それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
あの後は特に何もなかった、強いてあげるならばアジトであった建物がノアの床ぶち抜き直進行動のダメージに耐えられず崩壊が始まりかけて周りが酷く焦ったということだけだろう。
ノアに救われ保護された少女はアジトからヘリに乗ったのだが、直ぐには基地には向かわずに先ずはペルシカの元でシステムチェックなどが行われた後、彼女に一つの質問がなされていた。
「君は2つの選択肢がある、『戦術人形』として彼女の基地に向かうか、『唯の自立人形』として向かうかの2つだ」
当初は迷うだろうと思っていた選択肢、だが少女の瞳には迷いはなくほぼ即答で前者を選んだ、これには同伴していたノアも、そしてペルシカも少し驚いたように目を見開き、どうしてだい?と聞けば
「自分の身くらいは、守れる力が欲しいからです」
その一瞬、ノアの方をチラッと見たのはペルシカの見間違いではないだろう、まぁ当の本人は彼女の選択に特に関心を持つわけでもなくまぁ良いんじゃねぇのと言う感じに答えてからミルクと砂糖増々に入れたコーヒーを飲んで甘すぎたのか微妙な表情を晒す。
この後はペルシカの手によって少女は戦術人形として生まれ変わり、更には彼女に適合する銃も用意されたのだがその速さに驚いたノアが聞けば、どうやら少女の型の人形は数が少ないながらも量産されていたらしく、つい最近も似たような場所から保護されて適合した存在が居たらしい
「よし、コレで今日から君は【サンダー】だ、まぁその顔を見るとあまりそう呼ばれるのは嫌いなようだけどね」
「……そう、ですね。識別名で言われるのはあまり良い記憶がないですから」
「んじゃ、基地に戻ったらなんか考えるか、得意な奴ら居るだろうし」
ノア的には自分が考えるというよりも誰かに相談するつもりだったのだが少女にはそうは聴こえずに自分が考えてやるというニュアンスに聴こえたようで何かを期待するような、本当に良いのか?と言う異感じの表情でノアを見つめる。
この反応にペルシカはあ~と何かを察する、そう言えば彼女がなんか凄くヒーロー的な働きをして助けてたとかオモイカネのAIが興奮してたなとかも思い出してから
(……今度へリアン弄ってやろ)
コレが後に喜劇を引き起こすらしいのだがそれは今は割愛しておこう、ともかくサンダーとして生まれ変わった少女は今度こそヘリにてP基地に迎えられたのだが降りて早々に出迎えたのはこの基地の指揮官である【ユノ・ヴァルター】と副官である【ナガンM1895】が来ており、彼女らが降りると笑顔で近づいてきて。
「いらっしゃい、そしてようこそ!私がこの基地の指揮官をしてる【ユノ・ヴァルター】です」
「副官の【ナガンM1895】じゃ、長旅と今回の件で疲れておるじゃろう、ここはもうお主の家じゃ、ゆっくりとしてくれ」
「あ、えっと、【サンダー】です……宜しくおねがいします」
少女は戸惑いながらも深々と頭を下げながら、二人のアットホームというべきか、最前線の基地とは思えないほどに穏やかな雰囲気にまだ慣れてないがゆえに緊張しているがここなら安心して過ごせそうだと何故か根拠のない確信が生まれていた。
だがやはり、識別名で自己紹介をするというのはいい感じがしない、が今はコレしか無いので仕方がないかと割り切った所で隣のノアが思い出したかのように声を上げてから
「そうだ、なぁ二人共、コイツに名前を付けてやりたいんだが何かいい案無いか?」
「名前?うーん、と、突然だと流石の私も浮かばないなぁ」
「サンダー、お主はなにか希望はあるか?」
話題を振られることは想定してなかった少女、名前が欲しいということも本当に少し前に生まれた願望であるために希望と言われてもという感想が本音だ、しかし何も考えないのもと思っているとふとある日を思い出した、偶々見ることが出来た外に咲いてた幾つもの花、名前は知らないがその逞しく生きているというそれに目を奪われたことを。
「お花、それが良いです」
「花か、となるとスオミが育てておったな」
「だね、じゃあ早速……」
《こちらPPSh-41、ノアと指揮官は医務室に来てください。二人共今回で様々な無茶をしましたからね、検査します》
出鼻を挫かれるとは正にこのことかと珍しく思いが重なるノアとユノ、ていうかやっぱり無茶してたのかと言う感情も重なる辺りさすが姉妹なのかもしれない、しかしこのままでは案内する時間がなくなるかもしれないと考えていると
「わしが案内しよう、それでよいか?」
「はい、私は大丈夫です」
「わりぃな、ペーシャを怒らすのはマズイんだわ」
「怖いからね、じゃあ行ってくるよ!」
因みに、今回の無茶というのはノアは言わずもがな、アジトに潜り込むためにわざと捕まりその先で犯され殴られたのでそのダメージと洗浄、ユノはユノでまず1つがジャマーの場所を探るためにナデシコを利用して自身の能力を大幅にブーストを掛け、更には拡張してしまった、更にアジトに囚われていた人形達も指揮下に加えると言う荒業も彼女にそれなりの負担を掛けてしまっているらしい、なので二人共それはもうガッツリ怒られるのだが今回は割愛する。
二人が医務室で怒られている間、副官と少女は会話らしい会話もなくスオミが花を育てている部屋へと来ていた、そこには古今東西の色とりどりな花が育てられており少女もそのキレイな光景に言葉が出ないほどだった。
「いらっしゃいませ、あ、そっちの娘が」
「うむ、ノアのやつがコヤツに名を授けたいと言ってな、花が良いということで来たのじゃが、何か気になるものはあるか?」
言われ、見渡す。だがどれもキレイなのだが名前がわからないものばかり、となると直感で選んでしまおうかと考えながら見ていく中で見つけた。
それは彼女の記憶の中に唯一あったキレイな思い出の花、小さくも逞しく育っていた花、その時は誰かに聞けるわけでもなかったので名前も何も知らなかったそれ、だが今は違う、少女はその花を指差して、そして
「あ~、やっと終わった……なげぇんだよあの医者の説教、っとと」
「いや、まぁ私達が悪いのは確かだし……って」
かなりヘトヘトな様子で医務室から開放された二人を迎えたのは例の少女、どうやら待っている間に服なども手を加えてもらっていたようで髪も一本に纏めて最初と雰囲気がかなり変わっていた。
その隣には副官の姿もあるのだが彼女は少女の背中を少し押してあげ、二人に
「名が決まったぞ、ほれ」
「はい、ノア、指揮官さん、改めまして私の名前は……」
クフェア、花言葉は【自由気まま】少しだけそんな風に生きてみたいな、そんな彼女の心が籠もっている名前となった。
という訳で例外的に縛り解禁となった人形は【サンダー】ちゃんでした、え、分かりきってた、まぁうん、分かりやすいもんね……
簡易紹介
【クフェア】
大体はサンダーその人、ただこの作品では少ないながらの量産の一人なので身体中の傷が薄かったり、少し性格が違ったり、髪も後ろで一本に纏めるポニーテールにしてある等の差異がある。
因みに本人にまだ自覚は薄いがノアに惚れている、自覚しだしたらガンガン攻めるタイプ、通い妻と化したりもあり得る