それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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エルフェルト工房フル稼働である。


衣装の準備が大変

上機嫌な鼻歌、キーボードを叩く音、遂には楽しいという感情が抑えられなかったのか彼女、アーキテクトは誰が聞いても彼女らしいと言われるような笑い声を上げたところで

 

「何が楽しいんだお前は……」

 

「にっしっし、なんたってあと数日もしたらあたしが楽しみにしてたイベントだからね~、そりゃテンションが嫌でも上がるってもんよ」

 

「そうか」

 

この時点でゲーガーからこの件についての興味は失せた、アーキテクトがこのテンションという時点で嫌な予感しかしないと、だがそれに待ったをかけるのもアーキテクト、どうやらゲーガーが勘違いをしているようだと思った彼女はゴソゴソと机の上を漁り、少ししてから一枚のプリントを取り出し

 

「まぁまぁ、ゲーちゃん、君は何やら大きな勘違いをしているようだ、あたしが楽しみにしてるってのは人間が考えたイベント、もっと正確に言えば祝い事のことさ、ほい、コレに詳細は書いてあるよ」

 

と受け取ったプリントに書かれていたのは何とも可愛らしいイラストにデカデカとハロウィンという文字が書かれていた、それを読んだゲーガーはこの単語に聞き覚えがあるなと思考を巡らし、そして思い至る、確かコレは

 

「秋の収穫を祝う行事だったと記憶してるが?」

 

「おっと、ゲーちゃんらしい方が飛んできた、それも確かにハロウィンだけどこの基地で行うのは民間行事のなんてこと無いお祭りの方だよ、ほら、トリック・オア・トリートってやつ」

 

そこまで説明されればあぁと納得する、確かにそれならアーキテクトが此処まで楽しみにするのも無理はないと、と言うよりも此処の指揮官が先ず楽しみにしてるだろうなとすら思いながらプリントを読み進めていくとそこにはある一文が。

 

「仮装、か。やはりしたほうが良いのだろうか?」

 

「そりゃ勿論、折角だし全力で楽しまないと失礼でしょ」

 

「だとすると衣装とお菓子か、お菓子はまぁ前日にでも間に合うだろうが衣装は」

 

「エルちゃんに頼めば?似合うの用意してくれると思うよ、あたしはもう決めてるしその準備をしてるんだけどね~、あとユノっちのとファマちゃんの衣装もだからちょい忙しいけど」

 

ファマちゃん?とゲーガーが首をかしげるがすぐに思い出す、彼女はFA-MASの事をそう呼んでいたなと、いつもどおり微妙に分かりにくい呼び方だと思いながらもゲーガーは当日の衣装を考えるために彼女のラボを後にする、目的地はエルフェルト、衣装などの知識なんてものはないのでとりあえず彼女に相談することにした、彼女がどんな衣装で現れるか、それは当日のお楽しみである。

 

所変わり掲示板前、この手のイベント事はだいたい此処で知ることになるノアとクフェアはゲーガーと同じようにそのプリントを見て

 

「お菓子と、衣装。うーん、クフェアはどうするよ?」

 

「折角だから私は両方用意したいかな、ノアもどう?」

 

「まぁオメェがやるってんならやるけど、菓子は何とかなっても仮装衣装はどうすんだ?エルフェルトにでも頼むってのも手かもしれねぇが他にも同じ考えが居たらアイツも忙しくなりすぎるぞ」

 

ノアの指摘通り、今回のハロウィンは衣装を彼女に頼もうって人形がそれなりの数居た、一応ダミー込みで彼女でも対処はできているのだがあまり任すのもというのが二人の気配りであり、だがそうするとどうしたものかと言う問題に直面する。

 

そんな二人に手を差し伸べる人形が居た、それは

 

「あらあら、お困りかしらお二人さん」

 

「げ、何のようだよエロうさぎ……」

 

「ノア、失礼だよ。おはようございます57さん、それでえっと、ハロウィンについて悩んでまして」

 

クフェアから聞いてあぁと納得するのはFive-seven、続けて悩んでいる内容が衣装についてだと聞けばニコリと優しい笑みを浮かべてから

 

「なら、私に任せてみない?」

 

「57さんが?あ、いえ、ちょっと意外だなと思っちゃって」

 

「おい、クフェア止めておけ、ぜってぇ禄でもない衣装用意してくるからなこのうさぎ」

 

「信頼度無いわねぇ、お姉さん傷ついちゃうわよ?大丈夫よ、TPOくらいはきちんと考えてるから」

 

だから今回は信用してみない?57からそこまで押されればクフェアは既に乗る気なので良いとしてノアも疑いすぎるのも悪いかと思い始める、正直言えば彼女も人形には少し弱い部分があったりするし、このままでは衣装に当てがないのも確かなのでと小さく一つだけため息を吐いてから

 

「んじゃ、頼めるか、ただ、くれぐれも、マトモなのにしてくれよ、アタシもだがクフェアのもだからな!」

 

「もうノア?ごめんなさい57さん、でもお願いできますか?」

 

「良いのよ、そこまで疑われるようなことっしちゃってるのも事実だしね、それじゃ当日楽しみにしておいて頂戴」

 

じゃーね~と手を振りながら57は二人から離れて自室に向かいながら耳元に隠してあった通信機のスイッチを入れ誰かに繋げる、少ししてからその相手に繋がり

 

「はぁいDSR、少し案が欲しいのよ、ええ、ハロウィンの衣装で……え、私じゃないわよ、指揮官でもないってあっちはもうアーキテクトが用意するみたいだしね、そうそうあの二人の、そうなの任されたのよ」

 

ニヤリと弧を描く口元、別にノアからの約束を反故するつもりはない、彼女だってガチで怒られたくはないのだから、でも遊び心というものは抑えられない、問題はノアが着てくれるかどうかにあるがそこもこのうさぎは抜かりなく考えている。

 

ノアは一つミスを犯したとするならば彼女を信頼したことではない、ノアは言ってしまった『マトモなのにしてくれよ』彼女はこれだけを伝えてしまった。

 

(えぇ、マトモなのを用意するわ……コスプレって形でね)

 

コスプレ元のキャラがその衣装なのだから、通るでしょ理論である、無論、通らない模様だったがクフェアに押し込まれるので57的には問題ないと断言するらしい、このうさぎはもう手遅れかもしれない。

 

最後に我らが指揮官、ユノとクリミナ、そして娘たちはと言うと

 

「私の衣装はアーちゃんが用意してくれるんだって、何でも魔女っ子になろうぜって」

 

「その一文に物凄く不安しか無いのですが……あたくしはオペラ座の怪人のファントムにしようかと」

 

それ恋が成就しなかった存在ではとステアーが思うもとりあえず黙っておく、因みに三人は当日まで秘密らしい、がルピナスだけは去年よりも更にパワーアップしてわと断言してた。




とか書いたけどまだアーキテクトとかゲーガーとか決まってないと言うね、当日までに考えておくよ!あ、ノアとクフェアは決まってます。

因みにユノが魔女なのは彼女が『奥さま』だからである、はい。

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