それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
12月は31日、本日は今年最後の日である大晦日、となれば前々から語ってはいたが張り切るのは一〇〇式を筆頭とした日本組であり今は夕食に出すための年越しそばの蕎麦を打っている最中である。
だが今年は彼女たちだけではなく万能アイドルであるスリーピースとなんか最近そんなアイドルに対抗意識を燃やし始めたメイド長ことG36、スペシャリストなら当然出来るわよと飛び火からの闘志を燃やしたネゲブにお母さんに美味しい蕎麦を打つわよ!とやる気十分のルピナス、ステアー、シャフト、そんな彼女たちの手伝いとしてクリミナ、ノアに美味しいものを用意するんだと同じくらいにやる気十分のクフェア、となればユノも居るのかと思えば
「って言うわけで台所から追い出されたのです」
「なるほどのぉ、まぁ良いのではいのか?偶には家族に甘えるとよいのじゃ」
彼女は現在、食堂のテーブルにてナガンの隣の席に座り雑談をしていた、元々は彼女も打つ側になるつもりだったのだがルピナス達が前述の通りやる気満々で今日はお母さんは座ってて!と言われれば無下にも出来ずにと引き下がって彼女たちが作る年越しそばを待っているということになっている。
それにと彼女はテーブルに設置されていた急須から湯呑へとお茶を淹れ、ナガンのどうぞと渡してから
「最近ほら、おばあちゃんとこうやって会話ってお仕事以外だと無かった気がするから丁度いいなって」
「ふむ、言われると確かにそういう時間は減ったような気がしないでもないのぉ、まぁお主にはクリミナ達という家族が出来たのじゃ、それが自然ではなかろうか?」
「何言ってるのさ、おばあちゃんだって私の大事な家族だよ、勿論、基地の皆もだけどさ、おばあちゃんはもっと特別だよ」
嬉しいこと言ってくれるのぉとお茶を飲みながら嬉しそうに笑う、最近では確かに会話の時間は以前よりも少し減った、無論それでも十二分な時間の会話はしているのだがそれでもユノにとっては寂しく思うくらいには時間が取れてなかったなと感じたらしい。
対してナガンもそれには気付いていた、だがそれは彼女が自分離れを少しずつ始めていると解釈、寂しさを覚えないかと言えば嘘にはなるが仕方のないことだと思っていたのだが
「やはり、お主の祖母離れはまだまだかのぉ」
「もう、またそれを言うの?どんなに大事な人ができたり家族が出来てもおばあちゃんはおばあちゃん、掛け替えのない大切な存在なんだよ?」
「呵々、この人形誑しめ、わしじゃなければコロッと行きそうな声と顔でそんな言葉吐きおってからに」
私結構真面目なんだけど!?そんな彼女の反論もナガンには面白いのか呵々とまた笑い、ふぅと息を吐いてからこの一年起きたことを電脳で思い出しながらユノと語り合う、レイラの脳と人格を宿しこの基地を今年早々に危機に陥れたイントゥルーダーから始まりユノとクリミナの基地総出で招待客まで呼んだ結婚式もあった。
このまま平和な日々が、なんて思っていた矢先に起きたのは指揮官の暗殺未遂事件、あれには流石のナガンも修羅となるレベルであり、今に思えば暗部のタガが外れかけてしまったのもこの事件からだったなと反省混じりにお茶を飲む
「何が驚きと言えば、これが今年始まってから半年も経たずに起きたことってことじゃよなぁ」
「にゃはは、確かに一気に起きたよね……」
当時を思い出してか、ユノは刺された脇腹をそっと手を添える、やはりと言うべきか跡は残ってしまっている。ともかくその暗殺未遂事件を乗り越えたと思えば、今度はユノ自身がクローンだったというまた基地を揺るがす新事実が発覚、アーキテクト、ペルシカ、そしてD08地区のドリーマー達が手を組んで彼女を救おうと行動したおかげで
「お主はデカくなったよなぁ、じゃがお陰で将来に怯える必要がなくなったとも言えるか」
「にしし、感謝してもしきれないよ本当に」
もしあの繋がりがなければ計画はもっと難航してただろうし、アーキテクトとゲーガーが鉄血のドリーマーの根城に乗り込んででも資料を手に入れようとし大怪我を負ってた未来があったかもしれない、だがそんな未来は訪れずに彼女は無事に治療が施されて今の姿になった。
ここでユノの事は一旦落ち着くも今度はヴァニラの過去とFMG-9の秘密が明かされ、次には当時はまだスペクターと名乗っていたノアの襲撃
「思えばお主関連で忙しくなり始めたのはここからじゃったな」
「でもお陰でノアちゃんと出会えたし、私も色々な事ができるようになったよ?」
「それで危うくまた死にそうになったんじゃが?」
返す言葉もないですとジト目のナガンに答え気まずそうにお茶をすする、ノアの説得の時も一歩間違えてたら死んでた、彼女を引き込んでから暫くしてナデシコの運用を初めて早々に当時はまだダミーブレインだったキャロルの襲撃でまた死にかけた。
ナデシコ、ユノがS地区全てを監視するために用意された設備、だがそこから皮切りに始まったのはダミーブレインことキャロルとの戦い。
「キャロルちゃんの時はもっと大変だったよね……」
「うむ、この基地始まって以来の事態じゃったな。基地もめちゃくちゃにされた、それどころかS09地区全体に被害が及んだからな」
だがお陰で自分の眼は絶対ではないということを思い知ることが出来た、だから彼女は次はないと心に誓っている、今回は運が良すぎたんだと。
思い返せば返すほど、一年で起きたとは思えない濃さに二人は疲れた感じに息を吐く、なんと言うべきか
「この基地、お祓い受けたほうがいいのかな」
「いやぁ、もう個人個人で受けるべきじゃろこれ」
だがこの基地の一年は騒動だけではない、勿論だが出会いもあった、様々な繋がり、何かあれば助けになってくれて、逆に向こうに何かあれば迷いなく助けに入ろうと言える絆とも言える数々の出会いが。
一つ一つを思い返し、無意識にそっとお腹に手を当てて擦る仕草をする、まだ決まったことではない、でも
(来年、だよね)
「なんじゃ腹なぞ擦って、まさかあれか、冷えたか?」
「え?あ、あぁ、大丈夫、寧ろ私って腹痛って体験したこと無いんだよね」
確かにそうじゃなと今気づいたとばかりの呟きが不思議と可笑しかったユノはまた笑う、突如笑われたナガンは偶にこやつのツボが分からんのじゃと呆れ気味に言いつつ
「ま、来年は平和であれば……いや、もうこの際だから誰一人欠けること無く今日を迎えられれば良いのじゃ」
「そうだね、でも今年よりは平穏な日々が長く続いて欲しいなぁ」
二人がそう締めくくったタイミングでルピナス達が作った年越しそばが運ばれてきて、全員が食べ始める前にユノは今年の締めの挨拶を行う、きっと来年も困難なことがあるだろう、だけど誰一人欠けること無く今日を迎えようと先程のナガンとの会話をまるっと使ったような言葉を述べてから
「また来年も宜しくね皆!」
さぁ、新たな年を迎えよう!
今年の最後はやっぱり指揮官とおばあちゃんで締めくくろうってね!
という事でこれが今年最後の投稿となります、お陰様で一年間日刊と言う快挙を成し遂げられました、来年の抱負は唯一つ
『日刊二年目狙います』
ではまた来年、1月1日にお会いしましょう!!皆様、良いお年を!