それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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オバケなんてないさ、オバケなんて嘘さ……


噂というのは大体そんなものである

最近、倉庫から奇妙な電子音と声が聞こえる。そんな報告を耳にするようになったP基地、しかもそれは一件や二件ではなくそれなりの数上がれば動かざるを得ない、なのでと業務の合間を縫って問題の倉庫にやってきたユノ、だが無論彼女一人というわけでもなく、ノアとクフェアもセットで連れてきている。

 

「と言うわけで来てみたんだけど……」

 

「お、お、おい、なな、なんでアタシが巻き込まれなきゃいけねぇんだよおい」

 

「ノア、声が震えてるよ?」

 

き、気の所為に決まってんだろ!?などと言っているが誰が聞いても声が震えているのは確かであり、そこから導き出される答えはどうやらノアは心霊現象と思わしきものは苦手らしい。

 

しかしだ、ノアは今までそういった物には触れたことがないはずの少女、なのにどうしてと思わざる負えないが、彼女は彼女で過去にそういった体験をしていたのだ。

 

まだ荒れていたあの時期、基本的に寝泊まりするのは何処かの廃墟であり、その日もいつものように適当に雨風凌いで寝ようとした時にそれは起こった。

 

事前に何度も確認して誰も居ないはずのその建物から声が聞こえた、女性がすすり泣くその声が、無論何処に居たんだと彼女は声の主を探すために行動したのだが

 

(いや、ありえねぇ、あんなん見間違いに決まってやがる。だってそうだろ、首から上がない女がすすり泣いてたなんてありえねぇだろうが!?)

 

思わずその場面を思い出してしまい頭を振る、そうだあんなんアタシがちょっと疲れててマネキンか何かを見間違えただけだと言い聞かせる、因みにその時は衝動でぶっ放したのだが死体も何も出なかったらしいのでそれが余計に彼女に深く刻まれることになっている。

 

そもそもだとノアは思う、今の時間は真っ昼間であり、こんな時間にそんな心霊現象が起きるはずがねぇと考えていたりするし、実はこの話に先に食い付いたのはクフェアで彼女が動くのに自分が動かないわけには行かないだろうという無意識の気持ちが働いて彼女は今こうしてこの場に居る。

 

「う~ん、何も聴こえないね~」

 

「そのようですね、ですが報告された場所だとこの辺りなのは確かなのですが」

 

「しかも割りとはっきり聴こえてんだろ?じゃあ、今はその発生源がこの場に居ねぇってことじゃねぇのか?」

 

ノアの的確なコメントに確かにそうかも知れないと頷く二人、何だかんだで若干怯えていると言ってもその観察眼などはて頼りになるものである……しかしその頼りになる姿も

 

ピロリピロリピロリ

 

「!!??」

 

噂の電子音が彼女たちの耳に届いてしまった、しかもその後に【Standing by】という流暢な電子音声が続けばユノとクフェアはまだなんだろうねコレで済まされるが、ノアとしては過去のあの一件が脳裏を過り、割と洒落にならない感情に囚われる。

 

囚われるが自称姉とクフェアの手前、なんとなく情けない姿は晒したくない心情のためぐっとその感情を飲み込んで率先して彼女らの前に出ていく、こうすることによって自分の今の表情を見られないという考えもあったりなかったり。

 

「(ま、まま、真っ昼間だぞオメェ!?)おい、今の聴こえたのアタシだけか?」

 

「私も、聴こえました」

 

「聴こえたよ、でもアーちゃんとかじゃないね、反応がない」

 

ユノの言葉からノアが頭の片隅で考えていたあのハイエンドのイタズラという線が消えまた表情が一つ固くなる、いよいよ何がこの先に待っているのか、普段の彼女であればそこから何かしらの装置の電子音だとか、他の人形が何かしら動かしているとか思い付いても可笑しくないのだが光見えて若干冷静ではなくなっていたりする。

 

そしてそれは後ろの二人も気付いていたりする、ユノはユノで確かにアーキテクトの反応はないのだが誰かがきっとなにかしてるのかなぁと相変わらずの能天気ぶりを発揮し、クフェアはクフェアで実を言うとノアがそういった物が苦手なのではということに薄々気付いており、その表情が少しだけ固くなっていながらも平静を装う姿に思わず

 

(ノアって、少し可愛い部分があるのですね)

 

などと思ったりしていたり、悲しいことに怖がっているのはノア一人だけという現場、無論その視線に気づいてるわけがない彼女は正体を絶対に明かしてやると半ば意地になって歩を進めて倉庫の奥、その音源の地点へと向かっていく。

 

近づけば次第に音は大きくなる、先程までは電子音と電子音声だけだったそれ、だが今では誰かの話し声まで聴こえ始める、緊張か、恐怖か、次第に早くなる己の鼓動、此処まではっきり聴こえるならこれは絶対に幽霊なんかじゃねぇと言い聞かせ続けるノア

 

(この声って、【T-5000】とRFB?)

 

(間違いなく人形、ですよね。ノア、もしかしてかなり冷静じゃなくなってませんか?)

 

(落ち着け、落ち着けアタシ、この二人の手前取り乱したりしちゃならねぇ、そもそもこんな時間に幽霊とかあり得ねぇんだ、すぅ、ふぅ、大丈夫だアタシ、あの時のも見間違いなら今日のも間違いなくちげぇからな)

 

冷静じゃない、見れば冷や汗を流していることが分かる、脳内で此処まで自分に言い聞かせてることが分かるようにやはり怖いものは怖いのだ。

 

そしていよいよその現場付近、だが此処まで来ればいくら冷静じゃなくなりつつあったノアもその正体に勘付き始めてチラッと物陰から覗いてみればそこに居たのは

 

「流石アーキテクト、一回見せただけでここまで再現率の高いベルトと道具を揃えてしまうとは思いませんでした」

 

「だよね~、おもちゃチックな重量じゃなくて劇中の重量感と作り、音声もどうやったのか同じ感じの迫力だしで本当に変身ができない以外は完璧の出来だよコレ」

 

ユノの予想通りT-5000とRFBの二人が何やら長テーブルの上に並べられたベルトのようなものと道具を前に感心するように弄り、そのうちの一つをT-5000が装着して昔は流通していたと言われるガラケーと呼ばれる通信端末を弄った時

 

ピロリピロリピロリ

 

【Standing by】

 

「ふぅ、変身!!」

 

【Complete】

 

「ッ~!!!最高です、変身時のあの音も再現されてるなんて本当に、最高です!」

 

なんだか面白そうなことしてるな~と見つめるユノ、あれは何なのでしょうかと興味津々なクフェア、そして最後にノアはと言えば

 

「……何してんだオメェら」

 

「え?」

 

「へ?」

 

こうして、倉庫の噂は晴らされた、因みにこの日からクフェアがノアと映像記録を見ようと誘うのだがそのラインナップの一つに何時もホラーが混ざるのでどうにかしてほしいと副官が相談を受けるのはまたいつかのお話である。




ノアちゃんはゾンビとかスプラッターとかには滅法強いけど心霊現象とかには点で駄目になる系少女、そして段々とブレーキが壊れ始めるクフェアちゃん。
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