それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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何処であろうと、必要ならばそこは私の戦場です。


命の現場に待ったはない。

「では、これで引き継ぎを終わります、明日は頼みましたよ二人共」

 

PPSh-41の言葉にこの基地のまだ多いとは言えない医療スタッフのSOCOMとリベロールが頷くがSOCOMからすれば何もこんなガッチリしたブリーフィングを行わなくてもと思い苦笑を浮かべる、と言うのも引き継ぎとはPPSh-41は言ったが別に彼女がこの基地を離れるわけでも少しばかり出張するという訳でもなく

 

「大丈夫よ、貴女が一日だけ羽根を伸ばしたくらいでどうにかなる私達じゃないわよ」

 

「はい、だから医務長もゆっくりしてきてください」

 

「してきて下さいも何もまだ明日一日の暇をどうするかなんて考えてないんですけどね」

 

そう、唐突ではあるがこの基地の医務長、PPSh-41は明日一日を丸々と休日という辞令を言い渡されたのだ、これにはどういう事だとその言い渡してきた人物であるユノに聞けば、彼女はPPSh-41がこの基地始まってから休日でも医務室待機だったり、出張以外に何処かに出掛けてたり、気を休めてる場面を見たことなく、他の人形に聞いても似たような話が出てきたから、医療班が増員し、特に何かが起きているわけでもない今のタイミングで少し羽を休めてはどうだろうかということらしい。

 

指揮官からの直々の辞令、となると無碍と言うか突っぱねることは出来ない彼女ははぁと納得してから医務室にて二人に話せば

 

『良いんじゃない?病院に居た頃だけど貴女少しワーカーホリック入ってるし、休め言われたなら休みなさいよ、何日くらい?え、一日?えぇ……』

 

『医務長の留守はSOCOM副医務長と私が預かります、だから大丈夫です』

 

と引き止められもしなかった、ならば言葉に甘えて羽を休めますかと思うのだが彼女、休みと言われてもさて何するかから始める人形であり、自室にて今もどうするかと考えていた。

 

基地でのんびり、と言うのも勿論選択肢だ、だが基地に居れば結局は何かをしてしまい、それを誰かに見られればユノの耳に入り何で?と言われる未来が見えなくもない、だが出かけるとしても何処に……と考えたところで

 

「あぁ、だったら久しぶりに顔を出しに行きますか」

 

何時ぞやの電話越し以外ではこの基地に配属されてからまだ一度も顔を出してなかったなと思い出したのは少し前に働いていた病院、今も変わりなく稼働しているのは知っているのだが、今どうなってるかをこの目で見るのも良いかもしれないと。

 

とすると足が必要ですよねと彼女が向かったのは車庫、その一角に止められた少々レトロ感が満載のバイク、PPSh-41自体はバイクにはそこまで興味があるというわけではなく、過去にアーキテクトとこの基地のバイク好き達に小回りの効いて医療道具などを増し増しに乗せれるバイクは作れないかと聞いたところ出てきたのがコレ、64式自が言うには

 

『ブラフ・シューペリアのSS100モデルとか誰がデータ出して組み立てたのよ……レアとか通り抜けたバイクよコレ』

 

と呆れ気味に言ってたがPPSh-41ははぁそうなんですかと返すに留まったのはまぁ余談だ。兎も角彼女はこのバイクに医療道具一式、白衣、更にアーキテクトがスカウトをベースにして作った医療ドローン『Dr.サポートちゃん』もバイクの後部に積まれており移動先で必要になってもある程度の処置ができるような装備が整っている。

 

因みにPPSh-41が運転できるのかと疑問に持たれそうだがそこは練習したらしい、なので今では自由自在に乗り回せる様になった、そんなバイクを彼女は簡単に整備、と言っても彼女はまだ本格的には習得したい無いので

 

「すみません、急に頼んでしまい」

 

「いいわよ、SS100モデルに触れるならこのくらいならお安い御用だわ……よし、完了、これなら明日乗り回しても問題は起きないと思う」

 

