それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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嵐は突然に


S09地区P基地の長い一日 Session2

嫌な予感がすんだよ、ノアの一言が未だに頭から離れないユノはナデシコ内で今日も変わらずにダミーブレイン、そしてその仲間と思われる白髪の女性の行方を追うのだが、やはりと言うべきか欠片も情報が入ってこない。

 

それは情報部も同じであり目撃証言はあれどその先が見つからないのだ、拠点はあるはずなのに手掛かりはない、あのテロの時にも暗躍していたはずであり証言も幾つか見つかってはいるのだがこちらも途中で綺麗に途絶えてしまい追えずじまいだった。

 

「うーん」

 

「また悩んでるの指揮官、いや、あたいも流石にそろそろどうするかなコレって思わなくはないけど」

 

「いくら何でも見つからなさ過ぎる、ナデシコの眼を掻い潜れるからって言って情報っていうのはこんなに消せるわけじゃないのに……」

 

ユノが珍しい難しい顔を晒すほどに彼女も何かを見落としているのではないか等を考え始め、オモイカネも釣られて悩む素振りを見せ始める、ナデシコの外、特殊戦術室ではモニタリングをしているヴァニラとカリーナも彼女たちの会話を聞いて確かにねという感じに頷いている。

 

だが彼女たちは知らなかった、この時点で自分達は後手の後手に回されていることを、事態が動き出したのは職務開始から数時間後、そろそろお昼休みかなという時間にナデシコのモニターが動きを見せ始めた。

 

「報告」

 

「S地区……ってなんだコレ!?S地区の鉄血に動きあり、ルート予測中、いや待て待て待て、数が増えてってるんですけど!?」

 

「他の地区は、何もない、ここだけ……!?まさか」

 

「ダミーブレインが動き出したって事か!ルート予測出たよ、ああくっそ、どの鉄血の軍団は街を一つを横切る形で全部この基地に向かってきてる!」

 

街、その単語が出た瞬間、彼女たちは動かざるを得なくなる、他の地区だとすればまだその担当の基地に連絡で済んだかもしれないがS地区という自身の管轄となれば自分達も部隊を出さなければならない、そしてこの動きからしてダミーブレインの目的は

 

「コレ間違いない、陽動だよ」

 

「でも動かないわけには行かないよ、ナデシコより全部隊に通達!S地区全域にて鉄血の大攻勢を確認、コレより指示する部隊は出撃準備を整え、出来次第出て下さい!!」

 

「全部隊!?指揮官、それはいくら何でも無謀だ!」

 

「……陽動だとすればダミーブレインは間違いなくこの付近に居る、だったら逆におびき寄せて捕らえるんだ、ノアは念の為に待機をお願い」

 

正直に言えばこの時点でユノには焦りがあった、情報を集め、ナデシコを使ってでの捜索に全く進展はないのに人形のロストの被害だけは報告が上がってくる現状に、だからこそ彼女は今この状況をチャンスだと思い込んだ、オモイカネも止めようとはするがユノの言うことには一理あるのもあり、押し黙ってしまう。

 

では他はと言うと

 

《ナガンよりナデシコへ、状況を詳しく報告してくれ》

 

「鉄血の複数の大部隊がそれぞれ街一つを横切る形でこの基地に向かってる、恐らくの最終目標は此処だけど街も侵攻する気だと思う。だから防衛任務に向かって欲しい」

 

《このタイミングで……?いや、第一部隊は待機じゃ、間違いなく本命が此処に……》

 

「それをやったら向こうに悟られて撤退されるかもしれない、ナガン達は出て、相手に、ダミーブレインに今此処はがら空きだってことを示した誘き出したい」

 

声から副官は彼女が焦っていることは理解できた、だが同時に侵攻される街がある以上動かないという選択肢は確かに取れないという感情もあった、だがなと渋る副官にユノは

 

「大丈夫、ノアには待機してもらってるし、基地の防衛部隊は残るからさ、もし何かあれば通信だって送るよ」

 

《……ふぅ、分かった。第一部隊出撃するぞ!》

 

この基地の防衛力は第三者からすれば過剰とも言えるそれ、確かに簡単に攻め落とされはしないだろうと自身を納得させて彼女も出撃していく、他にも出れる部隊は出してからユノとオモイカネ、いや、この基地全体が最大限の緊張感に包まれた。

 

勝負はここからだと、仕掛けてくるとすれば戦力を放出した今しかないと。確かにその予測は外れてはいなかった、だが彼女たちは慢心とは言わないが油断していた、この基地のセキュリティの高さは過去の経験から更に上げている、だから簡単に侵入はできないはずだしされても直ぐに判明するはずだと

 

故に、彼女たちは気付けなかった、基地に、そしてアーキテクトのラボに既に手は及んでいたことを

 

「さぁ、出ておいでダミーブレイン、今日でかくれんぼは終わりにしようじゃないか」

 

「そうだね、終わらせようか」

 

声に振り向いたアーキテクトを襲ったのは鈍痛と衝撃、口元から血を流しながら視線を落とせばゲーガーの武器に使われているレーザーブレードよりは細いそれが自身の胸、コアが存在する部分を貫通している光景。

 

次に視線を前に向けば見覚えのない純白の首辺りで切り揃えられた髪、綺麗とも言えるワインレッド、だがその表情はコレ以上にないほどに愉悦とも言える笑みを浮かべている人形、データには全くの該当はない人形だがアーキテクトは気付け、掠れる声で

 

ハイ……エンド?

 

「大当たり~、拍手を送ってあげるから抜いてあげるね」

 

ズシャと乱暴とも言える方法で腕を引き抜かれたアーキテクトはふらつくことも出来ずに巨大モニターに背中からぶつかり紅い軌跡を残しながらズルズルと座り込む、対して抜いた方は軽く腕を払ってから宣言通りにパチパチと乾いた拍手を贈りそれから

 

「まぁ、アンタは此処で消えるし当たった所で意味ないんだけど」

 

「クフッ……」

 

体が動かない、コアを貫かれた以上当たり前なのだがこのままでは侵入者が居るということを知らせられないのはマズイ、その想いで体を動かそうとするのだが

 

(クッソ、動かない)

 

「さぁて、後は適当に爆薬を設置しましてっと」

 

「しゅ、主任?」

 

あ?と声の方を少女が向けば物音に気づいて隣の自身のラボから見に来た88式、状況に気づいたようで顔を真っ青にしながら後退ろうとするも

 

「見られたってんなら仕方ないわよねぇ?」

 

「ひゃ、あっ、離しきゃ!?」

 

「ま、どうせ今日でこの基地は終わりでしょうし、想定外一人巻き込んでも文句は言われないでしょ、そうね【トゥーマーン】って名前だけは覚えて逝って頂戴」

 

トゥーマーンと名乗った少女は逃げようとした88式を即座に捕まえてアーキテクトの側に放りに投げてからいい笑顔のままそう告げて扉を閉める、どうしてと88式が考えるよりも前に視界に入ったそれを見て……

 

爆発の衝撃と音が基地を襲った。




トゥーマーンちゃんよく潜り込めたねって言う種明かしは多分後半で書くと思いたい。

まぁでもナデシコの眼を掻い潜れるあのアクセサリー、もっと改良すれば極悪品に変わりそうだよね!
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