それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
辺りを包む静寂、ウロボロスを倒したことによって生まれた余裕でふとFALが気付いた。あれだけ包囲していた筈の敵が何故あの戦闘時に来なかったのかと
それだけじゃない、あまりにも周りが静か過ぎる。こういうときこそ指揮官との通信をしたいが通信機は未だノイズの一つも音を出さない、他の面々も警戒しているがそれでも不安は募る
(なにかマズイことの予兆じゃなければ良いのだけど)
がFALのそんな不安も重傷一歩手前の一〇〇式をおんぶしながら合流してきたWA2000の姿で霧散する
霧散すると言うよりそれ以上に一〇〇式の怪我の度合いが予想よりもすごくそっちに気が行ってしまったというのが正しい、なにより狙撃手たる彼女がこうやって合流したということは一応の安全は保たれているということになる
「全く、通信機が使えないと不便ね……」
「あ、あの、歩けますから」
「黙っておぶられてなさい、歩かせたら亀でしょうが」
「あう、ごめんなさい……もっと上手く防げればよかったのですが」
「怒ってないわよ、ただ、今のアンタに歩かせるのが嫌なだけよ」
何とも微笑ましいやり取りにFALは声をかけるのを止めようかとも思ったがここは一応まだ戦場なのと一〇〇式の怪我の度合いを正確に知りたいので二人に近寄れば、彼女の怪我はよく見れば見るほど酷く人工皮膚は熱気で溶けかけており内側のパーツも若干見えかかっており、脚の方もただ歩く分には問題なさそうだが戦闘行動となると誰もが無理だと判断できる程だった
「WA、一〇〇式は大丈夫なの?」
「は、はい。大丈夫です」
「何がどう大丈夫なのよ、見ての通り、ミサイルを防いでくれたは良いけどもう戦闘も歩行も難しいわね、できれば早く戻って治療させるべきよ」
「さっきのミサイルは見てたけど思った以上ね……ほら、とりあえずこれ羽織っておきなさい」
フワッといつの間にか近付いていたAR-15が一〇〇式に自身の上着を羽織らせる、それからWAにFALが聞こうと思ったことを聞く
「WA、周りの敵がどうなったか分かる?」
「警戒はしてた、でも私の更に後ろやウロボロスと戦った場所の周囲にも気をつけてたけど全く無かったわ」
「……あの、ウロボロスと皆さんが戦闘を始めた直後くらいにそこからではない戦闘音を私聞きました」
怖ず怖ずと一〇〇式が発言、それはつまり別の戦闘可能な誰かが居たということになり一気に緊張が高まり、とにかく部隊長には知らせるべきだと残りの弾丸をリロードしていたM1895を呼ぶ
「ナガン、ちょっといいかしら!」
「む、なんじゃ?なにか緊急事態か」
「私達とは別の戦闘可能な誰かがウロボロスと戦ってる時に周りの敵と戦闘してたみたいよ」
「ふむ、404、心当たりはあるか?」
「無いねー、私達も秘密作戦として此処に来てるから他の部隊はあり得ないよ」
「だとしたら誰じゃ……指揮官からは、包囲を崩すために出してくることも考えられるがそれなら一箇所ではなく複数箇所からになるはずじゃ」
各々が悩んでいるとガサッと草をかき分ける音が響き全員が反射的に銃を音の方面に構える、WAは一〇〇式をおぶっている関係上、後ろに下がっている
歩く音とそれに伴い草をかき分ける音が大きくなり始め、そして現れたのは一人の戦術人形、ハイヒールブーツを履いた女性が一歩前に出て
「待って、敵じゃないわ」
「それは有り難いわね、敵だったら弾無しの銃を投げつける所だったわ」
女性の言葉にUMP45がそう返答すれば警戒は解かれていないと感じたのか、徐に通信機を取り出しスイッチを入れれば
《繋がった!?みんな無事!?》
「指揮官!?」
「これで信頼してもらえるかしら?」
聞けば彼女はこの地区のグリフィンの生き残りである【OTs-14】(本人はグローザと呼んでくれといっている)、更に言えば【SPP-1】が逸れたと言っていた戦術人形その人だ。彼女はウロボロスの爆撃を目撃したとき、他に三人の戦術人形を引き連れM1895たちが戦いやすいように他の敵の陽動をしていた、一〇〇式が戦闘音がそれだ、指揮官とはその陽動作戦前にグローザから繋げ彼女の指示の下、作戦を遂行していた
話を聞き漸く警戒を解かれ指揮官と情報交換を行う、404は404で別の通信機を借りてグリフィン本部と話している
《皆の識別信号は出てたから通信機が壊れたんだとは思ったけど、まさか皆のが壊れるなんて思ってなくて焦ったよ……じゃあウロボロスが制圧してた司令部に向かって、そこに輸送ヘリを待たせておくね、此処への帰還をもってCUBE作戦の完了とします》
「うむ、あ、一〇〇式の治療の手配も頼むぞ。それと404は」
「ああ、こっちはこのまま本部に戻って報酬をたんまりと要求してこなきゃいけないから、別の飛行場にヘリ呼んじゃったよ」
ジャミング装置は、まぁ残念だったけどと苦笑いを浮かべる。装置は第六部隊が回収寸前のところだったのだが件のウロボロスの爆撃で行方知れずとなってしまった
「だ、そうじゃ。グローザ、お主は?」
「404が用意したヘリで司令部へと戻るつもりよ、縁があればまた会いましょう」
《みんなここでお別れって感じだね》
「じゃな、ではな404、グローザ、また会うとすれば……間違いなく面倒事じゃな巻き込むなよもう」
「ははは~、それは約束できないかなって、ほら此処まで助け合った仲じゃん?」
懲り懲りじゃ、M1895の疲れたような呟きにクスッと笑みをこぼすUMP45、その後404小隊とグローザと別れ司令部の輸送ヘリに乗り込み、これにて長い夜、CUBE作戦は幕を閉じる
(……聞くに聞けなかったとは言え、あやつらのジャミング装置ではないもう一つの作戦の目的はなんだったんじゃ)
ほんの少しだけの謎を残して、夜は静かに明け始める
入れようとした話が入んなかったのでSessionEXに繋がります
グローザさんはちょい出し、多分イベント完走できるからお迎えは出来るはず(スパイダーマン購入しながら)
明日の分書き終えたら、次はどうしよ、ハロウィンでもやる?
リアルCUBE作戦 だから二時間残業はやめロッテ!!!(悲鳴