それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
ナデシコ電脳空間、なのだがついこの間まではだだっ広い如何にも電脳空間ですという感じの場所だった此処は少しだけ様変わりしていた。
あれから対ダミーブレインの為にと防備とサポート体制を強化、ようやく存在が安定し始めたオモイカネが自身のダミー人形を生成し有事に備え待機、更にアーキテクトがこの空間専用の警備アバターを作成し警戒に当てさせている、因みに警備アバターの見てくれは鉄血一般人形である【リッパー】【ヴェスピド】【ストライカー】だったりするがあくまで皮がそう見えるだけの警備アバターでありダミーブレインの指揮を奪取されたりはしない。
内装も流石に彼女とオモイカネだけで全域の状況の報告は難しいとなっていたのでオペレーションルームみたいな感じに手が加えられ各席には専用のオペレーターアバター、アーキテクト曰く【オペ子】も数体用意されて手を休めずに各地区の基地に報告を上げていく光景は宛ら
「映画とかで見る前線基地の通信室って感じになったね~」
「指揮官、此処も前線基地だからね?」
何とも抜けたことを言いながらこの体制になっても変わらず現れては消える情報を見つめ必要なものをオペ子やオモイカネ、もしくは自身で報告を上げていく、が此処最近ではコレに加え休まずに行っていることがあるそれがダミーブレインの捜索、寧ろオペ子の実装などはコレに割く時間を少しでも増やすための処置でもあったりする
「……やっぱり反応が見当たらないね、ルーラーの眼を上手く掻い潜っているのかはたまた何かトリックでも使っているのか」
「ねぇ、確か私の【お姉ちゃん】の体が使われてるんだよね、だったらその生体反応で探せない?」
「って思ってやってみてはいるんだけどそっちも空振りなんだ」
「だとすると、もしかしてこの地区には居ない?」
そんな馬鹿なと言いたくなるオモイカネ、だとすればあの襲撃はS地区じゃない別の地区からの遠距離からの襲撃だということになる、確かに不可能ではない、だがやるにしてもそれ相応の設備が必要になるものだ、しかし
「ダミーブレインにそんな設備を用意する力なんて無いはず、鉄血に居るならばまだしも単独で動いているとなれば尚の事、協力者でも用意してるなら別だけど」
「協力者……態々鉄血の人形に?」
「全く居ないというわけでもないとは思う、けど、もしかしたらってレベルではあるけど」
こうして情報を出し合い、考えられる形でアプローチを掛けて探索を入れてみるが結果は空振りの連続、だがそれが寧ろ不自然だというレベルでダミーブレインについての情報が全く入らないことに二人は更に頭を悩ます。
生まれては消える様々な憶測、うんうんと唸っている二人の所に情報部から連絡との知らせを受け取り繋いで見れば
《こちら、FMG-9。ボス、ちょっと気になる話をMDRが拾いました》
「話?MDRが気になるっていうことだと何かあるのかも、話してみて」
《此処ではない他の地区なのですが週に一度の間隔で人形が行方を眩ましてます、しかも民間もグリフィンも関係なく急にロストするみたいです》
更に言えば同じ地区ではなく毎度毎度バラバラ、人形に共通点もない密売組織の犯行かと思ったがそうでもないらしく、まるで神隠しに遭ったようだという話、MDRに言わせれば噂話に近いものなのだが情報部はそれが気にかかったので報告を上げたらしい。
それを聞いた二人は今のを元に思考を巡らす、出てきたのはついさっきの自分たちの言葉、協力者、ふとその言葉と先程の神隠しの噂、何故かその2つの歯車が急に噛み合い
「……まさか、コレってあり得る?」
「無いとも断言はできない、アーキテクトに聞いてみたほうが良いかも」
急に慌ただしくなるナデシコ内、時同じ、S地区ではない別の地区の街にて、そのスラム街の広場と言える場所に積み上げられたガラクタの山の上に一人の少女が腰掛け、少し前にこの街の管理をしている基地の人形が配給してくれたレーションをガツガツと食べていた。
