それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

425 / 794
そしてそれでヘマするのも似てる


好奇心と思い付きで動くのは母親似

ガサガサと誰かが何かを漁る音、ここは小物などを保存しておく保管庫のような部屋、小物とは言っているが中には様々なものが存在しており、仮装用の小物なども此処に保管されている。

 

そんな部屋に何かを探しにやってきたのはヴァルター家の末っ子にして見た目だけだと長女と言われる気弱な少女【シャフト】そんな彼女は今、割りと真剣な目で何かを探しており此処でもない、彼処でもないと保管庫内をグルグルと探し回る。

 

「あ、ここだ」

 

数分と経った頃、どうやら探し物を発見したらしい彼女は少し嬉しそうな声を上げてからキョロキョロと周囲を見渡す、此処で彼女の凄い所は今までの生活環境がそうだったからだろう、小さな気配にも敏感でありたとえこの保管庫からでも大体、誰かがこっちに向かって来ているかもしれないとかが判断できるらしい、それを行い、誰も来ていないなと判断、そっとその探し物……【猫耳カチューシャ】を頭の付ける。

 

だが此処でふと気付いてしまった、この姿を見るための鏡を探すのを忘れていたと、うっかりしてましたとばかりに彼女はまた保管庫をカチューシャを付けたまま探し回る、手鏡程度でも良いんだけどとは思うものの中々見つからず、困った困ったと焦り気味になり始め、結果として保管庫に誰かが来ていることに気付けなかった、まぁつまりは、ガチャと扉が開かれてしまったということである。

 

「……」

 

「……」

 

入ってきたのはST AR-15、どうやら手に持ったダンボールを仕舞いに来たらしいのだが今彼女はそれどころではなかった、目の前に居る愛らしい小動物にどう反応すれば良いのかを電脳がフル回転で考えているのだ。

 

対してシャフトもついつい鏡を探すのに夢中になりすぎたと顔を赤くしながら後悔する、どうするべきか、いや、既に彼女はそんなことを冷静に考える余裕なんてもの存在しない、だからなのか、それともパニクりすぎてヤケになってしまったのか、彼女は眼を面白いくらいにグルグルにしながら取った行動それは

 

「にゃ、にゃ~」

 

鳴いてみた、しかもそこで急に正気に戻ってしまったものだから顔をトマトのように急速に真っ赤にさせる、自分でも何やってるんだと自問自答をしつつ向こうの反応を見れば思考が吹き飛んだ

 

「え、エーアールさぁぁぁぁぁん!!!???」

 

「ふへっぐへへへっ」

 

胸を抑えて倒れていた、しかも何とも幸せそうな表情を浮かべつつ、だが同時にあのシャフトが軽く引くような声で笑って倒れていることに彼女はいよいよ混乱が極まっていく、どうやら彼女の猫の鳴き真似がクリーンヒットしてしまったらしい、がシャフトからすればこんなのは初めてのことなのでどうするべきなのか、直ぐに起こすべきなのか、それとも誰を呼ぶべきなのかとまた眼をグルグルにしながら

 

「(ととと、とりあえず大丈夫か声を)あ、あの、大丈夫、ですか?」

 

因みに猫耳カチューシャを付けたままである、そんな姿のシャフトが自分に声を掛けてくれたとなればこのピンクの残念お姉さん( A R - 1 5)は即座に覚醒、彼女の手を怖がらせないように(手遅れ)両手で包むように掴んで

 

「もう、駄目じゃない、貴女は自分が思っているよりも可愛いの、なのにあんな、ああああ、あんな事されたらね、倒れちゃうのよ」

 

「へ、あ、ごご、ごめんなさい」

 

「謝らなくてもいいのよ、ただそうね、ちょっとお姉さんの部屋でもう一ぐふっ!?」

 

突如悲鳴を上げたと思えばドサリと地面に沈むAR-15、声を上げれずにそれをただ見つめていたシャフトが次に見たのはとてもとてもいい笑顔の修羅のお姉さん(M 4 A 1)

 

ヒエッと声を上げそうになるも何とか堪えてから沈んだAR-15を心配そうに見つめれば、ビクンと身体を痙攣させるだけで起き上がる様子がないことに

 

「あ、あの、AR-15さんが」

 

「……ウチのがごめんなさい」

 

「え、いや、大丈夫、です。でもあの」

 

シャフトが改めて聞こうとするがM4は彼女を追ってきたのだろうかシャフトともよく遊んだりするSOPMODⅡの方を向いてからこれまたいい笑顔のまま

 

「あぁ、SOP、丁度良かった、AR-15が貴女と遊びたいみたいなので思いっきり引き摺っていいですよ」

 

「え、本当に!?やったぁぁぁぁぁ!!!」

 

「は?ちょ、まっ、引き摺らないで?え、話を聞ああああああ!!!???この、鬼!悪魔!ハードパンチャー!!!きゃぁぁあああああぁああぁぁぁぁああ!!???」

 

えぇ、困惑の声がシャフトから漏れる、だがそれを気にする様子もなくM4はそれを冷たい視線を見送ってから再度シャフトの方に振り向いて深々と頭を下げてから

 

「本当に、ごめんなさい……あれでも、優秀なんですけどね」

 

「それは、本当に大丈夫です、でもあまり暴力は良くないですよ?」

 

「そうですね、今度からはもう少し方法を考えておきます、所でシャフトちゃんはどうしてカチューシャを?」

 

言われハッと手を頭に乗せる、そう言えば自分はコレをつけたままだったと思い出してまた顔を赤く染めていく、それを見たM4は優しい微笑みを浮かべるものだから彼女の羞恥心が更に加速したのは言うまでもないだろう。

 

なので一旦外してから、それを見つめつつ何故彼女が今回このような行動取ったかをポツポツと話し始めた、が内容はそんな深刻なものではなくただ単に

 

「お姉ちゃんたちに猫耳があるから自分も付けたほうが良いのかなって思いまして」

 

「それは、問題ないのではないでしょうか、指揮官とクリミナにもありませんし」

 

あっ、確かにそうだという声がM4の隣から上がる、どうやら姉たちを見てて両親をすっぽ抜けてたらしい、だが同時に

 

「お母さんとお父さんって動物に例えたら何でしょうか?」

 

「へ?あ~、クリミナは狼、ですかね?」

 

狼の耳と尻尾を生やしたクリミナを想像してシャフトは頷く、それならばユノはとなった時にM4は何を思ったのか

 

「羊……?」

 

羊のコスプレをしてメ~メ~と楽しげに鳴き真似をしているユノを想像して、二人してふふっと吹き出す、何と言うかその姿があまりに様になっていたのだ、だけどどうしてクリミナを狼にしてユノが羊になったのか、はてと少し考えてから直ぐに思い当たりそう言えばコレを借りてましたねと図書室から借りてきた本を取り出す、そこには

 

「あらしのよるに、少し前に凄い嵐でしたね」

 

別にそれが理由で借りたわけじゃないですけどね、二人は暫く仲良く本を読んでいたとさ




またM4A1に沈められてるよあのAR……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。