それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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絶対に豪快な技好きだぞあの娘


投げ技好きそうじゃん?

戦術人形は基本的に銃撃戦が主である、とは行っても全く格闘戦をしないというわけではないというのは前話の通りであり、そこの訓練もおろそかにしてはいけないというのがP基地での認識となっている。

 

なので此処最近では訓練場もその手の人形達で賑わいを見せていることが多々ある、今も

 

「シャァ!!」

 

「フッ!」

 

荒々しいのだが無慈悲に近い正確さと速度も見せるKS-23の右ストレートを前進しながらのダッキングで回避するSPAS、これもまた当たり前といえばそうなのだが人形ごとに得意、もしくは好む格闘術が違う。

 

KS-23は不良の喧嘩のような戦闘スタイルを好み、殴る蹴る、もしくは頭突きだって飛ぶし戦場では近くの武器になりそうなものを振り回したらなげたりすることもする、対してSPASはと言うと彼女は複合型というべきスタイルを取る。

 

では何が合わさっているのか、先ずは先程のダッキングから分かるようにボクシング、因みにだがボクシングスタイルはM16やウィンチェスターも好んで使うがこちらは今は余談だろう。

 

「ダラッシャ!!」

 

ダッキングからそのまま身体を低くした態勢で突っ込んできた彼女にKS-23は何の躊躇いもなく膝蹴りを放つ、がそれも彼女は最小限の動きで回避、無論そんな事をヤークトの鉄砲玉として活動しているKS-23が予想していないわけもない

 

寧ろ避けさせたことで動きを固定化、結果的に彼女が狙いやすい位置まで動いたのを瞬時に目視してから振りかぶっていた左を打ち下ろしの形でSPASの顔面に合わせ

 

「いただきぃ!!」

 

表現するならば鈍い音、それが訓練場に響く、完璧に芯で捉えたという一撃にこれは決まったかなとKSGが見たが放った本人であるKS-23の表情は勝ち誇った笑みではなかった、苦悶に歪んだ表情、見れば腹部にはSPASが付けている青いグローブが刺さっていた。

 

では相打ちなのか、いや、そうではなかった。

 

「今のは、良い一撃だったよ!」

 

ギラリとした笑みが拳の先から見えた、歓喜とも言える声がその顔から聞こえた、KS-23はその時悟った、コイツは初めからコレを狙っていたのだと、自分が確実に攻撃を放つそのタイミングを、だがそれ以上にコイツ狂ってやがると思ったのは

 

(ダメージ上等とか正気かよおい……!?)

 

(とか思ってるかもしれませんが貴女も人のこと言えないと思います)

 

KSGは静かに、そしてさも当たり前のように彼女の思っていることを読み解き心の中でツッコミを入れるがそれが向こうに伝わるわけもない。

 

何よりも綺麗にカウンター気味に刺さったリバーブローからのダメージでそんな事に気を回す余裕なんて欠片も無い、もしこれが他の人形、SGやAR、MGだとしてもKS-23は耐えられる自信はあった、がことSGでしかもSPASからだとすれば話は大きく変わる、彼女のその体から生み出してくる破壊力は正直言ってシャレにならないのだ。

 

「がっはっ」

 

「まだまだいくよー!」

 

「させっかぁ!」

 

グンッ、と左側に体を捻り一気に体を伸ばして左アッパー、所謂【ガゼルパンチ】と呼ばれる物に近い物を放つがギリギリの所でダメージから無理やり復帰したKS-23が顔を捻り間一髪で回避、返す刀で右を握りしめて見れば

 

(居ねぇ!?)

 

「隙きあり!」

 

ガシッと腰をSPASの両手が掴む、KS-23の顔から表情が消える。あのタイミング、彼女が放ったガゼルパンチはブラフ、囮のために態々リバーブローを叩き込みに行っていた、では本命はという所で彼女のもう一つ好んでいる格闘術が現れる。

 

時折、彼女は自室や視聴覚室で見ているものがあったりする、それは……【プロレス】曰く、物凄く惹かれるらしく自身の練習に取り込んでしまうほどにはハマっているのだがやられる方は溜まったものじゃない、ラリアットだけだとしても彼女のパワーで受ければ並の人形では一撃で意識を狩り落とされる程だと言うのに彼女の得意としているのは今まさに放とうとしている技。

 

「さぁ此処でサブリナ選手決めるのは!!!」

 

何時から現れたのか、はたまた最初から居たのか妙にノリノリなFMG-9がまるで実況だとばかりにマイクを手に持ちそんな事を叫ぶがKS-23からすれば呑気だなテメェ後で覚えておけよという感情しかわかない、はっきり言えばこの状況に持ち込まれた時点で詰みなのだ。だがそんな感情もフワッと足が浮かんだ時点で消え去る、いよいよ死刑執行が始まるらしい、天地がひっくり返る、せめて首を傷めないようにするかぁと防御姿勢に入る、では紹介しよう、彼女が一番好きで得意として態々それを放ちたいが為にそれ用の動きまで考え出した、その名も

 

「どぉぉぉこいしょぉぉぉぉ!!!」

 

「決まったァァァァァ!!!ジャーマンスープレックスだ!!!!!!」

 

(五月蝿いなぁ)

 

ズダァン!!!とマットに盛大に音が響き、ブリッジの姿勢のSPASは大満足だとばかりの笑顔を晒し、ジャーマンスープレックスを受けたKS-23は見ただけで意識を飛ばしていますというのがよく分かる状況、こうして二人の模擬戦は終わるのだが

 

「い、今すごい音聞こえたけど……ってKS-23!?」

 

「あ、指揮官、にゃはは、ちょっと白熱しすぎて」

 

「白熱しすぎでしょ、あぁ、完全に伸びてるねコレ」

 

少し離れた所でどういう経緯かは不明なのだが97式散から八極拳を習っていたユノが何事かと現れ、KS-23の惨状を見て困惑し、97式散は伸びている彼女を抱えて一旦横にさせながら容態を見る。

 

どうやら完璧に決まり伸びているようなのだが数十秒とすれば復活するらしい、その辺りの回復力は流石人形だと言う所か。

 

「しかし何時見ても不思議な組み合わせですよね、ボクシングとプロレスって」

 

「そうかな、結構いい組み合わせな気がするけど、締め技とか覚えておくと街で犯人捕まえるときとか凄く役立つよ?」

 

食らった犯人が変な扉開いたり、白目向いてる時があるから困るんだけどなぁとKSGは思うも口にはしないでおく、こんな世界で犯罪を犯すのが悪いのだからと。

 

因みに、KSGはどんな物を使うのかと聞いてみれば

 

「基本は総合格闘技ですかね、あとは副官から手ほどきを受けてるシステマ何かも使いますよ、そう言えば指揮官はなぜ八極拳を?」

 

「八極拳だけじゃないよ、中国武術を色々教わってるんだ!」

 

「はぁ、でもなぜ?」

 

笑って誤魔化された模様。




SPASちゃんの力でリバーブロー→ガゼルパンチ→デンプシーロールって多分大体の存在は死にそう、死にそうじゃない?

え、ジャーマンスープレックスもラリアットも大概だろって?まぁ、うん、そうだね

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