それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
一歩踏み出す、その行動一つだけでトゥーマーンが息を呑み思わず一歩退いた、そしてそれに気付いた彼女が思わず悪態づく、自分が相手を恐れ、勝てないと考えてしまっていることが気に入らない。
対してゲーガーはトゥーマーンを見据えながらそっとシャフトの側にしゃがみ、その頭を優しく撫でながら
「ゲーガー……さん」
「よく頑張ったな。後は私に任せろ、ソーコム、『88式』彼女たちを退避させてくれ」
「直ぐに行くわ!88式はシャフトちゃんをお願い、私はルピナス達に向かうから!」
「はい!!シャフトちゃん、大丈夫ですか!?」
88式、その名にシャフトが驚く、だって彼女は最初の爆発でアーキテクトと共に巻き込まれ死んだはずと、しかし今彼女の視界にはひび割れたメガネ、汚れと血が目立つものの確かに88式の姿が、故に思わず
「生きてた?」
「え、あぁ、はい。実は主任のラボは至る所に隠し通路みたいなものがありまして、その全てがコーラップス技術などを研究するための特殊ラボに繋がってるんです、そこに主任が咄嗟に避難させてくれて助かりました」
コアをぶち抜かれほぼほぼ死に体だったアーキテクトだったがあの場面で最後の力を振り絞り動いて床の隠し通路を展開、自分と88式ごとラボに落下で彼女は生存できたらしい、だがアーキテクトはその時点で『その素体』は機能停止してしまったらしい。
それから彼女はそのラボにあったゲーガー専用の、今彼女が装備しているあの機械仕掛けの小手を急いで最終調整し抱えてラボを飛び出し今さっき彼女と合流、そして今に至る。
「アーキテクト、さん……グスンッ」
「大丈夫です、主任が自分が殺られた場合を考えてないはずがありませんからね、それよりも避難しましょう、此処もすぐに危険になります」
「そうよ、さぁさぁ走った走った!」
パタパタとルピナス達とアニス達を抱きかかえたSOCOMとそのダミー達の後を追いながらシャフトはゲーガーの方をちらと見れば、向こうは既に戦闘が行われていた、恐らくはアニス達の安全が確保された時点でゲーガーから仕掛けたものだと思われる。
シャフトは感じ取っていた、あの冷静沈着で普段は優しい近所のお姉ちゃんという感じの彼女から明確な怒りと殺意を、当然だろう相棒であり親友とも言えるアーキテクトをむざむざ殺された、それで怒らないわけがない。
「安心しろ、お前のように嬲る趣味はない、それにさっさと片付けて他に回らないといけないからな」
「楽勝だって言いたいのかよ、ええ!!!」
「吠えるな、うざったい」
舐められてると感じ取ったトゥーマーンが自身の能力であるホログラムまで使っての撹乱からの接近戦を仕掛けるもその全てはゲーガーには読まれ、回避、もしくは
「くっそ、レーザーブレード防ぐとかなんだそれ!?」
「アイツの、アーキテクトの最高傑作だと言ってるだろう」
攻撃が防がれたと同時に飛び引くトゥーマーンだが、ゲーガーは踏み込み、と同時に小手が変形、限定的な逆コーラップス技術が使われたそれは肘部分が大きく変化、ノアが好んで使うスラスターが現れて点火と同時にトゥーマーンが退いた分を0にし右手を握り締めれば先程と同じく機械仕掛けの拳が現れ、そのまま
「ふんっ!!!」
「アガッ!?」
ブースター分の加速が乗ったボディブローにトゥーマーンが反応できるわけもなく突き刺さる、だが無論そこで終わらない、そのままブースターをフル回転させて体を無理やり浮かせて一度拳を引いてから溜めを挟んで右ストレートをブチかませば木の葉のようにトゥーマーンは吹き飛び窓を突き破り屋外へと転がり出される。
圧倒的、そうとしか言えない光景、だがゲーガーは手を休めるような真似はせずに小手を再変形、スラスターはそのままに右の小手の肘部分から実体剣が出現、更に過去のゲーガーの武器のようにレーザーを纏い始める。
「……決めるぞ」
「っなっめんなよ!!!」
静かに宣言をするゲーガーが癪に障ったトゥーマーンは叫びながら両手を大きく広げれば彼女の姿が掻き消えて変わりに幾つもの彼女が現れる、それは宛ら分身のようで、だがよく見ればかなり精密に作られたホログラム、コレが彼女の能力の一端、本来であれば潜入に使われるそれだが戦闘中ではこういった使い方で敵を惑わせることだって出来る代物である。
しかもご丁寧に人形のセンサーが誤作動を起こすほどのホログラムであり、今現在でゲーガーの視界ではその全てが本物だという表示になっている、だが彼女は慌てる様子もなく
「なるほど、これで真正面から潜入してたということか……」
「けっ、何余裕ぶってんだよ」
声も発生源は特定できない、なるほどこれは凄い技術だなと感心しながらもやはり態度は崩さない、いくら幻影が多かろうと、それに紛れようと、結局は
「もらっ……「まぁ、お前のようなやつならそこから来るよな」え、ガヴァッ!?」
ゲーガーから見てほぼ死角、完全な不意打ちだというタイミングでホログラムの影から現れたトゥーマーンを迎えたのはゲーガーの左アッパーカットだった。
顎からほぼ直角に入ったそこからスラスターを点火しそのままかち上げ身体を上空へと運び、ゲーガーは更に彼女の上まで上昇しトゥーマーンを見据え、右小手を構えれば左手の小手が変形して腰に移動、そのままスラスターになり一気にブーストを回しゲーガーは勢いのままトゥーマーンに向け急降下、そして
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
加速そのままですれ違いざまに右小手の実体剣でトゥーマーンを腰から両断、だがそのタイミングでゲーガーはトゥーマーンの表情を見た、その時の彼女の顔は
「(アハッ、これで……後は頼みましたよ~皆さん)キャロル様、お先に戻らせてもらいますね……」
(笑った?)
だがそれを確認する間もなく、ゲーガーが着地と同時にトゥーマーンは自身に仕組まれた自爆装置を作動、跡形もなく爆散、それと同時に
《こちらAR小隊!よかったやっと繋がった……何が起きてるのですか!?》
「M4か、今現在P基地はダミーブレインの軍団に襲撃されている、今その一体を撃破したがまだ三体……》
《こちら第一部隊、遅れたが今からイチイバルの援護に向かう、まだくたばってはおらぬな?》
《ったりめぇだ!って、くそ、正門部隊、今すぐそっから離れろ!!!》
ノアが叫ぶと同時か、それよりも少し早いか、正門が吹き飛んだ。何事だとゲーガーが小手を構えれば出てきた影は見てくれはG41、だがその両手は大きな鍵爪のような両手であり、特徴的だった髪飾りは大きなスラスターに変わっている少女。
「へっへーん、ストライクってやつだよね!」
「連戦か……」
「お、遊んでくれるの!?アタシは【ジャウカーン】いっくよー!!」
その手から近接で来ると思ったゲーガーを襲ったのはケルベロスのレーザーと匹敵するそれだった……
戦闘描写雑すぎんだろオメェはよぉ!!!
次回、早足ですがジャウカーン戦です、何だったらダラーヒムとスユーフ戦も終わらせた今である、このままだとこの話Session幾つになるんだオイ……