それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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思えばこの人いつ休んでんだろうなって話。


ごゆるりとしてください

平時であれば任務に出向き、休日前の夜にはBARを、そして休日には朝からカフェと夜にはまたBARを、そんな生活サイクルを送っている人形が居る。我らがマスターたるスプリングフィールドだ、無論、指揮官とかに指示されてではない、彼女が自発的に行っていることだし、本人はそれでもしっかり休めているから大丈夫だとは告げている、が周りからすると

 

「休んでるんかねあれ」

 

「そうですね、私がこの基地に来た頃にはもうやってましたし、それでも疲れたという雰囲気を出したりもしてないのでなんとも言えないですが……」

 

何時休んでいるのかという疑問が蔓延していた、人形なので人間のようにそこまできっちりと休みを取らなくても問題ないとはないのだが、それでも働き詰めのように見えてしまうというのは周りの印象的にもよろしくない。

 

何よりも恋人である彼女が一日を休めていないと思うと流石のヴァニラも何かしら手を考えなければなとは思い始める、その様子を見ていたFMG-9は少しは前進してるのは良いことだと思いつつならばと

 

「相棒、一つ案があります、乗りますか?」

 

「内容次第よ、先に聞かせて頂戴」

 

「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよって、で内容なんですけど……」

 

FMG-9からの提案、それを聞いたヴァニラは即決だった、久しぶりにそれやるのか~と何とも嬉しそうな声も混じり、それを聞いたFMG-9がアイツ本当に意外と好きですよねあれと若干呆れ気味に呟く、だが同時にきっと明日はスプリングフィールドの面白い反応が見れるなと思いつつ、他にも協力してくれそうな人物とここ最近衣装絡みで出番が多くなっているエルフェルトにも通信を入れて、翌日。

 

カツカツと綺麗な、規則正しい足音を響かせながらスプリングフィールドがカフェへと向かう、今日は特に新作を用意している訳でもなく、今日の分も仕込みも終わっているので後は簡単に準備をして開店するだけであり、今日も忙しくなるといいですねと思いながら歩いていると、ふと違和感を感じた。

 

(あら、カフェの方向がもう騒がしい?)

 

もしかして開店前から並んでいるのだろうかとも思ったが、それとは違う感じの騒がしさを感じ足を急がせてみれば、扉には【open】と書かれた掛け看板が、え?となるスプリングフィールド、そして店内からは普段通りに賑わう声、一体何がどうしてと思いながら扉を開ければ

 

「いらっしゃいませ!って、マスターじゃないですか、ほらほら、みんな~マスターが来たから向こうのテーブルに通すよ~」

 

「え、ええ、あの、一体何がどうして?」

 

迎えたのはスリーピースの一人、PP-90、彼女はスプリングフィールドを見るやいなや彼女の困惑する声をよそに席へと案内を始める、どうやら事前に決めていたようでカフェの全体を見渡せつつカウンターからも絶妙に近い位置のテーブル席に通されてから、では少々お待ち下さいね~と彼女は笑顔で他の客の注文を取りに行ってしまったので結局、この状況の理由を聞けなかったスプリングフィールドは、何とも落ち着かない感じに、だが待っててくれと言われたので座りながらカフェの様子を観察することに決めた。

 

居るのはいつも手伝ってくれるスリーピースとサトハチ、因みにスリーピースのリーダーのP38がカウンターを預かっている、だが今日はそれだけではなくよく見れば、いや、むしろ今何で気づかなかったのかという人物もそこに居た。パタパタと店内をせわしなく移動するクラシックメイド服のユノとノアも居たり、他にもメイド服姿の9A-91、G36の姿、極めつけはフレンチメイド風な服装のアーキテクトがノリノリで配膳している光景には流石のスプリングフィールドも目を見開いた。

 

(いや、まぁ指揮官はノリノリですがノアは間違いなく巻き込まれたという感じですよね……)

 

「ったく、なんでアタシが……」

 

「偶にはさ、こういう体験も大事じゃない?」

 

「そうだぜ~、ノッちゃん。へい、マフィンとコーヒーお待ち!」

 

「アーキテクト、そのノリはカフェとは違うのではないでしょうか?」

 

そんなやり取りを眺めていると、ふと自分が座るテーブルに影が近づいて来てそっちに視線を動かした時、言葉を失うほどの衝撃をスプリングフィールドを襲った。

 

居たのは燕尾服に身を包んだ執事風のヴァニラ、彼女はスプリングフィールドが自分に気づいたのを確認してから深々と礼をしてから

 

「お待たせしましたお嬢様」

 

「……」

 

「あれ、スプリング?」

 

言葉がうまく紡げない、何時か男装したクリミナにユノが惚れ直した云々の話を彼女本人から聞いたことがあったがなるほどつまりこういうことなのかと辛うじて理解できるのがやっとだった。

 

自分の体温が上昇していくのが分かる、きっと顔も真っ赤になってるだろう、だが何か言わないと向こうも困惑してしまう、何とか生きている電脳をぶん回して出せたスプリングフィールドの言葉がこちら

 

「すす、すてぇ~、素敵、です」

 

コレ以上にないほどに声が裏返っていた、何の心構えもできずに急に現れた男装のしかもかなりイケメンな感じの想い人、その光景を見ていたユノも静かに頷く、自分もああなったからよく分かると。

 

プシュ~という音が聞こえそうな程に赤くなるスプリングフィールドにヴァニラも釣られて赤くなる、流石にここまでウケるとは思ってなかったらしい。

 

「あ、あああ、あの、所で、その、今日は何で?」

 

そこで彼女は本来の要件というか最初の疑問を思い出す、そもそもにして今日のこの状況は何だと、どうして皆がカフェを回しているのだろうかと。

 

なので聞いてみれば返ってきたのは

 

「ほら、毎週毎週さ、スプリングってカフェを開いててありがたいけど偶には本当に何もせずにゆっくりして欲しいなって思ったのよ」

 

「そんな、私は無理してませんよ?」

 

「スプリングがそう思ってても周りや、私は無理させてんじゃないかなって思っちゃうものなのよ」

 

だからまぁ今日くらいはゆっくりしてよ。ニコリと笑いながらヴァニラがそう告げる、そこまで言われてしまうとスプリングフィールドも強く出れるというわけでもなく、そういうことでしたらと彼女らの言葉に甘えることに決める。

 

任せてる間に、ヴァニラから聞いたことだが、どうにも過去に潜入で何度か男装したことがあったらしく、しかもその時は声も機械で変えてたので何度か潜入先で女性に惚れられたことがあるらしい、それを聞いたスプリングフィールドは

 

「……私以外に見せないで下さいね?」

 

ヴァニラが撃沈したのは言うまでもないだろう。




ヴァニラさんは男装するとガチになる人、過去の女性の扱い云々はここから来てたりなかったり。

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