それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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まずは下準備


S09地区P基地の長い一日 Session1

作戦室と思われる部屋、中央にホログラムが表示されている台を囲むように立っているのはアルアジフとキャロルの手によってウィルスを打ち込まれ適合したハイエンドモデルの四人。

 

スユーフ、ダラーヒム、トゥーマーン、ジャウカーンの四人が微動だに……

 

「ねぇ、キャロル様は~?」

 

「大人しく待ってなさいっての……」

 

ジャウカーンだけはフラフラと体を揺らしながらだが他三人は微動だにせずに主たる彼女を待ち続けている、それから数分後、そろそろジャウカーンの我慢の限界が来るかというタイミングで作戦室の扉が開かれ現れたのは一人の少女、四人のハイエンドモデル達と同じ様に純白の髪に浅黒い肌、だがその目は決して少女のような柔らかい感じではなく鋭く、何処と無く怖いという感情を抱かせる目をしていた。

 

「すまない、待たせたな」

 

「いえ、問題ありませんキャロル様」

 

「コレでも結構適当に待ってただけですからね~」

 

「それよりもどうしたんですか?あぁ、もしかして髪型が決まらなかったとかですか?」

 

「退屈でした!」

 

後ろに行くにつれて自由な発言になってくる彼女たちに思わず口元が引く突くのを我慢しつつ、彼女【キャロル】は台の対面側に立ち、改めて彼女たちを見渡す。

 

元はIOPの戦術人形であった彼女たちだが区別を付けるために全員がガラリ、とまでは言わずとも印象を変える様に髪型などを変えている、まぁこの状態でもそもそも髪の色が違うだろというのが有るのであまり意味があることではないのだが。

 

その中でも変わっているのが元G41であるジャウカーン、彼女は適合時に両腕がない状態であった為、キャロルが彼女のためにと新たな腕を作ったのだがそれは腕というよりも武器というのが正しい表現だろうというものだった、その両手は大きな鍵爪だった、見るからに武器ですと言ってるようなものだった、何故こんな事にと思わずスユーフが聴けば

 

『完全なる戦闘用のハイエンドモデルが欲しかっただけだ』

 

の一言、結果だけで言えば彼女自身の無邪気な性格も相まって、あまり外に出せないハイエンドモデルになってしまったと少し後悔してるとか何とか、まぁそれも今日までである。

 

「改めて遅れて済まなかった、【アレ】の調整に少々時間を食ってな」

 

「【アレ】ですか、では今回の作戦で?」

 

キャロルが言う【アレ】に先ず心当たりが着いたのはスユーフ、彼女がこうしてキャロルもしくはアルアジフの世話をするようになってからも彼女がそれをどうにかしようとしてたのは知ってたので聞いてみれば首は横に振られ

 

「あと一歩が足りん、それが何かが分からなくてな。まぁ今回の作戦では必要がない、さてブリーフィングを始めるぞ」

 

『ねぇ、やっぱりそれ実行するの?』

 

これから始めますってタイミングで貴様はなぁと思わずため息をついてしまうキャロル、このままでは一向にブリーフィングは始まらず、ジャウカーンが退屈だと騒ぎ出しまで時間がないのだぞと思いながらも脳内に響いた声【アルアジフ】に

 

「お主の【名】と【祖母】を取り戻すためだ、必要だろ」

 

『そりゃまぁ、お婆ちゃんと一緒に過ごしてるあの娘が羨ましいとかは思ったけど、でも向こうだって色々苦労してて、それで得た日常なんでしょ?』

 

誰から聞いたんだそれと思ったが彼女に口を滑らそうとする存在なんて一人しか居ないと視線を動かせばアルアジフにとっては優しいお姉ちゃんのスユーフは軽く頭を下げてから

 

「お嬢様が聞きたいと仰ったので」

 

「貴様……アルアジフよく聴け、これは必要なことだ、お前がどう思ったとしても私達がこの先上手く渡るのはあの基地を、いや、ルーラーを倒さねばならない」

 

『……それは、誰かの幸せを壊してでも?』

 

「……あぁ」

 

今更退ける訳がないという感情も込めた声で呟けばアルアジフはそれ以上何も言わなかった、分かってくれたという感じではないがそれでも一定の理解は得たのだろうとその時は思ったキャロルはすまないと小さく呟いてからホログラムを見つめながら

 

「ではブリーフィングを始める、先ずは今回の計画の一連の流れからだ、よく聞いておけ」

 

それから細かく、そしてジャウカーンにも分かるようにプランを一つ一つ説明していく、特に自分達は圧倒的に戦力が少なく、キャロルがある程度小細工を仕込んだとは言えそれでも向こうと真正面から戦える戦力が有るわけではない。

 

だからこそ今回は徹底的に小細工を使い攻めるプラン、なのだが

 

「此処までで何かあるか?」

 

「はいはいはーい!!」

 

それに待ったをかけたのはトゥーマーン、右手を大きくあげて何度も声を出してくる彼女に何故か疲れた感じを思いながらも何だと聞いてみれば

 

「明らかにアタシのタスク多くないですか?!」

 

「と言うと?」

 

「先ず潜入じゃないですか、次に仕込み、続けて暗殺、そっから基地施設の通信とナデシコの無力化に基地戦力との戦闘って、多すぎません?」

 

ねぇ、多くないですコレ?と改めて聞いてくるトゥーマーン、だがキャロルからすればそれらを一つで行えるのはお前だけだからそのタスク量なのだがという感情であり、他のハイエンドモデル達も確かに多いかもしれないと思いながらもマスターたるキャロルが決めたことなので口を挟まない、寧ろ

 

「トゥーマーン、キャロル様が決めたことなのに不満が?」

 

「はい(即答)」

 

「清々しい返事で本気で感心しちゃいますよ」

 

思わず額に青筋が立ちそうになりながらもキャロルはトゥーマーンの言葉を噛み砕き飲み込む、確かに彼女の言う通り多すぎたかもしれない、なのでそんな不満が出るのも無理はないだろうなとは思わなくもない、だが

 

「貴様に施した改造は潜入などに向いているものだ、故にこうなるのは分かりきっていたことだろう」

 

「いや、まぁそうなんですけどね……はぁい、トゥーマーン頑張りま~す」

 

「そもそもトゥーマーンは真正面からの戦闘じゃ最弱すぎて暗殺じゃないと勝ち目ないですよね?」

 

「あ?」

 

コレは面倒になるなとスユーフとダラーヒムは一瞬で悟る、キャロルも理解してるので作戦前だと言うのに疲れた溜め息がまた吐き出される、どういう訳かトゥーマーンとジャウカーンは相性が悪い。

 

性根が若干腐っているトゥーマーン、無邪気の権化ジャウカーンと書けば愛書が悪い理由も何となしに察しれるだろうがその一端が今のやり取りになる、早い話が

 

「オメェに言われたかねぇよ脳筋犬!!」

 

「えぇ、私はそういう役割だもん、ガオー!」

 

「はぁ、解散、一時間後に作戦を開始するので準備は済ませておけ」

 

これ作戦前の彼女たちである。




この流れからシリアス始まるってマ?いくら何でも無計画すぎんだろ……
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