それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
今回は【NTK】様の作品【人形達を守るモノ】からDG小隊が今回の基地の被害状況の再調査にやってきたゾイ。
ナデシコの修繕と改修、ラボの修繕、通信設備を始めとする基地施設の修繕、今作戦の人員の被害報告、更に言えばここまでの大規模戦闘は初とも言えるので医療品も少なからずの消耗による補給リストの作成、等などで後始末に追われる彼女等に一つの通信が入る、誰だろうと出てみれば映像が繋がり相手はヘリアン、また何か問題でも起きたか、将又キャロルの情報かと思えば
「被害の再調査、ですか?」
《あぁ、以前行ったのだが上層部は改めて、しかも他の人員で行なえ、とな》
「ふむ、考えられるにお主らでは優遇が入ってるのではないか、と言う所じゃな?」
ナガンの皮肉が混じった言葉にヘリアンは溜息を吐いてから肯定する、コレに関しては彼女等もある程度の想定は出来ていた。そもそもにしてこの基地は対鉄血早期警戒レーダーと言う役割があるというのに観測できずに奇襲、此処まで痛手を負った。
しかも今回の襲撃では少ない数だが他の基地にも鉄血が向かったらしいのだがナデシコはそれどころではなく、通信妨害も受けていたので報告ができずに向こうはてんやわんやで被害が出ている場所もあるとのこと、つまりは
「仕事ができなかった基地に、そこまでの優遇処置など話が通るか、と言う筋書きじゃろうな」
《馬鹿げている、と言いたいが……》
「でも、結果だけを見ればその通りではあります……悔しいけど、今回は私達の完敗ですから」
ギュッと握る拳に力が入る、今回ははっきり言えば運に助けられた、アーキテクトが前もって色々仕込んでなければ、あの場面でエルダーブレインが現れて無ければ、そしてキャロルの中にある姉の意思が無ければ、間違いなくもっと酷い被害になっていたと断言できる。
自身の慢心が産んだ被害が今回のものだ、ユノは今もそう考え、戒めにするほどである。そしてその彼女の様子にヘリアンは少し驚いたのと感動が混ざった顔で見つめてから、またすぐにいつもの表情に戻し今回の査察の日時等などを軽く話し、今はと言えば、その今回の査察に来た【DG小隊】の面々と挨拶を済ませて基地の被害を直接見てもらうために案内をしていた。
バタバタとこの基地にしては珍しいレベルで慌ただしい基地の中、当時のことを書類と口頭で説明しながら移動しているのだが途中で副隊長のS&M M500こと【スミス】が一言
「この被害状況で上層部は難癖つけたのか……」
「見ただけでも酷い被害なのは分かります、何を考えて……」
「どうせ、禄でもねぇ考えだろ?」
それに続いてSCAR-Hこと【ウェイター】MP5Kこと【レスト】も続いて言葉を出していく、此処まで見ただけでもヘリアン達の報告と差異は無い、だと言うのに難癖をつけたというのが些か納得行かないらしいがナガンは一つ笑ってから
「呵々、向こうは被害状況が少しでもヘリアン達からの物と違い軽ければそこから攻めたいと言う所じゃろうて」
「実際、そこから今回のナデシコの脆弱性などを突かれたら少し辛いって考えてる……はぁ、私がもうちょっとしっかりしてれば防げたはずなのに」
明らかに気落ちしているユノにDG小隊の面々もどう声を掛けたものかと考えてしまうが、我に返ったユノが一つ謝ってからまた案内を再開し、だいたい半分を見終わった所で、ふと前が騒がしい、と言うよりも何か言い争っているような声が聞こえ何事かと歩を早めれば
「もう、ペーシャさんからも言われてるでしょ、もう少し経過観察が必要だって!しかもまだ左側が見辛いんでしょ!?」
「少しだけだって、もう大体見えるからコレくらいなら問題ないっての、少し心配が過ぎんぞ」
