それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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参謀を名乗るけど割りかし抜けてたりするときもある


四姉妹の次女

ルピナスダミー四姉妹の次女であり(自称)四姉妹の参謀【ビビ】、参謀を名乗るだけあり他のダミーよりも比較的落ち着いており、演算速度は彼女等よりも多少早い。

 

性格もしっかりしており、クレアのようにフルテンションで遊びだすこともなければ、ディアナのように子猫のような性格で自由気ままに動くこともない、なのでこうして相変わらず原因不明の稼働で起きたとしても

 

おねえちゃん(ほんたい)に通信を……」

 

しっかりしている、とは言ったがどうあがいても根っこはルピナスであり、ユノとクリミナの事が大好きなのはダミー四姉妹の共通の思考である。だからだろうか、それとも久しぶりに単独での稼働だったからか、本体であるルピナスに通信を入れようとした手を止めて、何やら考え込み始める。

 

このまま素直に通信を入れても良いのだろうか、そうするとまた眠らされてしまうのではなかろうか、だけど動き出したことだけでも伝えないとルピナスに怒られる、堂々巡りを始める思考に出した結論は

 

「……少し、報告が遅れても問題ないよね」

 

一つ頷いてからビビはゆっくりと待機部屋から出ていく、どのダミーも共通しているのだが起きた時点で他の姉妹(ダミー)を起こそうという考えが全く無い辺りが、これは別に仲が悪いとかではなく単純に自分だけが二人に甘える時間が少しでも長くしたいという無意識下の行動である。

 

という事でビビはテコテコと二人の部屋へと進み出す、その顔はクールでポーカーフェイスが得意(自称)を謳っている彼女にしては分かりやすい程に笑顔であり、すれ違う人形達もビビがこれから二人に会いに行くんだろうなというのがはっきりと分かるほど、だったのだが部屋の前に着いたところでハッと何かに気づく、それは今の時間が少し微妙なくらいに早いという点だった。

 

(えっと、ママは昨日は少し遅くまで仕事をしてたっておねえちゃん(ほんたい)が言ってた、筈です。だとすると寝てる?)

 

だとすると起こしてしまうのは自分たちも本望ではない、確かに甘えたいがだからといって疲れていると思うユノを無理に起こしてまでとは思わない、うーんうーんと扉の前で考え始める、此処まで来て素直に帰るというのもと言う感情とだが起こしてはいけないという以上、あとはルピナスに自分が稼働したということを報告してから待機場所に良い子に寝ている、その二択、甘えたい、でも困らせたくはない、ダミーの中でも優秀な演算機能がフル回転を始める、どうすればと。

 

我儘言っても良いのではと悪魔が囁く、あまり我儘がすぎると嫌われてしまうかもしれないから駄目だと天使が囁く、ビビの性格がここに来て足枷になる、ぶっちゃければ彼女たちのこのくらいの我儘であれば夫婦は快く受け入れて出迎えてくれるのだが少し優秀な演算機能と性格が合わさる少々悪い方向に考えてしまう癖が彼女には存在してしまっている。

 

「帰ろう……」

 

天秤は天使に傾いた、少し、いやかなり気落ちした声で扉に背を向けて待機場所に戻ろうとした時、ガチャと扉が開く音、そして

 

「あら、ビビ?」

 

「へ、あ、パパ」

 

そこにはクリミナが、彼女は今日は休日で昨日は夜遅くまで頑張っていたユノを起こすのは忍びないと一人起きてから彼女のために朝食を用意しましょうかと言う理由で出てきたのだがそこで丁度帰ろうとトボトボ歩き出していたビビを見つけ声を掛ける、ビビも扉が開かれたタイミングで後ろを振り向きクリミナを見つければ目がコレでもかと輝きを増し、だけどもしかしたらと不安そうな声で

 

「起こしちゃいましたか?」

 

「いいえ、あたくしも今起きて朝食を作ろうと食堂に向かおうとしてたところですわ。ほら、おいで」

 

しゃがみ両手を広げてビビを呼べば彼女は何も言わずに笑顔でクリミナの胸へと飛び込む、ここで追加で紹介するとすればビビは先程も言ったがダミー四姉妹の共通思考としてユノもクリミナも大好きなのだがビビはその比重がクリミナに傾いている、つまりは【パパっ子】なのだ。

 

曰く、彼女自身もその理由はよく分かっていないらしい、が結局は二人共大好きなのであまり気にしていない

 

「パパ、ふみゅう、あ、こ、コホン」

 

「ふふ、満足しましたか?」

 

「は、はい。て、お手伝いします、朝食の準備の」

 

自称だろうとなんだろうと自分は四姉妹の中ではしっかり者として二人には見てもらいたいと言う思考があるからなのか、こうしてクリミナに抱き着いてつい顔などを緩ませ甘えた声を出してしまうのだが、今回のようにそれを出した時点で取り繕うように離れて顔を赤くしながらいつもの澄まし顔に戻す。

 

こうして二人は仲良く食堂に向かい台所にて今回は沢山の朝食を作る手伝いに入る、と言うのもダミー四姉妹のうちの誰かが食事前とかに起きてきた場合は全員で繰り返すが『ヴァルター一家全員で』食事を摂るようにしている、これはユノが言い出したことでありダミーだけ除け者みたいな扱いは可愛そうだという考えのもと、だが流石に毎回起こすという選択は負担が大きくなるのでこうして誰かが起きてきたらという制約を設けることになった。

 

「うん、思った通りの味になった」

 

なのでクリミナにとってはビビのお手伝いはとても助かっている、無論他の姉妹たちも手伝ってはくれるのだが割と危なっかしかったりと少しハラハラしやすいので彼女の落ち着いたその性格は心強いのだ。だけど事あることに自信有りげに上記のセリフを吐くのだが、それを見ていたガリルからしてみれば

 

「まぁ、思った通りの味にはなるやろなぁ、それレシピ通りやし」

 

「え、レシピ通りでもならない時が……」

 

「リーエンのはレシピ外が混じっとるだけや安心しぃ」

 

バッサリ斬られた筈なのだがレシピ外っって?と本気で分かっていない声でリー・エンフィールドが呟けばそういうところやぞとガリルはあっさりと諦める。とまぁとりあえず褒めてもらいたいからの言葉なのでクリミナもビビがそう呟いた時は彼女自身も味見をしてから

 

「流石ですわビビ、では朝食も完成しましたしユノ達を起こしてくださいますか?」

 

「任せて、ちゃんと起こしてくる」

 

それから数十分後、ヴァルター一家の朝食の席、もはや当たり前のように混ざっているアーキテクトも含めて各々が食べている、途中ユノがクリミナから今日の朝食はビビが手伝ったのですよと聞けば彼女の頭を優しく撫で

 

「ありがとう、とても美味しいよビビ」

 

「えへへ」

 

その日一日、待機場所にて戻るまでビビのテンションは非常に高かったらしい。




書かれてないけど準備したりしてると「よしっ」とか「キリッ」とか小さく呟くらしい、え、この娘の性格のベース的にヨーヨーが得意そうだって?なんのこったよ(すっとぼけ

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