それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
ノアは一つ、完璧なミスをあの日犯していた、そもそも考えてみれば何で自分がクフェアを呼びに行く時にドリーマーが付いてきたのか。いや、もっと以前に気付くべきだった、あの基地のドリーマーが何も余計なことをせずにただ処置だけをする、で終わるわけがないかと。
思えばあの時、ドリーマーが狙ったかのようにあの基地が引き取った孤児達を自分たちにぶつけて来たのか、その全てが彼女の中に繋がった時には少し遅かった、まぁ早い話が
「してやられた……!!」
「もう、何時まで悔しがってるんですかノア、それにドリーマーさんが言うにはこれも必要なことだって言ってたじゃない」
帰りのクリミナが運転するDBS V12の車内、後部座席にてノアが非常に悔しがりながら呟けばクフェアはそれを宥めなる。のだが彼女が悔しがっているのはそのクフェアにあった、彼女はD08にてドリーマーに人形でも妊娠できるように処置をされたのだがそれと同時に彼女はクフェアの胸を大きくした。
つまりそういう事である、この基地風に言うならばD地区カスタム、と言うべきか、ともかく今現状でのクフェアの胸はノアほどではないが殆ど変わらない位に大きくなっていた、しかしこれでもノアのギリギリの攻防戦のお陰でこの大きさに留まったのだがそうだとしてもノアにしてみれば出し抜かれたという感情で一杯である。
「まぁまぁ、向こうのドリーマーが言うにはある程度胸は大きくしておかないと母乳の容量が、と言ってましたし彼女も趣味で盛ったというわけではないと思いますわよ」
「だと良いけどな、アタシの時は趣味だって言ってやがったからなぁ……」
しかしドリーマーの言葉も分からなくはない、ノアも出せるのならばこのようなことをしなくても良かったのだろうけど、彼女はその身をコーラップス技術の塊にしているせいでその制御、汚染の防止等などの処置を施された結果、要らないと判断された子供を身籠り、育てる機関が根こそぎ消えているのでクフェアに子供が生まれたのならば育てられるのは彼女だけとなる。
とすれば母乳が出やすいように処置してくれたというのはありがたい話である。因みに妙に静かなユノだが彼女は助手席にて穏やかな寝息を立てて寝ている、D08で養子として迎え入れた子供たちと遊んだりで体力を使い果たしていたらしい、それを聞いたノアはただ一言
「体力使い果たすまで遊ぶとかガキかコイツは」
という訳で車は無事にP基地に到着、出迎えに来るのは副官、そしてユノの娘たちだったがまずは後部座席から降りてきたクフェアを見てシャフトが絞り出すように一言
「お、大きくなってる」
「あ、あはは、はい、大きくなっちゃいました、でも無事に処置は終わってますよ」
「気をつけろよ、急にデカくなってんだ、バランスとか掴めてねぇだろ」
大丈夫大丈夫とクフェアが笑いながら言い歩き出すがその一歩目で軽くバランスを崩してノアが慌ててその手を掴んでから、ったくという感じの顔をして
「だから言っただろうが、オメェたまに抜けてる部分あるよな……ほれ、アタシに捕まっておけ」
「へ、あ、ありがとうございます」
「あれ、お母さんは?」
「出てこない、です」
ルピナスとステアーが心配そうな声を上げるが少しすればクリミナが運転席側から出てきて、それから助手席を開けヨイショという掛け声と同時にユノをお姫様抱っこをしながら彼女たちの方へと向かう、見れば未だ安らかな寝息を立てており、余程深い眠りに付いていることが分かる。
その様子にルピナス達はお母さんらしいと静かに笑い、副官はコヤツは全くと呆れ気味にため息をしつつ、どうじゃったかと聞いてみれば
「沢山収穫がございました、どれか一つといえばユノが赤ん坊をキチンと認識できたというのがありましたね」
「ほぉ、それは朗報じゃ。心構えなども聞けたか?」
「はい、色々と、あとこれからもサポートに付いてくれるとも」
「ふふっ、可愛い」
どんな夢を見ているのか突然ユノがそんな寝言発し、周りはまた笑みに包まれる。ともかく今日は疲れたじゃろうとその場で解散、その日の夜にまで時間を進める。
夕食も入浴も終えあとはもう寝るだけという時間のノアとクフェアの自室、二人はベッドに座り、今日のことを話していた。
「そっか、オメェもだったのか」
「もう、ノアは私が怖いもの知らずとか思ってたの?」
「いや、そうじゃねぇけど、迷いがある感じの目とか雰囲気じゃなかったからアタシはてっきり」
彼女たちは自分に恐怖があるということを互いに話せばノアとしては驚きに包まれた、あの時ドリーマーの話でも怖がってるのは自分だけじゃないということを推測として聞いていたのだがもしかしてアイツは知ってたのではと思うくらいに合っていたのだ。
だからこうして話してみて自分の勘違いがはっきり分かった、それと同時に
「悔しいがドリーマーの言う通りきちんと一度は話さねぇと駄目ってのはこういうことだったのか」
「ドリーマーさん、いたずら好きだけど頼りになりますよね」
「まぁ、アタシも命を助けられてるからそこは信頼できるな」
彼女の知らぬ間に上る株、恐らくは今後も下がることはないだろう、クフェアからすれば自分にアドバイスをくれ、ノアを『癒やす』術を教授してくれて、こうして人形であるはずの自分が愛する人との子を授かる事ができるようにしてくれた人。
一方ノアも口では色々言ってはいるがあの日自分がこうして生きれるようにしてくれたのは彼女であり、その恩は計り知れない存在である。
「こりゃ頭上がらねぇよな~」
「だね、それで、ノア……」
クフェアの声が、少し期待が篭もった声がノアの耳に入る、彼女が聞こうとしてることはそれだけで分かった。
逃げる訳には行かない、それは当たり前だと自分に言い聞かせてから、ノアは本音を彼女にぶつける。
「……わりぃ、まだ待ってくれ、あ、嫌だってわけじゃないんだ、アイツの技術も信じてるし何度も説明も受けた、でも」
「大丈夫、ノアが迷ってるって言うなら私は待ってるし支えてあげる、それにドリーマーさんに言われたけど少しは様子を見てからにしてくれってさ、処置したばかりだと馴染みきってないらしくて」
出した結論はもう少し待ってくれ、ノアの心が本当に決心が着くその時まで、だがクフェアは心配してなかった、だって
「(貴女は、強い人ですから、でもそれはそれとして)ノアから来るなんて焦りましたけど……」
「くっひょ、あっ、まっくぅんっ!?」
「もしかして私の胸が大きくなったから優位に立てると思ったのですか?」
夜は何時も鳴かされっぱなしのノア、クフェアの胸が大きくなったってことは弱点とか同じなのではというあまりに単純思考で攻めたが結果は見ての通りである。
クフェアちゃんの胸が大きくなったぞ!!(B95)
あ、先に言っておきますがノアちゃんに生やしたところで彼女が勝てる未来は来ないです、悲しいなぁ
因みにヴァルター夫婦側の話と思ったけどユノっちが起きなかったからね、仕方ないね。