「私はノアのこと思ってって、あっ」
「あ?あぁ、面倒くさいのに見つかっちまった……」
言い争っていたのはノアとクフェア、襲撃後に生成した左目をペーシャに見てもらったのだがどうやら普通に眼として機能しているらしいのだが、まだ完璧には適合していないらしく現在のノアの左の視力だけは遠くが軽くぼやけて見えるレベルに落ち込んでいるらしい。
だと言うのに彼女は基地の修繕の手伝いにでるというのでクフェアが止めている、と言うのが先程の場面らしい。それを聞いてしまった以上、指揮官という立場であるユノは
「駄目、きちんと適合するまで安静にしてて」
「だから平気だっての!って、誰だそいつら?」
「初対面にその口ぶりは止せと言ってるじゃろう……すまぬな、コヤツも色々訳ありでな」
とナガンが謝れば向こうも大丈夫だと答えてくれ、それから二人は自己紹介をするのだが、そこでDG小隊の9A-91こと【ノア】が反応した、まさか自分と同じ名前が居るとは思ってなかったらしいのでDG小隊として自己紹介をすれば
「へぇ、珍しいこともあんだな。まぁあたしのノアって名前は少し特殊だがな……」
「特殊、ですか?」
向こうの【ノア】がノアにそう聞けば、答えたのは彼女ではなく、DG小隊の保護観察中の鉄血ハイエンドモデル【リバイバー】彼はノアを見てから一言
「【方舟計画】だろ、スペクター」
「……そう呼ぶな、アタシはそれが嫌いだ。たとえ少し前までは喜んで名乗っててもな」
「あっと、悪い。俺はリバイバー、今は保護観察中の身だがよろしくな、ノア」
リバイバーが謝りながら自己紹介をすればまぁ気にしねぇけどとノアは答え【ノア】との会話を始める、流石にこの名で被るというのは彼女としても驚きであり、ついつい会話が弾むのだが、少し続いた所でスゥとノアの隣にクフェアが立つ、なんだ?と聞いてみるが
「いえ、何でも無いですけど?」
その声に誰もが気付いた、これは嫉妬していると。コレには【ノア】もあぁと眼を泳がせながらノアを見れば、彼女の様子に鈍感ではないノアはすぐに察してから、ポンッとクフェアの頭に手をおいて
「何嫉妬してんだオメェ」
「し、してないです」
「……はぁ、アタシがオメェ以外に靡く奴だって思ってんのか?」
「思ってるわけないじゃないですか!」
何いちゃつき始めてんだこの二人とナガンは引きつった顔で思う、因みにユノは特に何も思ってはおらず、スミスに此処まででなにか質問などはあるかと仕事に励んでいたりする。
「なぁ、流れるようにいちゃつき始めたんだが?」
「すまぬ、ほれ、どうであれノアは安静しておること、では基地の案内の続きと行くのじゃ」
査察を再開した背後でえぇとノアの声が聞こえたが直後にペーシャに見つかって説教される模様、ともかくその後は特に何もなく査察を終えて、DG小隊は別れの挨拶をしてから本社に戻っていった。
「……ふぅ、大丈夫、だよね?」
「あやつらがああ言ってたのじゃ、問題あるまいて。さぁ、仕事を再開じゃ」
「ドローンとかのお陰で作業効率は上がりそうだね、後必要なのは……」
この基地がいつもの平穏を取り戻すにはまだ少し掛かりそうである。因みに今回の査察で渋っていた上層部の一部はぐうの音も出ないほどに黙らされ修繕費は無事降ろされた模様、また何かあったら恩を返さなきゃねとユノは思ったのであった。
正直に言えば、上層部の考えは分からんでもないと言うね。ナデシコの謳い文句を徹底的に潰されて他にも被害出ましたならまぁこうなるかなはある。
まぁだからナデシコもユノっちも徹底強化入るんですけどね!!
それはそれとして、スミスさん達を上手く書けた気がしないすまぬ……スマヌ……私の実力不足でそちらのノアちゃんもそんなに書けず本当に申し訳ないです……