それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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長かった一日が終える……


S09地区P基地の長い一日 Session10

結果だけを先に言うならば彼女等は全員、無事にナデシコから離脱、エルダーブレインの置き土産のゴリアテの爆発には巻き込まれずには済んだ。

 

「い、生きた心地しなかった……」

 

「電脳でも爆風の熱って感じるのですね……」

 

という事で此処は特殊戦術室、ユノはナデシコから離れて地面に座り込んで肩で息をしており、クリミナも若干死んだ眼で天井を見上げていた、つい先程までの彼女たちとは遠く離れた姿だがハッとすぐにユノは我に返ってモニターに表示されている戦況を確認するためのマップを見れば

 

「お、終わってる?」

 

「はい、全部隊より防衛に成功、コレより帰投すると報告が上がってます」

 

負傷者などは多少なりと出てはいるが死者は居ない、そう続いた報告に一度だけ安堵の息を吐く、が今回の襲撃での被害は今まで経験がないレベルであることには変わりないし、ついでに言えばまだ終わったというわけではない。

 

謎は残っているし、それよりも

 

「キャロルちゃん達、大丈夫かな」

 

「……厳しいことを言えば、エルダーブレインがあれで諦めるとは思えない」

 

「ねぇ、あそこでキャロルを消したとしてもう一つ人格があれば現実の方に逃げるわよね。それを彼女が見逃す?」

 

ウィンチェスターの指摘、それは彼女たちに、ユノに衝撃を与えるには十分だった。普段であればそれを聞いた直後にナデシコを利用してエルダーブレイン、もしくは彼女の命を受けて行動を起こす筈のハイエンドモデル達を見つけ追えばいい、だがそのナデシコは今

 

「オモイカネ、今ナデシコって……」

 

《え、いやいや無理無理、確かにアーキテクトが咄嗟に障壁を展開して爆破範囲を無理やり抑えたけどそれでも修復に一週間はかかるよ!?》

 

その報告に苦虫を潰したような顔になるアーキテクト、因みに何故彼女はロリ体型なのかという問いについては少し前に趣味で作った素体であり、一応元の素体も作ってあるけど、直ぐに戻るのも勿体無いし暫くはコレで居るとのこと、まぁコレは余談だ。

 

ともかく、ナデシコは使えない、という事でエルダーブレインのあの時の爆破の狙いが分かった、彼女等は時間を稼ぎたかったのだ。

 

「ナデシコが使えなくてもユノっちなら索敵は出来る、だけどその効率はガクッと下がっちゃうからこっちが見つける前に……」

 

「向こうが先に始末をつける、今回はとことん後手ってことね」

 

だがそれでも諦めるわけにはいかないとカリーナに頼んでホログラムマップを表示させるがナデシコからのブーストがないと言うだけで

 

「……どれ、どれなの!!」

 

「落ち着け馬鹿者、第一部隊帰投した、後ノアは医務室に打ち込んだからな。それと助かったジェリコ、これならば今後はお主に頼むことにするかのぉ」

 

「おかえりなさい副官、ですがやはり貴女がこの席のほうがしっくり来ますね……私では今の指揮官を宥めることも出来無さそうですから」

 

焦りが声に現れ始めた頃、副官であるナガンが戻ってきて即座に指揮官の頭を軽く叩いてから今回の防衛戦の報告を始める。

 

流石に基地全域で出撃しただけあった街になどは被害は出ていない、出撃部隊も先程述べたように負傷者はあるが死者はない、基地の防衛隊もノアが左目を潰されるという重傷以外には目立ったことはないとのこと。

 

「え、ノアちゃん平気なの!?」

 

「あの馬鹿、即座に左目を生成しよった、が一応で今ペーシャに説教されながら検査を受けておるよ」

 

この説教にはペーシャの他にクフェアも混ざっているのでノアは出てくる頃にはげっそりと疲れてるしもう二度としませんと誓わされても居る、夜も説教(意味深)される事が確定している模様。

 

更に言えば今回はあまりに大規模だったということもあり

 

「本社から何かしらのアクションはあるじゃろうな、早ければ今日、遅くとも明日には……急ぎ報告書を纏めるぞ」

 

