それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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さらっとカフェにお邪魔するスタイル。


それぞれの不安とノアの前進

規則正しい電子図の音、流れるような情報の波がモニター一面に広がるそれを読み解いていくのは

 

「数値、稼働率、共に正常……何処か体に異常は出てないかしら?」

 

「出てねぇ、寧ろすこぶる調子がいいくらいだ」

 

なら良いわと診察席に座っているノアに向き直すのはドリーマー、そうここはD08にあるドリーマーのラボ、正確に言うならば今までのD08の基地ではなくそこから少し離れた場所なのだがそこはまぁ置いておこう、ともかく本日はノアの定期診断の日、そろそろ自身の基地で行えばと言われそうだがそこはノアが

 

『アタシはこっちが良い、定期的に向かえばこっちと向こうで近況報告もしやすいしからな……後飯がウメェ』

 

後者が本音だったりはするが彼女の言うことも最もなのでと今後もここでの定期診断にお世話になることになっている、だが今日此処に来たのは彼女だけではない、更に言えばノアも定期診断だけではなくドリーマーに呼ばれていたというのもあったりする。

 

「にしても、まさかヴァルター夫婦も来るとは思わなかったわ」

 

「まぁアイツラもシーナ達から話を聞きたいとかあったらしいからな、そこにアタシの定期診断が来たって話だ」

 

彼女の言葉通り、今この時間にユノとクリミナ、それとクフェアも此処で開店している417達が働いているカフェにお邪魔しており、恐らくは彼女達の赤ん坊を見せてもらいながら母親とは、というものを聞いていことだろう。

 

そう、彼女等が今日此処に集ったのは例の問題、パートナーが自分たちとの子供を授かりたい、そのための所謂前準備と今後の話というのが本日の目的である、とは言うもののノアからしてみれば

 

「ま、覚悟が決まってねぇのはアタシだけっぽいけどな」

 

「あら、もしかして反対なのかしら?」

 

ドリーマーの言葉に反対じゃねぇけどと何やら煮え切らない感じに言葉を濁す、言葉通りノアは別に反対しているというわけではない、寧ろクフェアがそれを願うというのならば自分としては叶えてはあげたいとは思っている。

 

だけど、それをじゃあと二つ返事では言えない理由も彼女の中にある、彼女は……

 

「もし、アタシの身体の異常性で子供に、クフェアになにかあったらって考えたら怖いんだ、も、もちろんオメェの技術力は信じてる」

 

「だったら信じ続けなさい、私だってそこらを考えてないわけじゃないわよ」

 

そうだけどよぉ、普段あまりに見られない弱々しいノアにやれやれと思いながらドリーマーが今回彼女に紹介するつもりだった『それ』をモニターに表示させれば、ノアが吹き出した。

 

そこに映ってるのは何と言うべきか、ともかく凶悪な『ナニ』外付けタイプであり数発限りとは書かれていたりするがそうではない、そうじゃねぇだろと思いつつ

 

「どうかしら~、とてもいいでしょ~」

 

「よかねぇよ!?こここ、こんなのアタシだって見たこたぁねぇぞおい!?」

 

ノアからしてみればクフェアだって見たことねぇからな!?というのとこんなの生やしてアイツと!?思考がいい感じに混乱の渦に飲み込まれたのを見てドリーマーが悪戯に笑う、余談ではあるがこれとは別の案(普通にしてくれ)がノアから提示されるがこの凶悪なコレも最終調整後に基地に送られた模様

 

とラボではそんなやり取りが行われてる中、ここはカフェD08、向こうが気を利かせてなのか少し長めの休憩時間という事で417とヴィオラがユノ達と実際に母親になってみてなどを交えつつ互いの近況や、何よりも

 

「……」

 

「ユノが言葉を失うほどに感動してますわね、ですが本当に可愛らしいですわ」

 

「はい、可愛いです」

 

「でしょ~?ふふっ、ユノちゃん口開きっぱなしだよ?」

 

417の指摘にハッと漸く我に返るユノ、それを見ていたヴィオラも余程感動してたのだなと我が子をあやしながら笑う、こうして分かるようにユノは彼女たちの赤ん坊を『認識』出来ている、何がどう作用しているのかは不明なのだがこれならば自身の子供が生まれた時も問題なく接することが出来ると分かったのは夫婦にとって大きな収穫の一つとなっている。

 

「ですが本日は忙しいと言うのにこのような時間を作っていただきありがとうございます」

 

「いいのよ、デリバリーの時に聞いていつかこうやって聞きに来るだろうなってのは思ってたしね」

 

「母親としての話は先程で殆どだが、他に聞いてみたい事とかはあるか?」

 

ヴィオラからの言葉に動いたのはクフェア、遠慮気味に手を上げてから

 

「お二人はその……怖くありませんでしたか?赤ん坊が五体満足で生まれてきてくれるか、とか……」

 

「無かったって言えば嘘になる、うん」

 

「あぁ、流産とかの不安も私はあったが、そっちのペーシャに相談もよくしたよ」

 

今でこそこうやって我が子を可愛がっている二人もやはりあった、それを聞いてクフェアも少し安心したように息を吐く、ノアは覚悟ができてないのは自分だけと言っていたがそうではない、クフェアもユノもクリミナだって覚悟はしたが恐怖はまた別なのだ。

 

特にユノとクリミナはそれを乗り切ったように見え実を言えばまだ不安要素だらけ、人が人形を、の流れはこの基地で実証されデータが有る、だが彼女等は逆だ、人形が人を、更にユノは色々と特異体質が故に不安の一際大きかったする。

 

「お義姉さんも?」

 

「うん、でも怖がってばかりじゃ多分駄目だし、それにほらこんなに心強い人たちが周りにいる、だから大丈夫だよ」

 

「そうそう、私達も相談に乗ったりは出来るから、抱え込まないでね」

 

強いなぁとクフェアは思いながら彼女たちの存在に心から感謝を述べたくなった、そうだ、自分は独りじゃないんだと、気付けばお礼を言っており突然のそれに417とヴィオラは驚く光景があったとか。それからまた雑談をしようかなというタイミングで417が思い出したかのように

 

「そう言えば、クフェアちゃんは今日はドリーマーに?」

 

「はい、準備は済ませておこうかと、それに体に馴染ませなければいけませんから」

 

彼女が此処に来たのはそれが一番の目的だった、人形でも妊娠を可能とする処置、それをここのドリーマーにしてもらう、使われるのはまだ先だろうがそれでもしておいて損はないだろうというのがクフェアの考えである。

 

というタイミングでカフェの扉が開かれ見てみれば、何やら疲れ、だが少し吹っ切れたような顔のノアと妙に活き活きしているドリーマーの姿、向こうも彼女たちの場所を確認してから

 

「悪い、待たせたってクフェア」

 

「はぁいクフェア、じゃあさっさと処置しちゃいましょうか?」

 

「宜しくお願いしますドリーマーさん、じゃあ行ってきますね」

 

一つ礼をしてからクフェアはドリーマーと共に彼女のラボへと向かう、それを確認してからノアは席に着くのだがユノは彼女が何故吹っ切れたような顔をしているのかが気になり、聞いてみれば、返ってきた答えは

 

「まぁ、アタシも少し腹を括ってみっかなって思っただけだよ」

 

曰く、ドリーマーにぶっきらぼうながらも背中を押されたらしいとのこと、その日は少し遅くまで417達との交流を楽しんだとさ。




書きたいこととかは頭に浮かんでても上手く事を運べないのキッツいっす……

(と言うか今回少しあれこれ自由に書きすぎた、怒られんと良いが……)

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