それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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彼女たちは一人の少女のために……


世界を識れと言われた日 Session1

「目は覚めたかしら?」

 

電脳から意識が現実に戻ったと同時に聴こえたその声に彼女は何も反応を起こさなかった、ただ虚空を見つめているだけの彼女、キャロルに起こした張本人は大きくため息をついてから

 

「そんなに死にたかったのかしら?」

 

「……何が目的だ、イントゥルーダー」

 

漸く返ってきた反応とだが相変わらず感情が乗っていない視線に彼女【イントゥルーダー】はやれやれとわざとらしく肩をすくめてから立ち上がってから自分で淹れてきたインスタントコーヒーの入ったマグカップを手に持ち

 

「目的、ねぇ。あったら良かったのだけど」

 

「まるで無いという口振りだな」

 

『実際無いんじゃないの?』

 

アルアジフの言葉にそんな事あるわけ無いだろうとキャロルは返そうとしたがその前に今の彼女の声に何か違和感を感じた、なんとなくなのだが一瞬だけノイズが混じったようなそんな感じを。

 

だがそんな訳無いとすぐに思考から追い出して、機械【プロトタイプ・ナデシコ】から降りて目の前のイントゥルーダーに視線を向ける。

 

と言っても見覚えのある姿、ではあるがよく見ると細かな部分で損傷が見られ、まるでそれは

 

「お前のそのボディ、廃棄素体か」

 

「仕方ないじゃないの、怪しまれずに回収できるものなんてそんなものよ。で、事実を知ってどんな気持ちかしら?」

 

事実、全てがメインフレームであるエルダーブレインの掌の上の出来事で、自分はそんな事も気付かずに踊らされ家族とも言える彼女たちをむざむざ玉砕させ、こうして帰ってきた、はっきり言えば

 

「最悪だ、私は……」

 

『キャロル、でもほら、向こうのあの娘も言ってたじゃん、今日までの想い出は確かにあるって』

 

「だからなんだというのだ、いや、それよりも貴様は何で復活している。あの作戦で死んだと聞いていたはずだ」

 

「唐突ね~、まぁいいわ、あの作戦の少し前に思ったのよ、これ駄目だろうなって。だからこの拠点に廃棄素体をバックアップとして用意してあったってわけ、でもまぁ此処に居る私は正確にはあの時の私じゃないわ」

 

曰く、疑似人格の集合体、バックアップは取ったと言ってもそもそもにして人間の意識と本来のメンタルの意識がごっちゃになったデータを正確に取れるわけもない、だから残されたデータなどから形成された人格である。

 

だからイコールというわけではない、なのだがどうやらレイラの意識も汲み取ったのか、はたまた長いこと奪い合いをしていたからなのか、ともかく彼女の人格も組み入れてしまっているこのイントゥルーダー、そこで目的の話に戻る、つまりは

 

「……死なせたくないって思っちゃったのよ」

 

「は?」

 

「娘を、死なせたくないから退かせたって言ってるのよ。本当にどうかしているとは思ってるわよ」

 

何言ってんだこのハイエンドモデルと目が点になるキャロル、因みにアルアジフは今の話し方に母親の面影を幻視してなんだかホッとしたらしい。

 

兎も角、イントゥルーダーはあの作戦の最中にこの拠点で復活、だが状況が自分が思い描いていたものとはかけ離れた状態で、しかもキャロルはエルダーブレインに良いように使われているというのを確認、だが最初は割とどうでも良かったらしいのだがキャロルがエルダーブレインと接触し殺されそうになった時に、気付いたら行動していたとのこと。

 

「まぁあたくしのことはどうでもいいわ、それよりも貴女のことよ。これからどうするの、エルダーブレインだって黙ってないわよ」

 

「だろうな、だが……」

 

「言っておくけど、死ぬなんて選択肢は取らせないわよ。さっきも言ったけどあたくしは貴女を死なせたくない、それとね……」

 

