それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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サブタイだけで未来が見える見える


なんだっていい、記事にして仕上げるチャンスだ!!

カタカタとキーボードの叩く音、少ししてからハァと溜息が聴こえ、そしてまたキーボードを叩く音が再開される。

 

ここは情報部、またの名を広報室では基地の規模に対して少ないと言われてもおかしくない人数である3人【FMG-9】と【G17】と【MDR】が各々作業を進めているのだが

 

「……あの、部長?」

 

「言わんとしてることは分かりますが口を動かす前に手を動かして下さい」

 

「そうです、まだ私達は負けたというわけではありません、えぇ、一週間も貰ったのですから余裕で間に合うはずです」

 

「間に……合う?」

 

現在、広報部は基地掲示板の記事の更新作業の超修羅場を迎えていた、と言うのも本来であれば余裕持って更新できたはずなのだが例の襲撃やら何やらで見事に時間が消し飛び、そして気付けば記 事 発 行 係(ぜったいきょうしゃ)からの無慈悲な締切予告、だが彼女等は抗った。

 

そもそも先月の終わりから事件が多すぎて自分達はそれに徹してたから記事を書く余裕は無かったと、そして帰ってきた言葉は

 

『あ~、確かにそうですわね、じゃあ一週間でお願いしますね』

 

コイツ控えめに言って悪魔かもしれない。情報部全員の心が一つになった瞬間であった、だが彼女から締め切りの延長を貰えただけでも大勝利と言える彼女たちはそれ以上の反論が出来るわけもなく、今こうして作業に追われているのである。

 

だがMDRはある種現実が見えていた、正直に言って間に合うのかコレと

 

「なぁに、最悪デスマーチだ、仲良く死地に行こう、なぁMDR?」

 

「大丈夫ですよ、此処にはPK手製の眠気覚まし薬もありますから、4徹くらいなら余裕でこなせますよ、ふふっ」

 

「ヒエッ……」

 

ガンギマリ掛けた部長ことFMG-9と副部長のG17の鬼気迫る声に思わず怯えた声を出してしまったMDRはコレ以上の会話は危険だと作業に集中する、が誰か空気入れ替えてくれないかなぁとかも思ったりもすれば女神が微笑んだのか、それともあまりに哀れで手を差し伸べたのか、この修羅場と化した広報室の扉が遠慮気味に開かれ、誰かと見てみればヴァルター家の末っ子であり、基地においてのお手伝いさんという形に収まっているシャフトの姿

 

「し、失礼します」

 

「シャフト?いや、え、どうしたのその服?」

 

MDRが困惑した理由、それは彼女の服装だった。いつものきっちり着ているこの基地のAS Valとしての服装、ではなくて何故かクラシックメイドドレス、しかも妙に様になっており、少々控えめなその表情と態度が合わさり、もし此処に57やAR-15、またはオフ状態のヴァニラが居たら危なかっただろうなぁと思ってしまうほどに似合っていた。

 

が、そもそもにして何故かクラシックメイドドレス姿なのか、これにはMDRもだがFMG-9もG17も手を一旦止めて考えてしまうのだが代表して一番近かったMDRが聞いてみれば

 

「あ、いえ、その……着てみたかったのでG36さんに伝えたら喜んで出してくれて、えっと、コーヒー淹れましょうか?」

 

あのメイド、急にネタになるようなことしてんじゃないよと作業を再開したFMG-9は思いつつも、キチッと記事を急速に纏め上げていく、兎にも角にも今はネタを埋めたいのであり、受けが良さそうならば尚の事記事にするに決まっている。

 

しかし本当に様になってるなぁとコーヒーを淹れているシャフトの姿を見て思うMDR、だがふと様になってるというか動き良すぎないかとも疑問に思い始め、そしてそれは彼女が淹れたコーヒーを全員が飲んだ時に更に大きな疑問へと昇華した。

 

「ど、どうでしょうか?やっぱりマスターさんのほうが美味しいですよね……」

 

「いえ、大変美味しいです、寧ろそれでびっくりして言葉を失ってただけです、これは独学で?」

 

そう、美味しい、確かにマスターのスプリングフィールドと比べれば劣るかもしれない、だがそれでもあのカフェで出されたとしても普通に通るだろうし、何だったらお金を出して飲んでもいいと思えるほどの味。

 

聞けば、それは一度か二度聞いただけであとは自分で復習してこの腕まで上達したと言うのだから広報室は驚きに包まれる。

 

「ですが確かにシャフトは飲み込みが良いかもしれませんよね、確かネゲブも似たような事を言ってたような気がします」

 

「うぅん美味しいし目が覚める、シャフト、これから此処で専属のアシスタントにならない?勿論報酬は出すよ~」

 

「何言ってるんですかMDR、彼女はネゲブのサポーターなんですから、横取りしたら彼女に怒られますよ」

 

それは確かに嫌だなとMDRが笑いながらさり気なくコーヒーをお代りを要求すればシャフトは好評だったのが嬉しかったようでニコっと言う笑みを浮かべながら

 

「はい、すぐに淹れますね!」

 

「……あれよね、AR-15が稀によく浄化されて廊下に転がってるの見ててさ、何やってんだこのエリート人形とか思ったけど、これはノーマルな私でも浄化されますね」

 

「貴女までそっちに言ったら広報部どころか基地から叩き出しますからね、止めてくださいよこれ以上は」

 

冗談かどうか判断に迷う声でそんな事をつぶやいたG17にFMG-9がマジトーンで返す、因みに今のをもしAR-15、及び57が受けたとしたらその日一日は綺麗なままで過ごしてくれることは間違いない。

 

しかもそこに今回は新人で慣れてないメイドさん風味な格好が合わされば、上記の二人ならば3日は綺麗なままかもしれない、何だったらそのまま浄化されて消えるまである、と彼女等を何だと思っているんだという事を考えるFMG-9は彼女に許可を取ってから自身のカメラで作業中のシャフトを一枚。

 

「ふむ、これを記事にしてみましょうかね……あぁ、親御さんにも許可の確認取らないと」

 

「え?え、コレ記事になるんですか?」

 

「それ良いですね、あとはノアが深夜に例の少女の霊に出会って悲鳴を上げたことでも書きますか?」

 

「ついでにわーちゃんもその場にいた事書きましょう、これは今年一番の受けになりますね!!」

 

シャフトの存在に何かが壊れた情報部の面々はあれだこれだと記事の内容を決めとてつもない速さで纏めていくのだがその内容を聞いてしまっていたメイド、シャフトちゃんはただ一言

 

「それ、怒られませんか?あの、皆さん?」

 

彼女の言葉は、翌日に現実になりWA2000とノアに追いかけ回される三人が目撃され、メイドシャフトの写真を見たAR-15と57が半日浄化された模様。




という事で久しぶりの情報部メインでした、コイツラ日常になるとだいたい追いかけ回されてんな

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