それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
《詰み宣言は、まだ早いんじゃないかな?》
ナデシコ内にダミーブレイン【キャロル】が現れたと同時の特殊戦術室、そこではヴァニラとカリーナの二人が慌ただしく作業をしていた。
「ナデシコ内にダミーブレインを確認、現在は睨み合いの膠着状態、ただこちらからの干渉は可能です!」
「OK、準備は無駄じゃなかったってことね、でもログアウトは無理か……」
この状況になってしまうと問題になるのは基地の人形への指示、カリーナとヴァニラはお世辞にも出来るという存在ではない、普段であれば副官が執るのだが彼女は現在防衛任務に出てしまい外部との通信も出来ないこの状況ではそれも出来ない。
一応、指揮がなくとも此処の基地の人形たちは独自に動くことは出来る、だがやはりあると無いとでは差が出てきてしまう、そして今はその差が大きいものとなってしまっている、どうしたものかと悩んでいると部屋の扉が開かれ見てみれば
「遅れました、ジェリコこれより基地の防衛の指揮を執ります。まさか副官はこれを見越して私に色々と引き継ぎを……?」
「あり得なくもないのが何とも言えないわよね、でも助かるわジェリコ」
「あとは外部との通信を妨害してるジャミングと指揮官さまへの援護ができれば……」
ジャミンの方はヴァニラが先程から何度も解除しようとしているのだが上手く行かない、と云うのもこのジャミング、そもそもの発信源がトゥーマーンと名乗ったあの人形、つまりは彼女を撃破成りできない限り解くことが出来ないのだ。
更にナデシコの方はカリーナが今まで見たこと無い目つきで防衛プログラムを形成しているがはっきり言えばダミーブレイン相手では壁にすらならない疑惑すらある、故にもう何人か人形を電脳に送り込みたいのだがと思った所で
「情報部全員到着しました!これよりナデシコへのダイブを試みます」
「さぁさぁMDRも腹括る!」
「やったこと無いけど、そうだよね、うし、指揮官助けに行くからな!!」
気合の籠もった声と瞳でダイブ用の機器に自身を接続したMDRを見て、良しという感じに頷いたG17が続くように、そして最後にFMG-9が
「外、頼みましたからね」
「任せなさいアリババ、アンタは電脳で指揮官を頼むわ」
勿論、それだけを交わしてから彼女も機器に接続、それを確認してからカリーナが操作して、彼女たちを送り出してからナデシコ内を映しているモニターに視線を送る。
状況は先程と変わらず睨み合い、両者の距離はまだあるが向こうの兵装を考えれば無いも等しいだろう
「3、2、1……三名、ダイブ成功です!」
「よし、これで時間は稼げるはず、あとはジャミングだけど」
「ルピナスとステアーが戦闘中ですが旗色は悪いと言わざるを得ません、それに防衛側のノアも三体のハイエンドモデルと名乗る人形と戦ってますが……」
ジェリコの視線の先には2つの戦場の様子が映し出されているが両方とも旗色は悪い、ノアの方はいくら彼女が規格外の機動力と火力を持っているハイエンドモデルとは言え数の差は覆せるほど甘くはない、彼女の自慢の射撃は向こうの一体、大きな鍵爪の人形が展開する電磁シールドに防がれ、お返しとばかりに放たれる対空レーザー、それを回避しても追撃とばかりに二体のハイエンドが攻撃を行えば捌くことに意識を割けば
「スキだらけ!!」
「なっ!?がぁっ!!!??」
上空という地の利が無くなったとばかりに地面に転がるノア、時同じくしてルピナスとステアーも
「にゃっ!?」
「ぐっ!!」
「はい、お終いっと。あのねぇ、これでもアタシ達はハイエンドモデルだし、それに単騎で動き事を想定されて改造されてんのよ、アンタ達程度の人形、捌けない訳ないじゃない」