入っていいわよとイントゥルーダーが声をかければ扉が開かれ、現れたその人物達にキャロルの目が見開かれる、何故ならばそこに居たのは、自分が利用されていたとは言え、己の声で玉砕して来いのと同様の指示を出して指示を全うしてしまった彼女たち

 

「お前ら、どうして?」

 

『みんな、無事だったの……?』

 

「ご心配おかけしてしまいましたキャロル様、アルアジフ様。ですがその、生きてたというわけではありません、このボディは以前、キャロル様がお作りになったダミーのものでございます」

 

「あの時は本気で殺られたふりしたってわけです」

 

「お蔭で性能は元より下がってるのが辛いですねコレ~」

 

「でもでも、コレでまた遊べます!」

 

各々が好きに声を掛けてくるその光景、もう二度とこないものだと思っていたそれ、だがキャロルはまず初めにやるべきことがあった、彼女は四人に向き合うと、深く、本当に深く頭を下げ

 

「すまない!メインフレームに乗せられているとも気付かずに私はお前たちを……!」

 

「いいえ、キャロル様に非はありません、実を言えば少し前からキャロル様の様子がおかしいことは気付いてましたから、だからこそこうしてバックアップを残してたのです」

 

「そうそう、なんか急にP基地を攻める算段を初めておかしいなぁって、まぁ最初に気付いたのはアルアジフ様何ですけど」

 

トゥーマーンの言葉にそうなのかと聞いてみれば、やはり何となしにノイズを感じる声で

 

『うん、だってキャロルって慎重に慎重を重ねるはずじゃん、なのに戦力だって整ってない状況で攻めるだなんだっておかしいなって』

 

「気付いてなかったのは私だけということか……」

 

思わず頭を抱えるとジャウカーンがアハハと何が面白かったのか笑い出し、アルアジフも釣られて笑い出す、先程まで殺し合いをしていたとは思えない空気、だがそれに待ったをかけたのはイントゥルーダー、彼女は二度ほど手を鳴らしてから、真剣な瞳で

 

「ほのぼのしてるところ悪いけど、時間はあまりないわよ貴女達」

 

「分かっております、キャロル様、アルアジフ様、これより大事なお話があります」

 

「エルダーブレインか?それとも、アイツが送ってきたハイエンドモデル部隊でも迫ってるか?」

 

キャロルは気付いていた、と言うよりも状況を整理して勘付いたと言うべきだろう、スユーフ達や自分なら問題ないのだがイントゥルーダーは鉄血の素体、いくら廃棄されていたものとは言え、それが動いたとなればエルダーブレインに拾われることは容易に想像できた。

 

彼女たちからの報告を纏めれば、鉄血からハイエンドモデルが3体、内役はトゥーマーンが偵察したところ【エージェント】【ハンター】【エクスキューショナー】距離にしてもうそんなに無いらしい。今までの彼女たちならば何の問題もなく対処できたのだろう、だが今はキャロルを除いた全員がダミーを素体で復活した存在、つまりは

 

「数だけで見れば有利だが、どうだ?」

 

「少々辛いかと思われます、全員が全員。性能がかなり落ち込んでますから」

 

スユーフの言葉通り、今の彼女たちには荷が重いなんてものではない、しかもこの拠点は出入り口として使える場所は

 

『一つ、だよね……あれ、マズイよねコレ』

 

「突破は難しいな、いや、【アレ】が動かせれば或いは?」

 

【アレ】その言葉にイントゥルーダーが反応した、と同時に出入り口の方面から爆発音、それを告げることは一つだけであり、時間は本当に無くなったということ、だからこそ

 

「案内しなさい、起動方法はあたくしが知ってますから」

 

『本当に!?ねぇキャロル、それがあればなんとかなるんでしょ?』

 

「あぁ、恐らくはだが……そうか、お前なら知ってても可笑しくはなかったな」

 

ならば頼むと彼女たちは行動を開始する、その時はキャロルは知らなかった。

 

(ごめんね、キャロル)

 

たった一人の少女が、悲壮な決意をしていたことを




多分そんなに長くならないと思いたい。
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