それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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憧れるよあれは、うん。


スパイ道具は夢と希望の固まり

ウェルロッドMkⅡは最初期からこの基地に配属された人形である、と言っても本社からの命令ではない、彼女に限ってはヘリアンとペルシカの二人による根回しによって初めから暗部の一人として、主に潜入などのスパイ活動の人員として影として彼女を守ってほしいということで配備された。

 

命令であれば、当初来たばかりはそんな気持ちで活動していた彼女だったがまぁ言ってしまえばユノの人柄に彼女も惹き込まれた人形の一人、そんな彼女は今……

 

「ヘイ、ウェルロッド、スパイ映画に興味ない?」

 

その日、ゆったりと休日を過ごそうと考えていたが目の前のハイエンドモデルがそれを許さんとばかりにキラキラした瞳で現れた所で悟った、今日は自分が巻き込まれる日なんだなと、ウェルロッドMkⅡ、任務はそつなくこなす出来る女性だが日常になると何かと流されやすい人形でもあった。

 

アーキテクトはまた例によって映画を見て感化された、人類が考える架空の当時は架空、もしくは未来にあればいいなと言う道具や兵器の数々に、その中でも彼女の開発心を擽りに擽って火を灯してしまった映画が2つもあった。片方は秘密情報部、通称【MI6】と呼ばれる組織に所属するスパイの話、もう片方はどの国にも属さない世界最強のスパイ機関【キングスマン】と呼ばれる者たちの活躍とそこに所属する青年の成長の話。

 

彼女的には確かに話の内容にも大変惹かれたがそれ以上に惹かれたのが劇中に登場するスパイ道具の数々、何気ない日用品が、何気ない装飾品が、なんてこと無い車が中身はスパイ活動を有利に働かせる道具の数々という発想に

 

「ほっほーん、これは使えるのでは?そうとなりゃすぐにでも開発に取り掛からなきゃ!」

 

というのが数日前、とにかく彼女はラボの籠もってあれこれ作れるだけ作り始めた、中には外の廃車を自身の給料として渡されていたお金を使って2台買ったと思えばそれの改造すら始めるほどに、そして今日漸く完成したのは良いのだがコレ誰が使うん?ってことになり目に着いたのが紅茶を飲んでいたウェルロッドだった、因みにクリミナも既に巻き込まれてたりする。

 

最初は断ろうかとも少しは思ったウェルロッドではあったがアーキテクトのそのキラキラした瞳とスパイ道具となればもしかしたら自分が任務の際に使えるものが存在するかも知れないという淡い期待も生まれて少々間をおいてから頷けばそれはもう大層な喜ばれ方をされたとか。

 

「それで、何を作ったのですか?」

 

「あたくしもそれを聞いてないのですが……」

 

「とりあえずで作れそうなものかな、小物だったら腕時計型に靴、傘、ボールペンだったりメガネとかサングラスとか、一番大きいのだとこの場じゃなくて車庫にある2台の車かな、あれは力作だよ」

 

ラボにて二人に質問にニコニコと語りながら一つ一つをモニターに表示させていく、時計ならば毒針や麻酔針を仕込め射出できるたり薄い鉄板程度なら焼き切れるレーザーも完備、また簡易的な通信機にもなるように改造されておりながら時計としての機能も失われていない。傘はもっとシンプルに強度の底上げによって近接戦闘!ができ、傘地の部分は防弾が施されARの銃弾くらいならば防げる強度、更に柄の部分が引き金になっており先端から電気縄や銃弾なども発射。攻撃の強度は持ち手をくるっと回してモードを切り替え、「失神」などの調節も可能な優れモノに。

 

メガネやサングラスには過去に開発した【まるみえちゃん】の技術流用、相手が隠し持ってる武器などを透視できる機能を付けたりこちらにも通信機の機能を搭載、ボールペンはいざという時のフラッシュバンになったり靴には先端と踵に刃を仕込み不意を付け、刃自体にも細工をし金属探知機などに引っかからないように。とはっきり言えば

 

「……えっと、何を想定しているのでしょうか?」

 

「何ってそりゃあユノっちの護衛とか、潜入任務の時に使えるじゃんって?」

 

「使え、え?つ、使えるでしょうか……ところでこの指輪は?」

 

「ん?あ~えっと、掌の部分を押し付けると5万ボルトを『内部』に直接流し込めるやつ」

 

それ死ぬのでは?というのが二人の感想だがそもそもにしてこの指輪は端っから暗殺用なので無問題というのがアーキテクトである、とりあえず気に入ったのがあれば教えてくれれば調整するよと笑顔で言われる二人だが、どうしろという感情でいっぱいである。

 

しかし冷静に考えてみれば自分が変装してたりユノの近くにいる時はあまり周りに警戒をさせることは出来ない、となると何気ない日常品というのは強いかもしれないと思い始める、ウェルロッドは特に

 

「では、この傘を、それと腕時計ですかね」

 

「あたくしも傘は欲しいですわね。ボールペンもあれば助かるかと」

 

「りょうかーい、んじゃ後日調整したの渡すね~、あ、あと車も見ていってよ、グリズリーとかに聞きながら用意した車を改造したからね、出来としては最高だよ!」

 

アーキテクトが言う最高の出来、それを聞いて蘇るのは今はD08地区の417の所有となったモンスターバイク【黒鷲】まさかあれクラスのものが?と不安になりながら車庫に向かえば丁度グリズリーも自身の愛車である【バラクーダ】を整備してたようでひょこっと車の下から顔を出して

 

「お、来たね、そこにある【DBS V12】と【スパイカー・C8】がそうだよ、見てくれ普通、中身は魔改造、だけど二人になら問題なく操縦できる程度には抑えておいたやつだから存分に乗り回せるはずだよ」

 

今の一言であの車の改造にはこの基地の車及びバイク好きが関わっている事がわかるのだが逆にその御蔭で二人は安心したりする、少なくともトンデモマシンではないと……思っていた

 

「み、ミサイル!?機関銃に……スモークまで」

 

「当たり前のように防弾ですねコレ、まぁ確かに助かりますが……何で脱出装置が?あ、医療機器があるのは良いですね」

 

カーチェイス、もしくは移動中の戦闘を考えてのことだろう、車自体にも兵装を車内には武器を仕舞えたり応急処置が可能なモノを格納できたりと至れり尽くせりであり二人は話し合いの結果、ウェルロッドはスパイカー・C8をクリミナはDBS V12を譲り受けることになり、その後は何だかんだで乗り回す姿が見られたとか何とか。

 

特にクリミナはユノと出掛けたり家族でと言った時に出せる個人の車は割と嬉しかった様子であり、ウェルロッドも

 

「あの、気に入ったんですかその傘」

 

「ええ、中々オシャレだとは思いませんか?」

 

どうやらアーキテクトが見た映画を見てちょっと影響されたらしい。




今回アーキテクトが参照した映画は【007シリーズ】と【キングスマン】である。車はつまりそういうことだ、ボンドカーいいよね(隠せ

キングスマンの傘も好き、ああいうスパイ映画は何時見ても楽しめるのずるい。

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