それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
様々なバタバタを繰り広げたあの襲撃、彼女等はこれを【エルダーブレイン襲撃事件】と題することにしたその事件の事後処理はまだ終わっていなかったりする。基地の修繕、ナデシコの復旧、本社へ送り報告書の作成、兎も角まだバタバタとしている最中、唐突にナガンが彼女等にこう告げた
「少し、息抜きしに行くが良い」
「へ?いや、突然どうしたのさ」
「お主の顔に余裕がない、そんな状況で仕事してもヘマするだけじゃ、それにMSFの祭りごとも近いしな、それに顔を出してくるが良い」
手は決して休めせずにナガンはユノにそう告げる。確かにMSFのスコーピオンからの電話とD08のシーナ達からその話は聞いていたが今の状況で最高責任者の指揮官が外に出てしまうのはどうなのかと思い聞いてみれば少し驚いた顔をされてから
「ふむ、お主に指揮官としての自覚が此処まで成長してるとは驚きじゃ」
「しれっと馬鹿にされてない?」
「そんな訳ない、まぁ確かにお主の言うことはご尤もじゃが、遊びに行くだけではない、MSFとは繋がりも強化できるいい機会じゃ……まぁ向こうはそんな考えはないだろうけどな」
「うーん……あぁ、でもリベルタちゃんとは久しぶりに会いたいかな、それに会えるかわからないけどスネークさんとも改めて挨拶しなきゃだし」
じゃろ?と得意げな顔のまま書類を整理していくナガン、更に言えば一日彼女が居なくともヴァニラとカリーナ、ジェリコがいれば割と片付けられるので問題ないというのもあり、結局はユノが折れて当初の予定通りにノアと共に彼女等はMSFが主催する【平和の日】なるお祭りに顔を出すことにした……と言うのが少し前のこと、そして今は会場の前線基地に
「美味しい~」
「あぁ、どの屋台もスゲーウメェな」
「本当に……よく食べるな」
満喫していました、来て早々にMSFのスコーピオンとリベルタドールと挨拶を交わしてから彼女の案内の下、屋台を巡っているのだが寄る屋台寄る屋台で彼女、もといユノとノアは美味しそうだとなると
「すみません、これ10個下さい!」
「お、あたしも10個くれ」
この姉妹、遠慮というものは知らないらしい。美味しそうな料理を見れば笑顔のままその個数を注文、見た目食が細そうな少女がそう頼むということで最初こそ食べれるのかという目を向けられたが数件回った頃には、屋台に行けば、前もって用意されてたのかという速度で料理が出されるようになっていた。
これには彼女等は思った以上に人が多いからたくさん作ってるんだろうなぁとしか思ってなかったりするがリベルタドールもといスコーピオンの根回しだったと知るのは多分もっと先だろう。
「にひひ~、美味しいし楽しいねこのお祭り!」
「喜んでもらえて私も嬉しい……ノアは?」
「あ?あぁ、楽しいな。クフェア達も釣れてこれればよかったんだがな……」
「クフェア?」
聞き慣れない名前にリベルタは小首をかしげて聞いてくる、初めて会ったときよりも積極的に会話に参加する彼女にユノは思わずほほ笑みを浮かべてしまう、がすぐに引っ込める、これじゃまるで友ではなく娘と思っているようだと。
違う違う、彼女は友達だと頭を振ってから屋台を見て回っていると彼女等の前方の人たちが急に道を開いていく、何事かと思っているとノアの耳が独特、と言う程独特ではないが此処らへんでは聞くことはない声、具体的には
「グルルル……」
「ん?」
その声に彼女等も視線を向ければそこに居たのはMSFの97式、そして……虎、そう、虎である。何度見ても誰が見てもこう答えるだろう、虎だと。
これには彼女等も驚く、となれば良かったのだがユノは虎というものを知らなかった、故に猫耳を見て、風貌を見て、そしてその唸り声を聞いて、彼女は即座に断定。
「大きい猫だね~」
「え?」
「……虎じゃねぇのか?まぁ虎も猫も変わんねぇか」
「え!?いや、随分と変わると思うんだが……」
抜けてる姉妹のやり取りに動揺するリベルタドール、だが彼女等からすれば猫に見えるので猫なのだ、まぁ流石に許可も無く触ろうとするほど無粋ではないし、更に言えば飼い主と思われる97式に挨拶もしてないのでと、先ずは二人は向き直り
「初めまして、S09P基地の指揮官をしてますユノ・ヴァルターです」
「S09P基地【独自遊撃部隊】隊長、ノアだ。一応コイツの妹ってことになってる」
独自遊撃部隊、あの襲撃の後に彼女自らが提案した部隊、有事の際に基地に取り付かれる前に迎撃することを目的とした遊撃部隊、なのだがノアの機動力に追いつける人員がまだ存在しないので実質彼女だけの部隊となっている。
では何で名乗ったのか、凄く単純である、少しカッコつけたかっただけという話である。
「あ、初めまして97式です。この娘は『蘭々』可愛い子でしょ?」
「うん、良い子だって分かるよ。あの、触って大丈夫かな?」
勿論、と言われれば少し慎重に手を伸ばして蘭々に触れれば、飼い主である彼女が許可を出したからなので取りあえずは触らしてくれた、滑らかで柔らかい毛並みの触り心地、きちんとブラッシングされていることはよく分かる。
ノアも続くように触れば、感動して声を上げる。その光景を見てリベルタドールはただ一言
「この姉妹、もしかして凄い肝が座っているんじゃないか……?」
端的に言えば彼女の言う通り、座りすぎてる感まではある。この間の襲撃事件で更にその辺りが成長してしまったという事も否定はできない。
だがその行動が97式の心を開いたと言うべきだろうか、その後も彼女も含めて屋台を周りながら雑談を重ね、ただやはりその食欲には驚かれた模様。
暫く屋台を楽しんでいると今度はリベルタドールがバンドの時間だと案内すればそこにはB基地のガンスミスやD08地区の面々の姿もあり、挨拶を交わしてから始まったライブを楽しむ、途中ユノが口ずさむもやはり微妙にズレている音程にノアは呆れ、リベルタドールはそれでも綺麗な声だと褒める。
最後には大きな打ち上げ花火が上がれば、初めて見るそれに二人は
「おぉ!!凄い、綺麗」
「ハナビってのか、いや、スゲーな……あぁ」
「喜んでくれて嬉しい……今日は、本当に楽しかったよ」
「私もだよリベルタ、へへ、忘れられない思い出になるよ」
「あたしもだ、またしかし、ミラーとスネークだっけか、あの二人タダもんじゃねぇな……」
こうしてMSF主催の平和の日は幕を閉じる、楽しい思い出を胸に、翌日からまた忙しくなる日々を迎えるのであった。
コレでいい?大丈夫?許される?って感じですが、すみませんでした!!!
さぁて、明日からどうすっかなぁ……それと独自遊撃部隊にカタカナ表記ほしいな、なんて名前にしよう。
あ、あと今日はキャロルちゃんの紹介資料も上げときますね!