「ありがとうございます」

 

大体がウィンチェスターが64式自、グリズリーが最終確認することになるが今回は大丈夫だったらしい、という訳で翌日、彼女は朝食を終えてからバイクを走らしS02地区にある彼女が勤めていた病院がある街へと目指していた。因みに流石に白衣ではなくベージュのトレンチコート姿である。

 

途中、野盗に目を付けられたのか追われるハプニングが軽くあったものの念の為にと上空警戒していたノアに蹴散らされPPSh-41は無事目的地の街へと到着、バイクを降りて押しながら病院を目指していると目の前で一人の少年が思いっ切り転け、見れば結構酷く擦りむいたのか蹲ってしまう。

 

PPSh-41はやれやれと思いながら少年の元へと向かおうとした時、一人の男性が少年に駆け寄りあれこれ話しながら手際よく、そして手慣れた様子で処置を施してから

 

「よぉし、コレでもう大丈夫だ、よく泣かなかったな」

 

「ありがとう先生!」

 

「気をつけろよな~「院長?」ん?」

 

見ればその男性はPPSh-41には見覚えがあるとかいうレベルの存在ではなかった、彼こそ彼女が前に勤務し実ることがないと分かりながらも恋い焦がれた存在、向こうも彼女に気付くとおぉと手を振り

 

「久しぶりだなペーシャ、どうしたんだい急にこの街に来るなんて」

 

「いえ、指揮官に働き過ぎだからと他のスタッフに任せて一日暇を貰い、折角ならばと顔を出しに」

 

「はは、ワーカーホリックは相変わらずか、だけど変わりがないようで何よりだ」

 

院長こそと誰が聴いても分かるくらいに嬉しそうな声で答えるPPSh-41、だがその一時の小さな彼女の幸せも続かないものであり、院長の男性の背後に女性が現れるとPPSh-41は割りかし分かりやすい感じに

 

「誰と話していると思えばペーシャじゃないか」

 

「お、お久しぶりです、医務長」

 

「あぁ、久しぶり……その様子だとまだ吹っ切れてないようだな」

 

「誰のせいだと……!!」

 

彼女こそがPPSh-41が実ることない恋の最大の原因であり、院長の妻であり、彼女が勤めていた病院の医務長である女性である。因みにPPSh-41は様々な要因があり彼女が苦手である、だが全てにおいての腕は自分よりも断然上でありその点ではPPSh-41が未だ目指している領域の人物である。

 

「えっと、とりあえずそこのカフェでお茶する?」

 

「お前は……まぁいい、ペーシャ、どうする?」

 

「そうですね、積もる話もありますし【ドォン!!】っ!?」

 

何が起きたのか、突如の爆発に見れば悲鳴が上がり、人々が逃げるように走る中心点、そこでどうやら車が爆発したらしいのだが周り数十人が巻き込まれたのか倒れているのも確認でき、PPSh-41は事態を即座に把握、無論それは院長も医務長も理解しており二人は同時に病院に連絡を取る。

 

「はぁ、院長、医務長、私も手伝います!」

 

「状況が状況だ、手は少しでも欲しい、頼めるか?」

 

「え、だけど君、今日は非番だって」

 

院長が申し訳無さそうにそう聞いて来るがPPSh-41は自信有り気な笑みを浮かべ、バイクから医療道具一式、そしてDr.サポートちゃんを起動させ白衣をバサリと羽織りながら

 

「命を預かる職業に、非番もへったくれもありませんよ」

 

結局、その日ほぼ一日をこの事故によって出た怪我人の治療に当たることになるのだが、その様子が翌日の新聞に載り、それを見たSOCOMがただ一言

 

「何処行っても仕事になるわね貴女って」

 

「性分です」

 

「ワーカーホリック……なのでは?」

 

リベロールの鋭い指摘に肩をすくめるPPSh-41であったとさ。




因みにこの院長と医務長、イメージモデルはコーラサワー夫妻らしいっすよ?
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