それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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少女はそれを描き続ける、いつかが来ても形を残したくて


小さな幸せの絵描き人

朝、今日の食堂は何時もとは違う賑わいを見せていた。【m45】が朝早くからダミーまで使ってパンを焼き、バイキング形式で提供してるからだ、朝という丁度お腹が空く時間にパンが焼けるあの香ばしい匂いが食堂の窓から司令部全体に広がれば自然と大賑わいになる

 

各々が好きなパンを取り食べては美味しさに幸せそうに笑みをこぼす姿、それを食堂の隅とは言わずとも全体が丁度良く見渡せ、それぞれの顔もよく見れる場所に少女は居た

 

スケッチブックに鉛筆でその幸せな風景を描いてる彼女は【Super SASS】制服のような服にパーカーを着た少女は慣れているのか手早く絵を仕上げていく、と言うのも彼女の絵描きはここに来てから始めたものではなく此処の前の司令部から描き続けている

 

だが前の司令部は彼女が支援任務に出ている際に鉄血の襲撃で壊滅、暫くは本部に居たのだがつい先週、この司令部へと配属された。そんな彼女が描くのは曰く『小さな幸せ』今のような皆が美味しそうにパンを食べ合う風景、誰かと誰かが遊んでいる風景、動物がじゃれ合ってる風景、そんな日常に存在する当たり前のようでひょんな事で壊れてしまう風景を描き続けている

 

(あれ、指揮官居ないな)

 

料理の匂いがあれば気付けば居るくらいに食べるのが好きな指揮官がそれなりの時間が経っても現れない、どうやら仕事が立て込んでいるのかなと彼女が思っていると二人ほどの走っている足音と声が聞こえた

 

「おばあちゃん、早くしないと無くなっちゃうよ!」

 

「ええい、待て、わしは走るのが苦手なんじゃ」

 

「戦闘中は走りまくってるじゃん!」

 

「あれはあれ、これはこれじゃ」

 

なにそれーと楽しげな笑い声と共に指揮官とM1895が食堂に現れた、どうやらM1895を連れて来るために少々遅くなってただけらしい、そして早速二人でパンを選び席について一口食べれば、頬が落ちるとはこういう事を言うんだなと思わされるくらいな顔になる指揮官

 

「美味しい!焼き立てのこのホカホカな感じとフワッとした食感、良かったぁ、間に合って」

 

「全く、いきなり急かすから何事かと思ったが、まぁ焼き立てのパンと言うならば仕方ないか。うむ、ジャムも美味じゃ」

 

言葉から察するに自室に居たのをいきなり連れてこられたM1895だが彼女もジャムを塗ってから一口食べれば満足そうな笑顔で頷く、それを見ていたSASSは描き終えたばかりのページを捲り、今度はまるで祖母と孫のような二人を描き始める

 

実を言うと指揮官を描くのは初めてではないが、作戦中でなければ大抵は幸せそうな緩い笑顔の彼女だがM1895と居る時は別の笑顔を見せ、食事中もまたそれとは別の笑顔、その2つはスケッチブックに収めているのだが一番笑顔が輝いている食事中で更にM1895と一緒というのは中々見れず、そのレアな光景を目の前に彼女は今までにないほどの集中力でスケッチブックに描いている

 

焦らず丁寧に、だけど手早く、3つを心掛けその一瞬の小さな幸せを描いていけば自然とSASSの顔も微笑みが溢れ始める、こうした時間が彼女にとっての小さな幸せ、いつまでも噛み締めていたい物

 

そして指揮官が気付けば4つ目のパンを食べ始めるという所で絵が完成した。これでもかと言うくらいの笑顔を見せる指揮官と彼女に呆れながらも優しい笑顔を見せるM1895、実物には及ばないがそれでもこの絵だけで二人の仲の良さを体感できるいい出来の絵だとSASSも満足気に頷く

 

「あ、SASSちゃんってどうしたの、何か頷いてるけど」

 

「ひゃ!?あ、いえ、ちょっと絵の出来が良かったので嬉しくなっちゃって」

 

流石にこれだけ長居していれば指揮官も彼女に気付いて声を掛けてくる、対してSASSは突然の出来事に体がビクッ!と少し跳ね上がるが直ぐに冷静になりはにかみながら事情を説明する

 

すると今度はM1895が反応を示し

 

「ほう、絵か。見せてもらってもよいか?」

 

「え、あ、いや、ええっと」

 

「私も見てみたいけど駄目かな?」

 

指揮官とM1895にそう言われれば観念して先程書いた絵を見せればおおっと感動の反応を見せる二人に少々気恥ずかしさを感じ、それを誤魔化すように近くのバスケットに入ってたクロワッサンを一口齧る、程よい甘さが口に広がり二人が感動してくれてるなら良いかなとSASSは考え直すことにした

 

その後もスケッチブックの絵を見てはあれこれと聞いてきたり感想を述べる二人と会話していたSASS、ふと目を閉じて少ししてから開けばそこは食堂ではなく、ビルの屋上から見える夜の街

 

《ランセニュマンからヴィオレット、ターゲットの車がそろそろ目的のエリアに差し掛かるよ、オーバー》

 

《了解、確認だけど事故に見せかければ良いんだよね、オーバー》

 

《その通り、依頼主からはそう指示されてる。だからターゲットに直に当てちゃ駄目だからそこは気をつけて、オーバー》

 

《分かった、じゃあ手筈通り完了後は回収お願いね、オーバー》

 

《それは任せなよ、じゃあ成功を祈ってるよ、アウト》

 

通信を終えふぅと息を吐く、そしてスコープを覗けば丁度ターゲットが乗った車が現れる、何度も卓上で確認し脳内でシミュレートを繰り返し、現場の現在の状況を再確認してからタイミングを見計らい銃爪を引いた

 

「……完了、ごめんね。これも守るためだから」

 

スリップを起こし『偶々』駐車していたタンクローリー車に激突、爆発炎上を引き起こしたのを確認してから呟き、影に消えるように屋上から彼女の姿は消え、ただ夜の闇を照らす炎だけが音を立てて存在していた




Super SASS
ヴィオレット フランス語ですみれ

パット見たときから後輩力高そうだけど絶対に二面性強そうな子だなぁって思いましたねこの子、m45が焼いたパンが食べたいなぁって書きながら思ってました

最近、ドルフロの二次創作が順調に増えだしてて只々毎日更新してるだけのこの小説の存在意義が分からなくなったけどそもそもこれ私の脳内妄想を形にしてるだけだと思いだしたので私は元気です
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