それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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価値観は人形、されど身体は人間


体調管理はしっかりと

最近の指揮官は休日以外では朝五時起床でそこから業務、その後も戦術人形と話をしたり勉強をしたり明日に回せばいい仕事の一部を夜遅くまでしたりという生活を送っていた

 

ある日、いつもの時間に起きた指揮官は妙な体の怠さに襲われていた、が当人は何を思ったのか朝だからだろうなぁと異常をスルーし若干フラつきながらも仕事着の軍服に着替えてようとしたとき、ガクンと膝から崩れ落ちる

 

「あ、あれ?」

 

立ち上がろうと身体に力を込めてみるが思うように入らず、それでも机に手を掛けて無理に立とうとすれば意識が遠ざかり、バタンと音を立てて床に倒れる

 

偶々近くを通りその音を聞いたのだろう、【M14】が何事かと部屋に入ってくれば目に写るのは床に倒れ伏す指揮官の姿

 

「指揮官!?」

 

だが返事は返って来ない、意識がないのを確認した彼女は指揮官をよいしょと背負いベッドに寝かせてから直ぐに部隊として所持している通信機を起動させ

 

「ペーシャちゃん!指揮官が倒れて意識がありません、自室へと来てください!」

 

《え!?わ、分かりました、直ぐに指揮官の部屋に向かいます!!》

 

「お願いね、次はナガンちゃんだね。こちらM14、ナガンちゃん、指揮官が倒れました、至急、指揮官の自室へ来てください!」

 

《なんじゃと!?分かった、すぐに向かう!》

 

M1895にも通信を終えた数分後、ベッドで眠る指揮官と診断をしている【PPSh-41】それを心配そうに見つめるM14とM1895

 

診断が終わったのかPPSh-42が彼女の側を離れて二人の方を向き、指揮官の容態を簡潔に述べた

 

「倒れた主な原因は過労、ですね」

 

「過労じゃと?ああ、いや、そういう事か……馬鹿者が」

 

「ナガンちゃん?」

 

「ここ数週間、深夜にこやつの部屋から明かりが漏れていると言う話を聞いててな、本人は消し忘れだと言っておったが」

 

診断結果を聞き、更にそれに心当たりまであったM1895がやはりわしがキチンと言うべきじゃったな、と後悔を滲ませる声で呟く

 

「何もナガンちゃんだけが悪いわけじゃないですよ、指揮官も私達の助けになりたいからって無理しすぎでしたし、そんな指揮官を止めることが出来なかった私達だって悪いのですから。なら次からはこうならないように気をつけるって事でいいんじゃないですか?」

 

重くなり始めた空気の中、ね?と彼女らしい笑顔でそう告げれば、M1895はそうじゃなと落ち着いた様子で寝ている指揮官に近寄り頭を軽く撫でる

 

「本当なら一日居てやりたいが、せめて最低限の業務は終わらせぬとな」

 

「でしたら私が居ますよ、ナガンちゃんは安心して終わらせてきてください」

 

「そうか、すまぬが頼んだぞM14。さて、とりあえずカリーナに手伝ってもらうかのう」

 

「では、私も戻りますね。何かありましたらすぐ呼んでください」

 

「うん、ペーシャちゃんもありがとう」

 

二人が部屋から出ていき、M14はベッド側に置いてある椅子に座る。指揮官が寝ている以上当たり前なのだが静かな時間が流れる、それから数時間後、指揮官が目を覚ました

 

「あれ……私」

 

「指揮官、良かった、倒れたのですよ?」

 

「倒れ、た?」

 

事態が飲み込めてない彼女はM14の言葉をオウム返ししてあっ、と声を出す。どうやら自分でも無理をしていたという自覚はあったらしい

 

その様子を見てM14はあまりきつくは説教しなくていいかなと考えだけどこれだけは言うべきだなということを指揮官に告げる

 

「指揮官、私達の為に頑張ってくれるのは嬉しいです。でもそれで指揮官に何かがあっては私達は皆悲しんでしまいます、だから自分を大事にしてください」

 

「ごめん……まだ大丈夫って思ってたんだよね私、皆が大丈夫だから私もって」

 

M14の言葉を聞き一言謝ってからポツリと指揮官が呟く、それは彼女の中にあるほんの少しの価値観のズレ、今回の事態はそれが生んだ事だった

 

指揮官の価値観は人形寄りであり、それ故に自分に対する認識も若干だがそっちに寄っていた、だから戦術人形(みんな)が大丈夫なラインなら自分も行けると言う認識で最近は動いており知らず知らずと身を削ることになっていたのだ

 

だがその事実を知らない指揮官は何でかは分からないけど無意識の内にそう思ってたんだよねと付け足す

 

「もう、でも今回で分かりましたよね?」

 

「う、うん、本当にごめん、あとでナガンにも謝らなきゃ」

 

「きっとナガンちゃんだけじゃないですよ、みんな心配してお見舞いに来るんですから」

 

「その通りじゃ、ふぅ、大丈夫そうじゃな」

 

声の方を二人が見れば、M1895が安心した様子で立っていた。どうやら今日の分は終わったらしくそのまま来たらしい

 

「おばあちゃん、ごめん、心配掛けたよね」

 

「全くじゃ、これに懲りたら今後はこんな無茶をしないようにしとくれ、寿命が縮まるのじゃ」

 

それと謝るのはわしだけはないぞとM1895の言葉通りにその日は皆から心配の言葉を貰い、指揮官は深く反省をして以後はキチンと睡眠などを取るようになった

 

余談だがいの一番に駆けつけそうだったPPKは変な所でヘタレ、部屋の前に居たのをIDWに背中を蹴られ入室、二人の軽快なコントで指揮官を笑わせたとか




皆が平気なら私だって精神で走り続けた結果がこれだよという話、価値観は人形寄りだからね仕方ないね

PPSh-41を医療班的な存在にしたのは完全に私の趣味です、許してくれとは言わんさ……だって見た目完全にナースやん……

え、PPKをどうしてオチに使ったって?いや、この手の話なら絶対に出さなきゃという使命感が出してね(銃声)

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