それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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暗闇、それは彼女にとっては慣れ親しんでしまったもの


夜の司令部

22時半、カリカリと自室にて勉強をしていた指揮官、ふと思い出した。そういえば執務室に今日読んでしまおうと思ってた資料を忘れてきたことを

 

別段、明日の朝一に読めば良いのだがその暇が絶対にあるという保証がないので今日読んでおきたい、それと常に一本は常備してあるペットボトルの水が今日に限って無くなってたので食堂の冷蔵庫から取りに行かないとなぁと言うのも同時に思い出した

 

(執務室行ってから食堂に行って、あれ逆のほうが良いかな?まぁいいや、早く行こ)

 

若干冷えてきた夜、机の引き出しから執務室の鍵を取り出してストールを肩から羽織り扉を開ければ最低限の灯りを残して消灯されてる廊下は真っ暗闇が続いていた

 

本来であれば懐中電灯の一つでもなければ進めない程の暗さ、だが指揮官は部屋から出てじっと動かず暗闇を見て、少しすると歩を進め始める、まるで日中と同じに見えてるように

 

何より指揮官の顔が何となしに楽しんでいるようにも見える、この暗闇に怯えることすら無くまるで懐かしむような雰囲気すら感じる

 

暫く歩いていると彼女の視界に赤い光が写る、と本来ならばそれだけしか見えないはずなのだが指揮官はやはり普通に見えてるように二人いると判別して

 

「あれ、今日の警備【イングラム】ちゃんと【P08】ちゃんだったんだ」

 

「おや、指揮官。こんな夜中に出歩いてどうしたのですか?」

 

「指揮官?夜更かしですか、良くないですねぇ」

 

指揮官の声に先ず反応したのはイングラムの隣りにいたP08、遅れてイングラムも反応する。この基地では屋内と外の夜間警備時には必ずハンドガンの戦術人形を一人着ける事になっており、外には四組、屋内には二組となっている

 

少々少ないと思われそうだがそれ以外にも指揮官の知らない所で裏組が色々と網を張っているのでこれくらいの警備で間に合っている

 

「夜更かしじゃないよ、ただ執務室に忘れ物したの思い出してね。あと食堂にも水取りに行こうって」

 

「なるほど、ですが先程まで勉強でもしてましたか?眼鏡付けっぱなしですよ」

 

「うぇ?あ、本当だ」

 

「うっかりですねぇ、まぁそういう事なら私達も着いていくべきでしょう、P08」

 

「そうですね、我々がお供します」

 

じゃあ、行こうかと指揮官はまたいつもの歩調で歩き出す、その後ろを二人も付いていくがその迷いのない歩きにP08が疑問に思う

 

いくら最低限の明かりがあると言っても自分たちの様なハンドガンタイプの戦術人形でも無ければ人間のはずの指揮官が懐中電灯もなしのこの暗闇を迷いなく、そして躓く様子もなく歩けるのかと

 

「指揮官、一つ宜しいでしょうか」

 

「ん?なにP08ちゃん」

 

「暗闇の中を動くことに慣れてるのでしょうか?」

 

「うん、慣れてるよ」

 

P08の問にそう答え、懐かしむように目を少しだけ閉じて昔話()を少しだけ、しかも笑い話のように語り出した

 

後に彼女らは言う、知らなくて良いことが世の中にあるとすればきっと指揮官の過去だろうと

 

「此処に来る前よりもうちょっと前かな、お世話になってた所で私に与えられたのが真っ暗な部屋だったんだよね。んで家事やお手伝いの時だけ外に出て終わったらその部屋に戻ってって生活でお蔭でほんの少しの光で暗闇に目を慣らすことが得意になったんだよ」

 

「……え、いや、それは」

 

「駄目だP08、安直に首を突っ込んだら戻れなくなるよ」

 

電気も点けてもらえなくて今思えば不親切だよねぇといつもの、そう、何時もの緩い笑顔で語る指揮官。明らかにそれは隔離されてただけだとP08は思わずそう言いかけた時、イングラムがそれを片手で止める、その目は何よりも悲しそうな目だった

 

イングラムには視えた、笑い話のように話す指揮官の表情に一瞬だけ深い陰が、だからこそ正義感の塊に近い同僚が首を突っ込み帰ってこれなくなることを警戒しての行動だった

 

「ですが……こんなの」

 

「だからだ、ただ聞いただけでこれだ、もっと深入りしたらどうなるか分からないよ」

 

長らくイングラムとコンビを組んでいたP08、だがその彼女でも今のイングラムの顔は見たことがなかった、真剣でだけど同情してるようにも見えて怒っているようにも見えるその顔を見れば指揮官に自分の言葉を言おうとは思えなかった

 

下がったP08を見てイングラムも表情をいつもの無表情な感じに戻る、そこで後ろの二人が突然静かになったのを感じた指揮官が振り向き

 

「何かあった?」

 

「いえ、何も、そういえば先に執務室ですか?」

 

「食堂のほうが良いわ、それなら執務室から戻るだけで済む」

 

ならそれで行こうかと食堂に向かう、その足取りは軽い、彼女にとって今のはもう本当に笑い話なのだから話した所で暗くなる必要がないのだ

 

イングラムはそっと笑う、一瞬だけ深い陰を見た時に彼女は更に奥まで見てしまった、ポッカリと空いたほんの数センチの心の穴を

 

(指揮官の底抜けに明るい心、だけど奥深く一点だけ何よりも暗い穴がある。孤独なのね貴女も、だけど戦術人形(わたしたち)が繋いでるのね)

 

強いものはいつだって孤独、だけど弱いものには孤独は耐えれない、なら支えないとねぇ。ケタケタと笑いながら彼女は指揮官の背中を見つめ、隣の同僚はどうしたんだ突然という顔をしていた




何で指揮官に闇を追加する必要があったんですか?(正論)

おかしい、この小説は『どるふろ!』くらいな日常を書いていくつもりだったのに気付いたら『しれいぶくらし!』くらいの日常になっているぞ……?

あとイングラムさんが人の陰とか闇に敏感少女になってしまって本当に申し訳ない(メタルマン並感)

リアル司令部 SVD来ました
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