それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
《こんな作戦に駆り出してすまぬ、じゃが事相手が所持しておる機械などを考えるとなるとな》
「わぁってるっての、あんな装置があるって言われりゃアタシが出るしかねぇんだ」
悪態付くノアが今居るのはS09地区のいつもの街……ではなく他の街、当たり前だがS09の街と言っても何もあそこしか無いというわけではなく大小複数の街が存在し今はその一つに来ているのだ。
彼女がこうして街に一人で出ている理由、それは上記のとある作戦のため、始まりはナデシコにて業務中だったユノへの通信から始まった。
「人形密売組織……それの壊滅及び人形の救出、ですか」
《ああ、ここ最近で動きが活発になっているらしい、最近ではこの地区でも被害が出たという報告が上がりいよいよ無視できるものではなくなった》
「FMG-9、何か知らない?」
前にも話したとは思うが『今』の彼女にはナデシコを通したとしても人間の動きはわからない、なのでそういった組織の動きとなると彼女ではなくアリババとメジェド、つまりFMG-9とヴァニラの領分となっているので聞いてみれば返ってきたのは
《こちらでも情報は握っているのですが、コイツラちょっと厄介ですね……》
「と言うと?」
《正式名称は未だありませんので仮称で呼びますが【ドールジャマー】という我々、人形に対する強力な妨害波を発生させる装置を導入しているらしいんですよ、しかもコレは完全独立、ネクロノミコンでも介入が出来ません》
恐らくはそれを利用することでIOPの戦術人形も囚われ売られているのでしょうと結論を出す、通信の主であるヘリアンも同じ考えのようで、だからこそ今回の案件が非常に難しいものにしてしまっている。
今までのように暗部を動かしてもその装置の前ではいくら彼女たちと言えど返り討ちに合う危険性が高い、一応アーキテクトにそれを無効化出来る機械を作れるかと聞いてみるが
《それ、装置の妨害波のデータある?あるならすぐにでも制作に取り掛かるけど、最短で一週間は欲しいかな……》
《一週間か、長いな》
だよね~と分かってたように答えるアーキテクト、さすがの彼女言えどそういった物をぱぱっと作れる万能ではない、それでも十二分に速いのだが
となると現状の戦力でどうにかしないといけない、しかも壊滅だけではなくその組織の根城に囚われている人形たちも救出となると生半可な作戦ではどうにもならない、どうしたものかと考えた時、突如新たな通信が彼女に繋がった、その主は
《アタシが出る、そのドールジャマーってのは効かねぇし、丸腰で動いてても問題ねぇしな、何だったらわざととっ捕まって根城内部から人形も救出してやらぁ》
「一人で!?いや、危険だよノアちゃん!」
「いやぁ、随分と勝ち気な妹さんだねぇ」
無論、そんな事認められないとばかりにユノが叫び、オモイカネも彼女のその聞いてた以上のノアの感じに驚くような声を上げながら作業を続ける。
《あ?何言ってんだよ、アタシが少し前までどんな生活してたと思ってんだ。あと妹じゃねぇからなオモイカネ!ったく、おい、へリアンだっけか、それで構わねぇか?》
《現状で切れる手札はそれが一番、か。ユノ指揮官、申し訳ないが》
「……分かりました、では詳細を決めてから再度通達し作戦を開始します」
声には申し訳無さが滲み出つつも彼女自身も自体は理解できているので了承すると言った感じだった、コレで本当に指揮官かよテメェはとノアは思いつつも根っこの部分はある程度理解しだしているので
《テメェが気に病むこたぁねぇ、現状を見りゃ誰が適任だったか、それがアタシだったって話だ》
「ごめん、じゃあ作戦を立てよう、あるだけの情報を回して」