「でも、キャロルちゃん達も探さないと」

 

「どういうことじゃ?」

 

彼女の焦燥した声と表情に何か合ったのかと副官が聞いてみれば、ふむと納得してから

 

「しかしだ、見つけどうする?向こうがこちらに来る可能性は低いぞ」

 

「それでも助けることは出来る、そうすれば次が生まれる」

 

「……その次がまた襲撃に繋がる可能性も否定はできん」

 

「だとしても、手を伸ばさないのはどうかと思うから」

 

一歩も引きませんと言う決意を声に出さずとも伝えるユノに副官は成長しよってと思いながらポリポリ頭を掻き、はぁと大きくため息をついてから

 

「そこまで言うのならばやれるだけやるが良い、わしも手伝おう、すまぬカリーナ、報告書を纏めるのを手伝ってくれ、ヴァニラ、アーキテクト、オモイカネはナデシコの復旧に全力を注げ」

 

「了解致しましたわ!」

 

「了解了解、でもただ直すだけじゃ今後が心配ね」

 

「だったら改修案があるんだけどさ、ただそれでも一週間は掛かっちゃうけど」

 

《どちらにせよ一週間掛かるんなら、今のままじゃエルダーブレイン達が今回みたいなステルスをしてきたらまた後手に回るから改修しちゃったほうが良いと思うよ?》

 

彼女たちの頼もしい声を聞きながらユノはモニターを注視する、今までナデシコを使ってなかった頃を思い出しながら、だがその日はギリギリまで粘るが結果は上がらず、休めと言われ戦術室を出ていた。

 

一応でFMG-9達が情報を集めてはくれるとのことであり、ユノも今日は疲れが溜まりに溜まっているのは自覚してたので素直に従って食堂にて家族全員で食事をしながら今日のことを振り返る、特にルピナス達は彼女たちもトゥーマーンというハイエンドモデル相手に激闘を繰り広げていたので割とユノは心配だったりした。

 

「まぁ確かにやられちゃったけど大きな怪我無かったわ!」

 

「と言うよりも重症を負わせるつもりはなかった感じです、多分ウィルスを打ち込もうとした、と思います」

 

「現地で仲間を増やすつもりだったのかな?でも皆無事で良かった……」

 

「本当に安心しましたわ、それとシャフトは大丈夫でしょうか?特に今日は持てなかったはずの銃まで握ったと聞きましたが」

 

寧ろ今日一番驚いたのはそこである、シャフトは過去のトラウマから握ろうとするだけで拒絶反応が出るほどだったというのに握っただけではなく、発砲までしたと聞いて夫婦は彼女のメンタルに影響は出てないかと不安になっている。

 

だが返ってきた言葉を聞いた二人は自分達がシャフトを少し弱く見すぎていたという感情だった。

 

「守られてばかりじゃ駄目だって思って、気付いたら握ってました。怖かったです、でもそれ以上にお姉ちゃん達に会えなくなる方が怖くて、だから銃爪を引いてました」

 

その時の目は普段と変わらない引っ込み思案な様子を見せながら確かな決意が見え隠れしており、娘の成長に思わず嬉しくなるユノとクリミナ、その日はこうして幕を閉じ、翌日は血相変えたペルシカと若干呆れ顔のヘリアンが基地に来て当時のことを聞いてきたりしつつキャロルの行方を探る、だが事件から三日後。

 

「……ナガンより指揮官へ、4体のハイエンドモデルの遺体、それと鉄血側のハイエンドモデルの残骸を発見、式自が照合しているがコレは間違いない」

 

報告があった地点に存在した鉄血の地下基地、山中の本当にひっそりとした場所に入り口を備えたそこに突入した第一部隊が見たのは花を一つ一つ備えられたキャロルに仕えていた4体のハイエンドモデル達の姿だった。




ナデシコ、一週間使用不可、まぁ次出てくることには【C】とか付いてるんですけどね!

と言うことで次回、どのくらい長くなるかわからないけどキャロル陣営のお話を挟んで、今回の襲撃事件に幕を閉じましょう。

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