ま、意気込みは良かったことは認めてあげるけどと乾いた拍手を送るトゥーマーンを地面に伏しながら睨みつけるルピナスとステアー、その周囲には既に機能ダウンしてる彼女のダミー達の姿もある、そうこれだけの人数差でも彼女たちはトゥーマーンを倒すことは叶わなかった。
「にしても、アンタのダミー、自我が芽生えてるなんて面白いわよね……だから壊さないであげる、さて、先ずはどっちに打ち込もうかしら、ねぇどっちが良い?」
「ま、だ、負けてない……あぐ!?」
「へぇまだ生意気な口聴けること、じゃあアンタから「動かないで!!!!」あ?」
ルピナスの諦めない瞳と口調に唆られたトゥーマーンが彼女にウィルスを打ち込もうとした時、声が響いた。誰の声か、それは二人にはすぐに分かりだからこそありえないと驚愕の表情でその方向を見れば
「バカ、何で逃げなかったのシャフト!!!」
「逃げ、なさい……」
「お、お姉ちゃんを、はな、離して!!」
ガタガタと震えながら、その眼には目一杯に涙を浮かべ、それでも銃だけは人形のシステムがそうさせるのかきちんと構えているシャフトの姿、ルピナスとステアーは即座に逃げるように促すが彼女はトゥーマーンに銃口を向けたまま動こうとしない。
その様子にトゥーマーンはニタリと笑みを浮かべた、彼女の大好きな表情だった、怖いくせに立ち向かおうとする、その様子が非常に好みだった、だからルピナスを離して
「あらあら健気ね、しかもお姉ちゃん、この基地の関係って本当に面白い構図を描いてるわよね。まぁいいわ、それで?撃つの?撃てるの、アンタ銃を握ることを怖がってるでしょ、でもそうよね、此処で逃げたら大好きなお姉ちゃん達が次あった時は敵だものね~」
「こ、来ないで、ううう、撃ちますよ!!」
「だったほら、撃ってみなさいよ、そもそも敵なんだから警告も要らないっての、ほら!」
ジリジリと近寄りながら言葉を紡いでいく彼女にシャフトはこれ以上にないほどの恐怖を感じながら警告をするも向こうは余裕の笑みを崩さないで更に距離を詰める、そして
「あああああ!!!!」
メンタルが先に限界が来たシャフトは叫びながら、そして思わず目を瞑りながら銃爪を引けばAS Vai特有の消音された銃声が弾倉を空にするまで響き、カチッカチッと残弾が0だと告げる音がしてから恐る恐る目を開けば
「ざ ん ね ん で し た!!!」
「ひゃ!?がっ!!!あぐっ、がっ」
目の前に狂気の笑みを浮かべたトゥーマーンが居た、逃げる隙も何もなく首を捕まれそのまま釣り上げられるシャフト、そしてそれを助けようと動いた二人に向けて右手をシャフトの首筋に密着させ笑みを向ける。
その意味を理解できている二人はギリッと歯を噛み締め睨みつけるがトゥーマーンはその表情すらも愉悦感を感じて
「ヒャハハハハハ、良い顔、あぁもう最高ね、でも時間掛けるなって言われてるのだから勿体無いけどここでさようならよ」
シュッと右手を変形さえ実体剣のようにしてから一度引いて、そして……
「あぁ、時間を掛けすぎたな道化」
は?と声を出す暇のなく、勝利を確信したトゥーマーンを襲ったのは耐えることの出来ないインパクトだった。何度も地面を跳ねながら受け身を取り何が起きたと顔を上げればそこに居たのは一人のハイエンドモデル。
その両手には機械仕掛けの大きな小手のようなもの、その先端には衝撃の正体であると思われる拳、基地の面々からすれば久しぶりに見たという本来の服装、純白の長髪をフワッと舞わせ、だがその金色の目はトゥーマーンを射殺さんとばかりの視線を送る。
「アーキテクト、お前の最高傑作、借りるぞ」
ゲーガーの声に答えるようにガシャンと機械仕掛けの腕が変形し構える、友の敵を取らんがために
因みにゲーガーの新兵装のイメージはFAGのアーキテクトの装備。だけど変形機構とかはシンフォギアのアガートラームです。
トゥーマーンはガリィちゃん枠やん?ゲーガーさんがアガートラーム持ってきちゃったじゃん?これは未来は決まりましたね間違いない……(SERE†NADE並感