それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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その手は恐らく交差しかしない。


残酷は戯れ笑う

「以上が今回判明した事となります」

 

それは情報部および開発部から上げられた報告だった、アーキテクトのラボに重々しい空気と刺々しい空気が同時に流れ始めたことを指揮官としてもう逃げないと決めこの場に出向いてきたユノもAR小隊の代表として来たM4A1、それとユノの付き添いとして来ているクリミナも感じ取れた。

 

FMG-9が告げた報告は先日判明したエルダーブレインについてのこと、アーキテクトがM4A1からの疑問を受け取り数日間掛けて検証、その結果が前回の生体パターンのほぼ合致と言う結果でありそこから導き出される結論というのが

 

「今回ボスをナデシコで襲ったエルダーブレインの素体にはほぼ間違いなくボスの遺伝子を組み込まれている、もしくは」

 

「オリジナルのユノっちの遺体を丸々使ってると思う、だからこそあの時誰も、それこそユノっちにもオモイカネにも反応がなく彼処まで侵入された理由になる」

 

アーキテクトの続けた言葉に誰も何も言えない空間が出来上がる、ここに来てまた新たなる事実、今日までに何度もぶつけられた世界の闇、だが今回の衝撃は今まで以上だった。

 

最初にオリジナルの遺体に関して疑問を思ったM4も、彼女から相談され自分たちに穴があることに気付いたM16も、言葉を失うほどでありユノも決して平気だとは言えないくらいには顔色を悪くしていた。

 

だが、それ以上に衝撃を受け、生まれでた感情を抑えきれないとばかりに拳を握りしめていた存在が一人

 

「……何故じゃ

 

「ナガン?」

 

副官であり、【オリジナルのユノ】にもおばあちゃんと懐かれて過ごしていた時期もあったナガンが絞り出すように、まるで少しでも口を開いたら感情が爆発してしまうという感じに堪えながら出した声にユノが不安そうに声をかける。

 

が、覗き込んだ彼女の顔を見た時、ユノは少しだけ怯えた。そこには彼女は初めて見る羅刹のような表情の副官が居たからだ。

 

「何故、何故此処まであやつらは弄ばれなければならぬのじゃ!!!!」

 

明確な怒りだった、この場で怒った所で意味がないというのは彼女とて重々承知だろう、だが抑えがついに効かなかった。

 

パートナーの遺体を弄くられ、その娘実験体にされ殺されて、孫娘とも双子の妹とも言える彼女のクローンである指揮官の身体を弄られ、もう一人の妹すらも人間の勝手で破棄され地獄を見たと思えばその体を弄くられ、その果てに今回の話。

 

「いったい、あやつらが何をしたというのじゃ!?ただ過ごしてただけじゃ、ただ平和に、ただ……」

 

ギリィと歯を噛みしめる音が嫌に響く、副官だって分かっている、こんな世界だからこそこういった事も有り得てしまうという事を、だが、だがそうだとしても

 

「安らかに眠ることすら許さぬというのか……!!!」

 

「副官……」

 

「なら、眠らせてあげようよ。お母さんの時と同じように」

 

ユノが静かに、だが決意に満ちた声で告げたその言葉に周りは驚いたように彼女を見る、何と言うか彼女らしい言葉ではないというのが少し混ざっていたりもするがユノはその視線に怯む様子もなく

 

「もし本当にあのエルダーブレインになんて言えば良いのかな【お姉ちゃん】の身体が使われているっていうのなら、私達が眠らせてあげるしか無いと思う」

 

それはもしかしたら指揮官としての言葉だったのかもしれない、もしくは本当に【オリジナル】に安らかに眠ってほしいからの言葉かもしれない、だがどっちだとしても彼女の言葉に全員が何故だか冷静になれた。

 

今までだったらこの空気のまま解散となっていただろう、それを考えればこの場に指揮官が居るというのは大きいのかもしれない。

 

「そう、さな。ああ、そうじゃな……すまぬ、熱くなりすぎた」

 

「はは、凄いねユノっちの言葉一つでこうも違うなんて思わなかった」

 

別に私は特別なことはしてないよと笑うが、クリミナとしては今のやり取りだけでユノの成長を感じ取っていた、もし少し前の彼女だったとしたら今の言葉は出なかったかもしれないと

 

現実を見つめ、裏を見つめ、その上で自分がどうするか、それを考えるようになったからこその言葉だと、お蔭で場の空気は幾分軽くなり、次に出た話題はそのエルダーブレインについて、と言ってもそれは新たに入ってきたゲーガーとノアによって起こされた疑問だった。

 

