それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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わっふるわっふる


小鳥かと思ったら猛禽類だった件について Session3

臆病者、クフェアの放ったその一言が鋭利な刃物となり彼女に突き刺さる、無論、それが悪意からの言葉ではないというものは理解できている、が

 

「臆病者、だぁ?」

 

「失うことが怖くて、それで人を拒絶して、引き篭もって、それが臆病者じゃなくて何だというのですか?」

 

クフェアの冷静な瞳に、何よりも自分は隠していると思っていたはずの心の内をあっさりと言い当てられたノアは思わず眼を泳がせ、逃げたい気持ちに囚われるがそれはドアの隙間に挟まれた彼女の愛銃に阻まれ叶わない。

 

「……るせぇ」

 

「なんですか」

 

「うるせぇってんだよ!!テメェはアタシの何を知ってるんってんだ、あん時話した少しの過去話だけだろうが、それともそれで全部知ったつもりだってのかよ!!!」

 

子供の癇癪、そう表現するのが一番正しいかもしれない叫びと、周りの騒音被害など気にしないとばかりに叫びながらノアは扉を何度も閉めようと、不可能なはずなのに銃ごと閉めようと何度も閉めようとノブに力を込める。

 

顔はよく見えない、部屋が暗いというのもそうだが先程から頑な俯かせながら会話するのでクフェアからはよく見えないというのもある、しかしクフェアには彼女の今の表情が何となしにだが分かる気がした、そして今の彼女は割と容赦はなくなっている。

 

「えぇ、知りません、貴女は話してくれませんからね。だけど、今の貴女は泣いてるってことくらいは理解できます」

 

「何言ってやがる、泣いてなんか……」

 

「だったら顔を見せてくださいよ、それとよくそんな堪えるような涙声でごまかせると思ってますよね!!」

 

グイッ、とテコの原理で扉をこじ開けようとするクフェアにノアも抵抗しようとする、本来であればいくら戦術人形となったとは言え戦場に出ればM134を両手に暴れられるノアの腕力に彼女が敵う余地は無いはずなく、このまま均衡状態になるかと思われた。

 

だが現実はそうではなく、徐々に、本当の徐々にノアが負け始める、そこでクフェアは新たに気づいた、彼女は拒絶こそしているが

 

「強く出れないのに、なんで拒絶なんかするんですか」

 

「……」

 

「怪我をさせたくないからじゃありませんか?」

 

「だったら何だってんだよ……気分が変わりゃあ跳ね飛ばしてやる」

 

「じゃあ今すぐやってみてくださいよ、ノア、ねぇ」

 

そう言葉を掛けてもノアは今以上に力を加えずに俯いたまま、だがノブからは手を離さないで黙っている、そんな姿の彼女にクフェアは先程までのように叫ぶことも出来ずに、だがこのままでは埒が明かないと銃に力を込めてみればついに扉は開かれた。

 

だがそれと同時にノアは後ずさりを始める、クフェアが踏み込んだ分と同じ距離を、しかしここは自室であり広さは一般的なそれと変わらないのですぐに距離は詰められる。此処まで来てもまだ拒絶の意思を弱々しくだが見せる彼女、俯いているのは相変わらずであり、表情は伺えない。

 

「出てけよ、出てってくれよ、見ないでくれよぉ……!!」

 

そんな彼女が漸く発したのはこれでも堪えてますという涙声の言葉、勿論だが聞くつもりはないので踏み込み、そして両手を彼女の顔に当ててこちらに向ける。

 

やはりと言うべきか彼女は泣いていた、その綺麗な顔にははっきりと涙の跡が見え、ゴールドの瞳は充血して赤くなっていたところを見るに相当泣いていたらしい

 

「ノア、お願いです一人で抱え込まないでください」

 

「止めろよ……アタシ、駄目なんだ、特別にしちゃ、だから離れてくれよ」

 

「人の中に特別になっておきながら、私にはなるなって無茶苦茶ですよ」

 

「だって、だって特別にしちまったら、失っちゃうじゃないかぁ」

 

嫌だよ、失いたくないよと小さく、この距離で辛うじて聴こえる声で続けるノア、先程までの威勢は何処に行ってしまったのかと言う声、いやもしかしたらあの威勢ですらもうギリギリの彼女が出せた虚勢だったのかもしれない。

 

だが今はそれはどうでもよかった、クフェアはノアの今の言葉にこの人はもうという感情が生まれた、やっぱりこの人は失うことが怖くて一人を好むくせに、いざ一人になると心細くなって泣いてしまうくらいの寂しがり屋で、だけどその誰かには笑ってもらいたいと手を差し伸べてしまうほどの優しい少女。

 

「馬鹿な人ですね……」

 

「だれが、バカだってんだっ!?お、おい、クフェア?やめて、やめてくれ、踏み込んでくるな、頼む離せよ……!!」

 

「離しません、貴女が私の手を繋いで離さないと言ってくれたように私だって貴女の手を、身体を離してあげませんよ」

 

ギュウッと抱きしめる、大丈夫だと、居なくならないと言葉ではなく行動で伝えるように、一方ノアはどうにか逃げようと藻掻く、だけどこうして密着した状態で無理に離そうとすれば彼女が怪我をすると思ってしまうと思うように力を込められない。

 

「大丈夫です、私は貴女を置いて居なくなったりしません」

 

「んなの、分かんねぇだろうが、だから……」

 

「何度言っても離しませんし、踏み込んでいきますよ。一人に、絶対にしません」

 

更に抱きしめる力を強めながら優しい声で告げていく、何度も、何度も、例えその度にノアが弱々しい反論をしてもクフェアは促すように伝えていく、自分は何が遭ってもあなたの側を離れはしないと。

 

数分、もしかしたら数十分のやり取りの後、落ち着いたのか、はたまた諦めたのかノアが

 

「なんで、何でここまで踏み込んできたんだよ……」

 

「何でって、好きな人が苦しんでたら支えてあげたいと思うのは自然じゃないですか」

 

時が、止まった気がした。見ればノアは驚いた表情でクフェアを見つめている、何気なく、そしてサラッと出された好きな人がという単語、そしてそこで昨夜のあの言葉が彼女の脳内で反響すれば

 

「あれ、やっぱりそういう意味だったのかよ」

 

「え、あ、えぇまぁ、お酒って怖いですよね……」

 

彼女もあの時のことは覚えているので若干目を逸らしたことで流れる微妙な空気、だが先程までの険悪な感じの空気は霧散しており証拠にノアの表情も幾分か柔らかい普段のものに戻りつつあった。

 

だからだろう、落ち着いたからこそもう大丈夫だと告げてもクフェアは彼女を離そうとしない、いや、確かにありがたいし良いんだがと思いながらも

 

「……な、なぁクフェア、その」

 

何で抱きしめられたままなんだ?思わずそう聞いてしまった。




次回、色々頑張る、多分イケる、私は出来る。

(コイツ本当にこっから明日書き切れるんだろうな?)
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