった恩人であり今の会話からも悪い人物ではないというのが理解できているので

 

「うん、じゃあこれからもよろしくねってことになるのかなオモイカネ?」

 

「そりゃ勿論、あたいの役目はこの電脳空間におけるルーラーの支援と防衛、さっきは目覚めたばかりで本調子じゃなかったけど今後はああやって簡単に侵入されないように更に防備を強化しておくよ」

 

ピースサインを作って笑う彼女、オモイカネにユノも改めてよろしくと握手を交わす、FMG-9達もどうやら納得してくれた様子で、と言うよりもアーキテクトが彼女たちにオモイカネの出自と彼女が目覚めたことによって解禁されたファイルの内容を解説すれば彼女が決して悪さするような存在ではないということが判明、なので一応の納得は得られることに。

 

とりあえず今日はもう安全のためにナデシコの使用は止めたほうが良いと言うことでログアウト作業をしようとした時、ふと思ったことをオモイカネに聞いてみる。

 

「貴女って、ここでしか存在できないの?」

 

「そうだよ~、あたい自身も結構ギリギリな存在でさ、オモイカネ本体があって初めてこうして出れる、だから他のところに行っちゃうと存在が維持できないんだ」

 

《本当にここで防衛と補助をするための存在と言うわけね……》

 

「そそ、まぁ一人になるけど慣れてるからさ、とりあえずルーラー、あっ、ユノ指揮官って呼んだほうが良いかな、ともかく戻りなよあたいはここで色々強化してるし」

 

「うん、じゃあねオモイカネ、また明日」

 

ニコリと笑いながらオモイカネはユノを見送り、完全に居なくなった所でそっと彼女は

 

「レイラの言う通り良い子だね、こりゃあたいも頑張んないとな!」

 

オモイカネという心強い電脳体が付いたナデシコは今後更に強化されていくのだがそれはまた少し未来のお話。




という訳でエルダーブレインとの初顔合わせとUM、じゃなかった。オモイカネとの出会いのお話でした、すまぬ、彼女を出す方法がコレしか浮かばんかったのじゃ……

オモイカネ
正確にはオモイカネの電脳体である少女、ナデシコの使用者であるルーラーを守りサポートするようにとイントゥルーダーに作られた存在でありベースとなったAIは【UMP40】なので姿や言動などは彼女なのだが本質はもやは変わっており全然違う、と本人は語っている。

次回予告
例外的に縛り解禁の対象となったとある人形とノアちゃんとの出会いのお話、そしてノアちゃんに春が訪れるお話。
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