こうして決められた作戦はへリアンにも送られ了承が来れば即座に行動を起こして冒頭に至る、今回は作戦が作戦なので今のノアの服装はいつものハンターの服装ではなく、スコーピオンに似た感じの服装で街を歩き目的地へと向かっていた。
場所は街のスラム、その一角にある建物がその人形密売組織が人形を送り『そういう行為』を強要している店らしく、先ずはそこを襲撃、そこから根城へと向かう算段になっている。
「こちらイチイバル、目的の建物前だ……こっからでも分かりやすい匂いだこって」
《こちらナデシコ、準備ができ次第突入、作戦の確認は?》
「いらねぇよ、そこまで抜けてねぇっての。んじゃま、行くぞ」
《了解、その、無茶しないでね》
そりゃあ無理な相談だなおいと伝えてから通信機を閉まってから緊張する素振りも見せずに扉を乱暴に開いて中の様子を見れば、ふぅんと彼女的には予想通りな光景が広がり、個室と思われる扉からは悲鳴にも似た人形と思われる声と男たちの下卑な声が聞こえる。
強いてあげるならば思ったよりもしっかりとした部屋取りをしていたという部分だろう、スラムで開いてるんだから雑多でそこら辺で行っているとばかり思っていたノアとしては
「何だおめェら、一応きちんとした営業してますってか?」
「おいおい、迷子か?ここは嬢ちゃんみたいなやつが来る場所じゃねぇぜ……まぁそれが目的だってんなら大歓迎だぜ、良い胸持ってるみたいだしなぁ?」
流石にそこまで乱暴に扉を開ければ店員と思われる下卑な表情を浮かべながら近づきノアの身体を見定めるように下から上へと視線を動かし、その豊満な胸を見て気持ちの悪い笑顔を浮かべる、対してノアは特に何も思わずに店内を見渡す、しっかりとしたとはいったがそれでも粗末には変わらず、結局はそこらでしている客もいる、だが目的っぽいやつは居ねぇのなと思い
「なぁ、ここで一番偉いのはテメェか?」
「そんな事聞いてどうすんだ?それよりも楽しみに来たってんならさっさとs」
刹那、男の額に穴が空き倒れその男の前にはグリズリーを構えたノアの姿、端的に言えば彼女は面倒になった、どうせ奥かそれらしい部屋にでも居るんだろうし、更に言えば
「暴れりゃ出てくんだろ、それにあれだ、人形の救出も同時に出来るから良いだろ、という事で今日限りでここは店仕舞にしてやるよ!!」
当然ながら今の段階で彼女の能力は使えないのだがそんな事関係ないとばかりに大暴れを開始、あまりに急な襲撃に店員と思われる男たちは慌て、客もパニックになりながら我先に逃げようとする、そして数十分後には
「んだよ、どいつもこいつも大したことねぇのな」
「何だよテメェ、何処の差し金だおい!?」
「あ?んなの答えるわきゃねぇだろ、それよりもテメェが一番偉いんだろ、本拠地は何処だ吐け、風穴ぶち開けられたくねぇだろ?」
グリッと銃口をこの店のオーナーと思われる男に突きつける、周りは既に血の海であり生きてるのは囚われていた人形たちとその男だけ、誰がどう見ても詰みな状況であり、ノア自身も思ったよりもあっさりだったなと思ってしまう程だった。
「か、金か?それとも食い扶持でも探してるのか?で、出来ることならしてやる、だからその銃を降ろしてくれ、な?」
「なぁに寝ぼけたこと言ってんだ、良いからさっさとガァッ!?」
彼女の背後から電撃が走った、銃を取り落したたらを踏みながら振り向いた先に居たのは一人の少女、否、人形だった。
その瞳は仄暗く、この世全てに失望しきったという色、表情もなくただ無表情なままその手にはスタンガンが握られていた。
「て、めぇ……」
薄れゆく意識、流石の彼女言えど対策もなしに喰らえばどうしようもなく地面に倒れた。
最後の人形……ダリナンダアンタイッタイ
てかこの姉妹、最近続けて最後の引き不穏だな?