それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
そろそろ冬の足音が聞こえそうな寒さになり始めた今日このごろ、昼間はまだ何とかなっても朝方や夕方日が落ち始めるとそれはもう肌寒いでは済まされない気温になり、その証拠に基地の動物たちも何処か温かい所でぬくぬくとしている場面が見受けられたりする。
こうなるとノアが拾い飼育しているノロスケも冬眠に入ったりするのだろうかとなるのだがそこはユノが折角だし他の動物達も快適に過ごせるようにとアーキテクト達に頼んで中庭を改修、今までは天井もなく悪天候時は割りかし凄いことになることも多々あったそこを陽の光を遮らないように天井を超強化防弾耐爆ガラスを使った全面天窓にして、中庭を一つの部屋に、それだけでなく動植物が快適に過ごせるように湿度と温度を自動で調整してくれる装置を完備し、結果ノロスケは冬眠知らずに一年中のんびりと過ごせるようになった、これにはノアも大満足である。
だがそれでは雪遊びなどはどうするのかとなるが、代わりに基地の一角に大きめの運動場、と言うなの遊び場を作ったのでそれで解決済みである、因みにこの工事だけでまた少しだけ基地が大きくなったとか何とか。とまぁ基地の改修話はここらで置いておき、兎も角寒くなり始めたこの基地では去年、現れると同時に瞬く間にこの基地を制圧下に置いたあの存在がまた現れたのだ。
「まぁさ、焦っても仕方ないよねぇって思うんだよね私」
「確かにそうね、それにしてもコレ良いわね」
「あたしもうここで過ごすわ……」
もう既に三人、いや、この休憩室には他にもこの存在、日本人形にとっては寒い季節には絶対に欠かせず、そして去年は一〇〇式が広めに広めた人を囚える暖かな魔力の固まり、【炬燵】に囚われた者たちが幸せそうな緩い表情を晒しながら炬燵に入りこたつ板にその顔を載せてリラックスしている姿が見受けられる。
ユノが寒くなったなぁと日課の掲示板を覗いた時、一枚のプリントに一〇〇式の文字で『炬燵、解禁しました』只その一文だけで彼女は休憩室に駆け込んだ、去年のそれで既に魅力にとらわれている以上仕方のないことだろう、あの温もりを忘れられるはずもない彼女はいの一番にこの炬燵に入り込んでいた、それは教科書に乗るようなレベルの奇襲だったと後に彼女は語る
「話には聞いてたけどコレは想像以上に出たくなくなるわね……あぁ、ヤバいわコレ」
「何で抜け出す必要があるんだよぉ、もう寒い季節は此処で過ごそうよぉ」
「そうしたいけど、悲しいけど休日は一日だけなんだよアーちゃん」
組織は優しくないよぉと脊髄反射だけで行われる会話にどういう反応をして良いのかわからないという表情を晒す64式自、その手にはスリーピース達が冬と言えばと前々から栽培用意していたミカン、彼女たちは知ってか知らぬか、それは【ウンシュウミカン】であったので64式自が炬燵開きの時に持ってきたものだ、因みにきちんと網カゴに山積みにされている。
皮を丁寧に開いていき、中の果実を一口大に分けてから食べてみれば、程よい酸味と甘さが口の中に広がり
「うん、いい味ね……末恐ろしいのはコレをアイドルを自称してるあの子達が本気で作り上げたことだけど」
「美味しいよねぇ、去年はアイスを食べたりもしたなぁ」
モキュモキュと言う効果音が付きそうな感じにみかんを食べるユノ、その向かい側ではヴァニラもみかんを食べているが途中、果実に付いている筋が気になったのか丁寧に取り始める。
更にユノから見て右側にはアーキテクトがふへぇと言う表情で炬燵から動く気ゼロですと言葉にしないでも分かる表情を晒している、彼女は当たり前だが炬燵なるものは初めて、だがユノに誘われ入って数秒としないでこうなった。
無論、こうして囚われているのは彼女たちだけではないというのは先程話したとおりだ、少し視線を動かせばUMP45が、OTs-12が、G11が、リベロールが、6P62が、それぞれが炬燵に入り好きなように過ごしている。
「あら、もうこんなに集まっているのね」
「これがコタツっていうのか、暖かいって話だっけ?」
「みたいですね、見てください。お義姉さんがこうなるくらいには凄いものらしいですよ」
「そこの能天気バカは何にでもこうなるだろうが」
新たな犠牲者が現れた、炬燵の支配下である休憩室に現れたのは掲示板を見たのだろうノアとクフェア、それと何故か缶コーヒーを手に持ってVectorも現れたが64式自はその時点でVectorの考えに気づき微妙な表情を晒す。
彼女たちも他のまだ空いている、と言うよりも64式自達が居るところもまだスペースが有るのでとやってきて炬燵に入れば、クフェアよりも先にノアが
「……悔しいが、これはスゲェ、あったけぇ」
「お義姉さんやアーキテクトさんがこうなるのも分かる気がします」
「えぇ、去年もこうして入ったけどやっぱり良いものねコレは」
即堕ち2コマだ、何処か別の炬燵からそんな声が聞こえたが気の所為だろう、兎も角こうして無事にノアとクフェアも陥落、と此処でVectorは缶コーヒーをこたつ板の上に置いてからミカンを一つ手に取り……
「アルミ缶の上に『あるみかん』とか言うつもりなら追い出しますよ」
「……あったかいものどうぞ」
「はぁ、暖かいものどうも?」
ショボーンとしか言い表せないような表情でVectorは缶コーヒーを開けてからユノに渡す、その様子に周りはそんなにギャグが潰されたのがショックなのかと逆に困惑することに。
因みにVectorとしては割とマジで凹んでいる、潰されたのもそうだしそこまで邪険に扱わなくてもという部分もある、彼女にとってギャグはそんな存在らしい、全くもって謎である。それから少ししてからまた休憩室の扉が開かれ入ってきたのはスチェッキン、どうやら何処かに行商をしに行ってたようで両手を擦りながら炬燵へと入ってきた。
「ふひぃ、外めっちゃ寒いよぉ……」
「スチェッキン、今日も外に?」
「おうとも、D地区の方に七五三関連の物をちょっとね、勿論大特価サービスでだよ?」
七五三、となるとまた一〇〇式が動くと思われそうだが実を言えば彼女たちはコレどうするのと迷っていたりする、と云うのも七五三の対象となる人物が居ないのだこの基地、D地区ならば養子に迎えた子供たちも含めれば居るだろうが。
なので当日までどうなるかは分からない、ただまぁ
(お祭りごとだから街の方で何かはするでしょうね)
湯呑のお茶を飲みながら64式自はそんな事思い、ふぅと一つ息を吐くのであった。
全力でおふざけ後書きします。
リベロールちゃん「遂にノリと勢いで指揮官のオリジナルの遺体まで敵として出し始めたそれいけポンコツ指揮官。
死んでも眠りにつけないとか大変ですね……私は医務室で利用者の処置と医務長達のサポートをしていれば過酷な現場に引っ張り出されないので本当に良かったと余裕ぶっこいてます!」