「にしても大将の身体がアタシらのオリジナルねぇ、悪趣味極まりねぇなおい」

 

「それなんだが、何故エルダーブレインは態々遺体を素体に使った?ナデシコに侵入というだけならば遺伝子だけでも良かったはずだ」

 

その一言にハッとなる面々、ユノは例外である。そもそもエルダーブレインは人類の滅殺を目的として動いている、その彼女が人間の遺体を素体としていると言うとなると

 

「とんでもねぇ皮肉だな」

 

「もしこれが本物だとすればな」

 

ゲーガーは続けた、前回の指揮官のナデシコ内での襲撃の時、何故エルダーブレインは単騎で来たのかと、それはナデシコに侵入できるのは彼女しかいなかったというのもあるだろう、だがそれにしては彼女らしくないほどに作戦が御粗末だったと

 

もし、あの場面での襲撃ならば電脳内の襲撃に加えて現実の方でもハイエンドモデルを中心とした部隊でこの基地を襲撃をかければてんやわんやで成功率が跳ね上がったはずだと。

 

「それは、そんな規模で攻めれば他の基地にも悟られ結局は無駄に戦力を消耗するだけと判断したからでは?」

 

「だとしても何も動きを挟まずに来るか?そうじゃなくても自分の体の遺伝子を他のハイエンドモデル、それこそ向こうのドリーマーやイントゥルーダーに付与させて引き連れて襲撃に来ればほぼ成功したも同然だと言うのにそれをしなかった」

 

振り返れば振り返るほどに浮き彫りのなるエルダーブレインの動き、言われれば確かに一発勝負と言うべきか、見込みが甘すぎていると言わざるを得ないと内容。

 

「おい、能天気バカ。あの時エルダーブレインはお前になんて言ったか記憶してるか?」

 

「え、えっと……」

 

一つ一つ思い出してユノはノアの質問に答えていく、自分が彼女の計画の最大の障害でありこのまま自分が育てば計画が止まってしまう、自分と対になる存在、必ず殺す、といった一連の流れを話していけば

 

「もしかすっと、ゲーガーの推測は間違ってねぇかもしれねぇぞ」

 

「えっと、つまり?」

 

「ちっ、こういう時の頭の回りは悪いなオメェ、ようはそのエルダーブレインは偽物っていうか、本物と枝分かれしたって感じの存在ってことだよ。だから本来エルダーブレインが持ってるべきの権限を持っちゃいねぇんだ」

 

「だからあの時の襲撃も単騎で来た、いや、単騎しか選択肢がなかった」

 

だがあの時の殺意は確かだったし、鉄血の目的も果たそうともしていたとユノが話せば今度はアーキテクトが

 

「レイちゃんみたいな状況になってるんじゃない?あの時は二人の意識は別々でしかも敵対してた、だけど今度はエルダーブレイン本来の目的とオリジナルユノっちの感情が合致しちゃってるんだと思うけど」

 

言うなればあのエルダーブレインは、ユノっちの一つの未来なんじゃないかな。アーキテクトの言葉は嫌にユノの頭に響く、もし自分が本気で人間に憎悪を向け反旗を翻していたとすればああなっていたのかもしれないというのは自分でも分かる。

 

しかしユノはすぐに頭を振った、ならばもうそれは違うのだと、自分は良いも悪いも受け入れて進むと決めたのだから、なので彼女は

 

「とりあえず今日は解散でいいかな、話し合ってもこっちからどうすることも出来ない以上、私達にできるのは防御を固め情報を集めるだけだと思うし」

 

それぞれ最後に今後を確認してから彼女のこの言葉で解散となった、だが執務室に戻る途中、ふとユノは立ち止まる、どうしたのかとクリミナが聞けば

 

「あ、ううん、ちょっとあのエルダーブレインの事を考えてた」

 

「もしや、救いたい、と?」

 

「分からない、でも出来ればノアちゃんの時みたいに手を伸ばしたい……だけど何となしに思っちゃうんだ、繋げないって」

 

それはもしかしたら表裏一体の存在だからこその勘だったかもしれない、だがユノは何となしとは言ったが確信していた、自分と彼女は相反する存在、だから伸ばした手は届かないのかもしれないと。




Q
つまり?

A
あのエルダーブレインは本物じゃないかもしれないよ、だから本来エルダーブレインが持ってる権限は何一つ持ってないよ
更に言えばレイラの時みたいに意識は混濁してたりするかもしれないけど多分、人類には憎悪しか無いから本来のエルダーブレインと同じように人類の滅殺が目的になってるよ

分からねぇなコレ
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