それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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観察されたので


SuperSASSの敗北

まさかありえない、監視塔からそれを見ていたSuperSASSはその思考一つに染め上げられていた、驚愕に染まる眼で見るスコープの先には確かにその頭を打ち抜いたはずの人影が何事もなかったように撤収する姿が写っていた。

 

少し前、このS地区に奇妙な団体を見つけたというノアからの報告から始まった、それから情報部からの話しでその集団のリーダーと思われる男がS地区にあるグリフィンの基地を巡り人形を売ってはくれないかと言う交渉を行っていると、はっきり言えば大問題行動である、買う方もそうだが売る方も。

 

IOPの人形というのは指揮官の一存でははいどうぞという気軽なものではない、ならばさっさと拘束なりをすればというのだがその男が問題だった。

 

「こちらイチイバル、ちっ、それなりの人数を買ってんな……それに、コイツ?」

 

《どうした》

 

「おい情報部、こいつの顔照合しろ、見覚えあるぞコイツ」

 

ノアのバイザーから送られた集団のリーダーと思われる男の側に居た別の男性の映像が送られればFMG-9達が即座に照合を開始、そして出たのが

 

《出たよ、そいつ少し前にノアが潰した密売組織のブローカーだ、遺体の確認ができないからどっかで野垂れ死んだか、イングラムの餌食にされたかとも思ったけど生きてたのか》

 

「どうする、人間はその二人、あとは大体が買われた人形とどっちか分からねぇ人形だ、この程度なりゃこっちかっ!?」

 

急に寒気が来た、いや、寒気なんて生易しいものではない、いくらかアウトローとして過ごしていたノアだから感じれた底知れぬ寒さ、本能と勘の全てが彼女に告げる、手を出すなと。

 

彼女は居るのは上空、しかも念には念を入れ気づかれる可能性を極限まで減らした高度、だと言うのにバイザー越しのリーダー、FMG-9達が仕入れた情報だと【運び屋】と呼ばれる男の視線が確かに自分を見つめた。

 

(おいおいおい、冗談じゃねぇぞコイツ!?)

 

《イチイバル、何があった!?》

 

「……監視だけに留める、コイツは危険だ」

 

震えが混ざった声に通信の先の副官も眉を顰める、がノアがそこまで言うとなると余程の存在だと判断、彼女には引き続き上空からの監視に留めるように指示してから基地の監視塔に居るSuperSASSに通信を繋げる。

 

先程からの情報で運び屋はどうやらこのP基地に向け歩を進めているらしいと言うことは分かっているので万が一の警戒として基地周辺の監視を強めよと言う指示を出せば

 

「了解、それにしても他の基地の指揮官は何を考えてるんでしょうね」

 

《知らぬよ、大方目先の金に目が眩んだとかじゃろうて、どちらにせよ契約違反なのは変わらぬからなヘリアンに報告は投げたがな》

 

そりゃそうだとSASSは思いながら他の監視塔のRF人形にも伝達しておく、それから数十分後、監視警戒を続けていたSASSのスコープが例の集団を捕らえた。

 

「こちらSASS、運び屋と思われる男性を確認」

 

《少し待てイチイバルに確認を取る……取れた、例の集団じゃな》

 

《人形の反応もあるし、買われたって言う数とあってる間違いないね》

 

ユノの声に少しの怒気が混ざる、彼女なりに割り切ってはいるものの、やはり己に私欲の為に人形を道具のように扱い挙げ句に売り払うと言う行為には負の感情が生まれるし今回はその売られた人形の中に誓約してる人形も居たということに少しキレかけていたりする。

 

まぁ中には例の運び屋の巧みすぎる話術にノセられてというのもあるがそれは彼女等の知る事ではないので置いておこう、ともかく要注意人物がそこに来ているということで緊張感が高まる監視塔、だが向こうが何もしなければこちらも何も出来ないからなとスコープを覗けば悠長にこの基地を観察しようと双眼鏡を取り出している姿に流石のSASSも少し呆れつつ

 

「(双眼鏡って、甘く見られてる?)警告射撃の許可を」

 

《構わんのじゃ》

 

「Roger」

 

パスッと消音された銃声が先ず一発、それは的確に今まさに覗こうとしていた双眼鏡を男の手から宙に弾き飛ばす、だがそこで終わらせては警告の意味はないとSASSは更に狙いを定めて

 

パスッ……パスッ、と二発目、少し遅らせて三発目を放てばそれは双眼鏡を二度空中で弾く芸当となりあとは重力に従って双眼鏡は地面に落ちていく、今の流れが警告、三発撃ったのは元ブローカーの男もも同時に撃ち殺せるぞという意味も込めて。そこまでされると運び屋と思われる男の隣の生き残りの元ブローカーとCZ75が驚いたような反応をし警戒を始める、が。

 

(コイツっ!?)

 

件の運び屋だけは何も思わなかったのか、警告射撃を受けて尚、何食わぬ顔で弾き飛ばされた双眼鏡を拾いに行き、そしてまた覗き始める、なるほど完璧に舐められてるなとSASSが判断するのに時間は要らなかっただろう。この基地では一度目の徹底した警告射撃の後に相手が退かなかった場合などには次の射撃に報告は要らない、だから今度は確実に殺すために愛銃を構えスコープで運び屋の頭、更に元ブローカーに狙いを定め

 

先程と同じく消音された二発の銃声、双眼鏡の時に反応も何も出来なかったのだからこれで決まる筈、あとは売られた人形達をどうするか、となれば冒頭の彼女にはならない。

 

「……嘘でしょ」

 

弾丸は確かに運び屋の頭に着弾したはずだった、無論ヘルメットを被っているのも確認して弾薬も選んでの射撃、だが現実はそのヘルメットすら貫通できずに、更に言えば

 

(ブローカーを、庇った?)

 

思考が止まる、そのほんの一瞬の空白の間に運び屋は人形もブローカーも連れてそそくさと撤収を始めるのを見て我に返ったSASSは即座にもう一人の現状で確実に仕留められると思われる人形へと通信回線を開いて

 

「シュタイナー、見えてますよね、撃ってください!!」

 

《了k《手ぇ出すな死ぬぞ!》え、え?》

 

ノアからの鬼気迫った割り込み通信の声にシュタイナーが戸惑い、その間に向こうは撤収に成功、これにはどういうことだとSASSがノアに抗議の通信を入れるが帰ってきたのは

 

《あれは駄目だ、この基地を守りたいってなら、こっちから手を出すのは止めとけ……わりぃ、上手く言えねぇけどアイツだけはアタシも寒気しかしないくらいに駄目だ》

 

もしシュタイナーが発砲をしようとしていたら恐らくは逆に彼女の頭が吹き飛んでたかもしれねぇ、そんな言葉に顔を青くするシュタイナーとSASS、後日にFMG-9とヴァニラがネクロノミコンまで使用して情報を集め、この基地として出した結論は

 

「向こうから手を出す様子ないしそっとしておこう、うん」

 

「あれはノアの言う通りヤバい奴です、正直敵対したらどうなるか……」

 

この報告と二人の顔色にユノと副官もその提案を受け入れ、この騒動は幕を閉じる、余談だが今回の狙撃の事実上の失敗にSASSが更に強力な弾薬の開発と銃の改造をアーキテクトに提案したとか何とか。




という訳で『Warboss』様の作品『FALL OUT GIRLS』から運び屋さんがこっちの基地を観察したので反応を書きました!

……いや、やべぇだろコイツ(白目

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