その姿は少女と言える背丈であり、髪は病的なまでに白いのに対して肌は浅黒く、身なりだけ見れば孤児だというのが容易に連想できる
『……腹は膨れそうなのか?』
食事が終わる頃、少女の脳内で声が響く、声は少女なのだが大人びた落ち着いた感じの声色のそれに少女は驚くこともなくごくんと最後の一口を飲み込んでから
「一杯になったよ!【キャロル】」
キャロル、そう呼ばれた脳内の声の少女はそれを聞いてから漸くかと言った感じのため息の声を上げた、無理もないだろう配給のレーションは一つだけ貰ったのではない、少女が座っている右隣には数個の積み重なったレーションの空がありそれが彼女の食欲を物語っているのだから。
『ならばいい、全く人間の体というのはコレが不便だな……それで此処でも家族を増やすつもりか【アルアジフ】」
アルアジフ、キャロルにそう呼ばれた少女はその質問にニコニコと無邪気な、だが見る人が見ればその内なる狂気に怯みそうな笑顔を貼り付けて元気よく立ち上がってから
「うん、キャロルが言ってた待機期間は過ぎたから探しに行くよ!」
『ふむ、だったら先程の配給をしてた人形の中に素質がありそうなのが一体、いや、一人居た。ソイツを狙ってみることにしろ』
「よぉし、じゃあ探しに……」
「えっと、大丈夫かしら?」
声の方を見ればアルアジフを心配そうに見つめる一人の人形【M1918】恐らくは偶々このスラムの警邏のために通りかかったのだろうか、まるで一人演技のような事をしているアルアジフに上記の台詞から分かる通り、この娘、大丈夫なのだろうかと声を掛けたようだ。
だが、彼女はもっと他に気にするべき点があった、此処はスラム街の中心とも言える広場、だと言うのにまるで追い払われたかのように彼女を除いて人っ子一人居ないということに、そしてM1918を見つけた少女の瞳が狂気に染まりきっていたことに
「アハッ」
「あ~、ほらそこのガラクタの山は何時崩れるかわからないから早く降りたほうが良いよ~」
言葉を聞いてトントンと踊るようにガラクタの山から降りた彼女はM1918の側まで向かう、彼女はそれを見て良かった良かったと安堵の息を吐いたのだが……それが【M1918】としての最後の感情になるとは思いもよらなかっただろう。
アルアジフがM1918に近づいた時、トスっと言う何かが刺さった軽い音が聴こえた。
「ガッ……?」
「ねぇねぇ、お姉さん……」
私の家族になってよ。それが耳に届いた瞬間、M1918の電脳がナニカに急速に書き換えられる感覚に襲われた、いや、実際に書き換えられている、今までの記憶が、記録が、メンタルが、自分が、抵抗も何も出来ずに一から書き換わっていき、遂にはドサリとメモリーが耐えられずにその場に倒れ伏す。
『ほぉ、喜べアルアジフ、大成功だ』
「え、じゃあ!」
『ハイエンドモデル化の成功を確認した、漸く二人目だぞ』
見ればM1918だった人形の髪はアルアジフと同じくらいに白くなり、肌も少々病的なくらいにこちらも白く、気が付いたようで開いて見えた眼の色はマリンブルーに、彼女は覗き込んでいるアルアジフに気付くと
「あ、ごめんなさい、指揮官、ちょっと意識を失ってたみたい……」
「ううん、大丈夫だよ。じゃあ帰ろうよ!」
『しかし二人目までに此処までの時間か、まだこのウィルスの改良は進めないと駄目か……』
その日、また人形が一人消えた、だが真相をするものは誰も居らず、ただ楽しそうな少女の鼻歌だけが響いた。
オッス私アルアジフ!
カーッやっぱシャバは最高だー、とか思ってたら
クローンに名前は盗られてお婆ちゃんはその娘と一緒!?
次回それいけポンコツ指揮官(ry
へいき、へっちゃらよりもCH(かぐや消し
絶対見てくれよな!
キャロルとか言ってる時点でもう言い訳不可よこれ