それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
イブ深夜のP基地、ユノとクリミナは帰らず、警備係の者達以外はパーティーを楽しみに楽しんで寝静まっている時間帯、その屋上に彼女は居た。
真っ赤な衣装に真っ赤な帽子、背負う袋には沢山の物資が入っているのか膨れているのが確認できる。それなりの重量だとは思うのだが背負っている人物【UMP9】は顔色一つ変えずに耳元に手を当ててから
「こちら9、屋上にて準備を終えたよ、聴こえてる?」
《こちら45、えぇ良好よ。そこまで行くのに誰にもバレてはないわね》
「勿論だよ!それでここからどうすればいいの?」
《今回の任務は指揮官から。内容はルピナス達にプレゼントを上げること、正しこれはサンタクロースからとして、つまりは……》
「潜入任務ってことだね……自分達の基地なのに潜入任務ってのも、不思議な話だよね」
彼女たちが請け負った内容は今の通り、事の始まりはユノがクリスマス・イブ2日前ほどにルピナスからサンタクロースに会ったことあるんだよねって言われたことが始まりだった。
確かに会ったことはあるが夢の内容だし曖昧な記憶しかないと伝えれば、じゃあやっぱり居ないのかなとなったのでどうにか出来ないかなと相談され、ならば誰にも悟られずにプレゼントをあげてみましょうとなり今に至る、因みに彼女たちが欲しい物のリサーチはユノとクリミナ、そしてナガンにも協力してもらい把握済みである。
ただ今回の任務は一筋縄では行かないだろう、相手はあの基地のそこら中に罠という罠を張り巡らせるルピナス、そして忘れがちだが暗殺者としての適性がとんでもなく高いステアー、更には人の気配にかなり敏感なシャフトの三人娘が相手なのだから。
《良い?決して存在は悟られては駄目よ、それは彼女たちだけじゃない、基地の誰にもって意味だから》
「わぁお無茶振り~、ここの練度の高さ知ってて言ってる45姉?」
《馬鹿ね、知ってて尚、9なら行けると思ってるから言ってるのよ。さて、そろそろ始めるわよ、作戦行動中だけど互いにコードネームで呼ぶことにするわ、9、貴女は言わずもがな【サンタクロース】》
捻りも何も無いね!と素直に返してくるUMP9にあのねぇと思いながら次に自分のコードネームを
《私はそうね【ミステリアス】とでも呼んでくれればいいわ、周波数は140.85よ、それと今回は二人の協力者も用意してるわ》
「え、誰々?」
《一人は【ミス・パーフェクト】基地の罠に関してアドバイスを貰えるから有効に使って周波数は148.41だから、もう一人は【ミス・スリープ】……まぁ話せば気は紛れるんじゃないかしら、こっちの周波数は145.73ね》
それって居ても居なくても変わらないってことだよね!と言うかメンバーがいつもの四人じゃん!とニコニコ笑顔のままUMP9は思いながら彼女はよいしょとプレゼントが詰まった袋を背負い直して
「こちらサンタクロース、これより【プレゼントフォーユー】作戦を開始するよ」
そんなやり取りがあった翌日、一度ペルシカのラボに向かってから素体を戻してもらい帰ってきたユノとクリミナを出迎えたのはキラキラ笑顔のルピナス達、見れば前に聞いた時に欲しいと言っていた物を抱えており、それを見た二人は
「ただいま、それはどうしたの?」
「サンタ、サンタさんが来たのよお母さん!!」
「はい、朝起きたら枕元に、ビックリです、気配も何も感じませんでした!」
「大きなクマさん、運ぶの大変だったと思います……でも私も何も感じなくて、驚きました」
「あらあら、良かったですわね」
心から驚き、そして嬉しそうな娘たちを見てこちらも嬉しくなるヴァルター夫婦、だが次の彼女たちの質問で二人は固まることになる、二人は後に思う、子供ってこういう時って鋭いと言うか、察しやすいのかなと
「で、お母さんとお父さんは昨日外で泊まったけど、何かあったの?」
「……えっと~、ちょっと私がついつい呑んじゃってね?それで寝落ちしちゃってさ、ね?」
「そ、そうですわね。もう、度数軽いから平気なんて言いながら呑むから驚きましたわ」
「ふぅん、おかあさんは弱いのにまた呑んじゃったのですか」
ステアーの鋭い視線が二人に刺さる、彼女は、いや、ルピナスだってこれが嘘だと気付いている、クリミナが側に居たのならば間違いなく止めるはずだと思っているから、それはシャフトも例外ではなく、更に言えば今朝にノアを見つけたのだが妙に疲れてたなと思い出してから
一気に顔を真っ赤に染めた、シャフト、末っ子という立ち位置だがその手の知識に置いては過去の境遇もあり三人娘の中で一番進んでいる少女である、ませているとも言えるかもしれない。
(ま、ままま、まさか、え、でもそうだとしたら、あわわわわわ)
「シャフト?どうしたのよ急に慌てて」
「へ!?あ、な、なんでも無いよ?!えっと、ほ、ほら、お母さん達疲れてない?きょ、今日も基地でパーティーあるから、休んだほうが良いと思います!」
その気遣いが、両親にはとてもとても突き刺さった、それを表情に表さずにほほえみありがとうと言えたのはある意味快挙ではあるだし、実際クリミナは兎も角ユノは若干疲れている部分もあったので二人は一旦自室へと戻っていった。
自室に戻ったユノとクリミナはふぅと一息ついてから通信機に手を掛けて繋げる、その相手は
「あ、9ちゃん?昨日はありがとうね」
《ふふん、45姉達のフォローがあれば楽勝だよ~、でもまぁシャフトちゃんが一瞬起きた時は焦ったけどね~》
《あの娘、本当に気配に敏感ね、奥の手のステルス迷彩まで投入したのにバレかけた時は驚愕したわ》
《と言うよりもルピナスはそこかしこに罠仕掛けてるのどうにかならない、まさか侵入経路全てに初見殺し配備とか聞いてないわよ》
上からUMP9、UMP45、416、最後の協力者であるはずのG11は既に寝ているので通信は繋がっていない。彼女たちは前夜のプレゼントフォーユー作戦を行った者達、結果だけで言えば先程のルピナス達の反応が答えであり見事作戦は遂行できたのだが単独潜入に関してはUMP45やウェルロッドよりも能力が高いと言われるUMP9を持ってしても中々の難しさだったということらしい。
《でもまぁ、今朝見たときの笑顔が見れたから私としては最高な気分だけどね~、暗殺だけじゃ気が滅入っちゃうし、自分のスキルをこういう事に使えるのは本当に良いと思ってるよ!》
通信の先、UMP9は輝いた笑顔でそう答えるのであった。
ちょっと待って?クリスマスじゃないやん!となりそうですがまぁほら、うん、イブで書きすぎてクリスマスネタが微妙に浮かばなかったのよね、スマヌス
本当だったらクリミナとノアのやり取りとか書きたかったけどまぁ、書いてないけどしてると思うよ!