それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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MDRの説得ロールが光る!!


ハロウィンのその後

グリフィンにはネットの掲示板というものがある、MDRがよく利用する【グリフィンタレコミ掲示板】もその一つだ。

 

これはグリフィンの各基地の人形、または指揮官などが愚痴ったり真偽が定かではない噂などを書き込むものなのだが中には季節ごとのイベでウチの基地はこういうのをやりましたという事を報告するスレも存在する。

 

「で、テメェはこの基地のハロウィンの仮装衣装の写真を撮って載っけたってわけか?」

 

「いやぁ、だってほらこの基地タレコミ見ても分かるようにさ、繋がり以外の他の基地からの印象が不気味だの何だの悪評に近いものが多かったからアットホームだよって宣伝したくなるじゃん?」

 

ほぉん、とノアの納得してるようでしてない声が訓練場に響く、今のノアの質問に答えたのはMDRなのだが今彼女はこの訓練場の天井からロープで吊らされている、よく見ればFive-sevenとDSRも同じ様に吊るされていたりするがそれは置いておこう。

 

何がどうしてこうなったのか、それはその例の掲示板にあった。

 

「まぁ、確かにオメェの言い分も分からないって訳じゃねぇ、人間はアタシ入れたって四人の他は人形が兼業して基地を回してますって言われりゃあ確かに不気味だし人間軽視だって後ろ指だって差されるわな」

 

「だろ!?私はそれを少しでも払拭しようと……」

 

「で、それならハロウィンをこんな感じにやった程度でいいよな?更に言えば街でも協力して行ってって話の方が更に伝わりが良いよな?」

 

絶対零度と溢れ出ようとしているマグマのような熱さが混ざった視線がMDRを襲い、彼女の額に冷や汗が流れる。確かにノアの言う通りの事もあの掲示板には載せた、警邏を協力しながらも仮装して子供たちにお菓子を配るFA-MAS率いる警備部隊の事で、P基地も協力して盛り上げてるよ的なノリで、まぁそれでも色々言われたがそれは彼女的には戯言なのでスルーしている。

 

だが今回の問題はそこではない、寧ろそれだけだったらノアが此処まで怒る理由にはならないし、こうして吊るされるハメになる訳がない、では何をしたのか、それは同じくその掲示板の他のスレにあった。

 

「それで、この……『ウチの基地の仮装が一番エロい』ってスレは何だ?」

 

「……ほ、ほら、若気の過ちってのあるじゃん?」

 

「テメェには今選択肢が出た、SPASか、KS-23だ、どっちがいい?」

 

「遠回しのようでストレートな死刑宣告!?」

 

「うるせぇ、アタシのあの格好がネットの掲示板にバラ撒かれたって時点で死刑以外の選択肢があると思うなよ!?」

 

その顔はとてもとても真っ赤だった、無論この基地の人物の仮装だとはバレないように情報処理はコレでもかと行ったのはこれがP基地のノアの仮装だとは今現在ではバレていない。

 

だがそれとコレとは別なのだ、自分じゃないとバレないとしてもあの恥ずかしすぎる仮装衣装が不特定多数に見られるという事実がキツイのだ、というより

 

「普通確認取るよなぁ!?」

 

「え、あのプリントに割りかしデカデカ一文書いてたと思うけど……」

 

「え」

 

「え」

 

後に確認したところ、本当に書かれてたことが判明、しかも表面に情報部の写真撮影あるし掲示板に載せることがあるよと、だが今それを確認するすべはないし、掲示板と言われても基地の中のあれだと思うのが普通だし、他の面々もそう思っている。

 

なのでMDRがプリントのことを引き出したと言って彼女の罪が軽くなるわけではない、寧ろ何故軽くなると思ったのかすらある。

 

「さて、言い訳はもう良いか?」

 

「待って!?ていうか私だけが罰せられるって言うのがおかしいから!!」

 

「あ?」

 

このままでは裁かれるのは自分だけだと、そんなの納得行くかと彼女は徹底抵抗を始める、と言うよりも今回の件に関してはノアの言い分だとまるで自分だけが犯人だと断定されている時点で色々おかしいということに気づいたMDRは

 

「他にも共犯が居る、情報部のほか二人だ、FMG-9とG17もノリノリだった!」

 

「端末にはテメェのアクセスログしか無かったらしいぞ、ヴァニラが言ってた」

 

「嘘だ、いやいやいや、アイツラもやってたって!あの二人も共犯なんだよ信じてくれよぉ!!」(ブラーンブラーン)

 

体を揺らしに揺らして抗議、その様子にうーむと少し考え始めるノア、そこに彼女よりも前に吊るされていたノアにあの衣装を作り渡した主犯の二人【DSR】と【Five-seven】が吊るされたままの

 

「あ~、それはスケープゴートにされたわね~」

 

「あらあら、MDRちゃんは利用されるだけされて捨てられちゃったのね……」

 

「つまりなんだ、情報部が丸々犯人ってことか?」

 

「そう、そうなんだよ!!だからこうして私だけが吊るされるなんて不公平だ、アイツラも吊るされるべきなんだよ!!」

 

必死過ぎるその表情にノアは段々と自分が悪いことをしているのではという感情に陥り始める、いや、無論MDRも犯人の一人なので吊るされることに関しては間違っては居ないのだが、コレではまるで体よく切り捨てられた哀れな下っ端みたいで思わず同情の念が篭もった視線を送ってしまう。

 

いや、確かに自分は最初からMDRを疑い捕まえ有無も言わずに天井に吊るした、がよくよく考えればあの二人が何も絡んで居ないと言うわけがないと冷静になれば分かることだ、MDRのアクセスログだけというのもおかしな話だと今になって気付く。

 

「……わ、わりぃ、ちょっと怒りに我を忘れちまってた」

 

「い、いや、私もやったことには違いないからさ、ごめん」

 

(あ、これ上手い具合に自分の印象良くしたわねコレ)

 

(ノアちゃんは根っこが良い子過ぎるからねぇ)

 

互いに謝り、少し空気が落ち着き良くなった空間の中、一瞬で蚊帳の外になったDSRと57が今のやり取りのMDRの狙いを読み取る、彼女たちの言う通り、MDRは自分は確かに関わり本当に申し訳ないと思っている、だけど自分も少しだけは被害者なのだとノアに訴えることで事実、彼女はMDRに対して悪い事をしたという感情を抱かせることに成功している。

 

「とすると、あの二人もとっ捕まえねぇとな」

 

「……なぁ、私にも協力させてくれないか?やられっぱなしってのは流石にムカつくからさ」

 

MDRの言葉にノアは怪訝な表情を向ける、が彼女はそれに負けずにニヤリと笑い返す、暫しの沈黙、そして……

 

「裏切りましたねMDR!!」

 

「先に裏切ったのは先輩達だろう?」

 

「まさか、基地丸々味方に付けて私達を確保しに来るなんて……」

 

「さぁて、覚悟はできてんだろうなぁ?」

 

数分後、訓練場から悲鳴が轟いた。




尚、この後MDRもしっかり断罪された模様。

因みにその日は半日ほど訓練場の天井にはMDR、FMG-9、G17、DSR、57が吊るされてた模様。

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