それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
約束通り、保護観察が解除されたとは言え自分から基本的には外に出たりはしないのがキャロルという少女であり、毎日を基地内で過ごすような彼女は今日も今日とてラボにて資料を整理しているとふとその手が止まり、思案するように顎に手を当てる。
(保護観察が解けたのならば外には出れるんだよな……)
「どうしたんキャロりん、何か新しいものでも思い付いた?」
「それもなくはないがそうではない……ふむ、少し暇をもらうぞアーキテクト」
それだけを言い彼女はアーキテクトの返事も聞かずにラボを出て目的の人物がいそうな場所へと足を運べば予想通りそこに彼女たち、ユノ達を発見、暇そうなのも確認してから近寄れば先に向こうがキャロルに気付いて
「あ、おはようキャロルちゃん、珍しいねこの時間に出てくるのは」
「そうか?いや、そうかもしれんな、まぁ今はどうでもいい、少し頼み事をしたいのだが大丈夫か?」
「これはまた、珍しいですわね」
クリミナが驚く側でユノも聞けることならと頷く、二人が驚くのも無理はない、この基地に来てから彼女が誰か、特にユノ達に頼み事をという話は今日が初めてというレベルなのだ。
なので出来る限りは聞きたいがキャロルからの頼み事ってどんなのだろうかと想像がつかないので若干緊張していると彼女はその頼み事を口にすれば、ふふっと誰かの笑う声がしてから
「なんだ、可笑しいこと頼んだか俺は?」
「いやいや、そうじゃなくて、キャロルちゃんってやっぱり義理堅い娘なんだなぁって」
「義理堅い、のか?すまん、その辺りは良く分からん、がまぁお前が言うのならそうなのだろう、で頼めるか?」
「勿論、丁度新年の挨拶をって思ってたしノアちゃんの定期診断も今日だったからそれで行こうって話をシーナちゃん達に通信をして終わったばかりだったからね」
定期診断?その言葉にキャロルは疑問に思ってから直ぐに自己解決させる、そう言えばラボの資料にそんな項目のページが有ったなと、此処でもできるのに何故態々向こうまで言ってるのだろうかと不思議に思ってもいたのでその確認も出来るとなれば丁度いい所でこの話を持ってこれたかと自身の運の良さに少し嬉しくなった。
だが直ぐには動けない、本当ならばもうノアが来てもおかしくないのだがまだ来ないのだ、何かあったのだろうかとユノも心配になり通信を入れようという所でパタパタと駆けてくる足音とともに現れたのは、ノア。なのだがその表情はどことなく不安そうな感じであり、どことなく落ち着かない感じ、やはり何かあったのかとユノが聞いてみれば
「いや、その、クフェアがな」
「クフェア、ですか?どうかなさいましたか彼女が」
「なんか、調子が悪いみたいでさ……」
声のトーンがヤバいレベルで落ち込んでいるノア、聞けば深刻なほどではなく本当に少しだけ調子悪いと言う感じなのだがこの基地に来てから初めてのことでありノアは不安で仕方がないらしい。
それでもクフェアはノアが今日が定期診断の日だと知ってるので言ってきて大丈夫だと告げて、更に言えばSOCOMがノアが帰ってくるまでは付きっ切りで側に居てくれるらしいので大丈夫だとは思うがよと言った所で
「やっぱり、そこまで不安がらなくて大丈夫ですよ」
「く、クフェア!?おま、安静にしてろって!」
ギュッと不安がるノアを背後から抱きしめたのはクフェア、服装も普段のであり顔色も悪い感じは見られない、どうやら彼女が見たその時だけの調子の悪さだったらしい、今回彼女が着いていかないのは念の為であり、別段動けないからとかいうのではないとユノに伝えてから
「シーナさん達に今年もよろしくおねがいしますって伝えて下さい」
「了解!じゃあクリミナ、運転お願いね」
「えぇ、では行ってまいりますね」
「何かあったら直ぐにソーコムに言えよ」
「やれやれ、出掛ける前から慌ただしいな……」
最後のキャロルの呟きにクフェアを追ってきたSOCOMはにっこり笑いながら大事な人が調子が悪いってだけでも不安になるものなのよと答えればそういうものかと納得してクリミナの車【DBS V12】乗車して、ノアは何時も通りに空からスタンバイしてから彼女たちは目的地である【D08地区】へと走り出すのであった。
……と言うのが数十分前の出来事である、特にコレっと言った事もなく、最近はこの辺で野盗がという話も聞いていたのだがそれらも無くはなかったが小規模だったのでノアが蹴散らして目的地に到着、車を降りてから診断に行く前に挨拶をしようかと事前に今回は通信して来てくれと言われている【CafeD08】の扉を開ければ、流石に二度目の来店となれば向こうは慣れはするので彼女たちはそこまで驚くことはなかった。
なかったのだがやはり同じ顔が三人そこに揃っているという光景は少し衝撃ではあったらしい、がユノ達はそこまで気にしないで
「えっと、新年あけましておめでとうございます?」
「何で疑問形なんだよ、まぁ今年もよろしくな」
「あぁ、そう言えばキャロルが来るということは言っておりませんでしたね」
「はじめまして、と云うのもおかしな話だがあの時は名乗ってなかったからな『俺』は【キャロル・エストレーヤ】だ、今は妹たちの基地に居候している」
まず第一に『俺』と言う一人称にシーナ達から温かい視線が送られる、俺が一人称な人形は居るのでそこで驚かれたと言うよりは少女チックな服装から繰り出されたというのが衝撃として大きかったのだろう。
次に妹たちのと言う部分でユノとノアがは?と言う感じに視線を送る、無論キャロルが気にするわけもなく、ノアも診断が有るのでとドリーマーの所に向かったのでそこでは何もなかったのだが、戻ってきたから何時も通りにカフェにて食事をするのだが
「待て、待て!コレどれが一人前だ!?」
「え、コレだけど?」
「食べれないからな俺は!?」
魂の叫びをキャロルがする側で食わないなら、食べないならとそれすらも平らげようとする妹達に引き攣った表情で見てからシーナ達を見つめて
「……いつも、妹達が申し訳ない」
「いや、まぁ、本当に美味しそうに食べてくれるから作ってるこちらとしても楽しいから良いんだけど」
「あとしれっと配膳姿で混ざっているドリーマーに俺はどう反応してやればいい?」
キャロル・エストレーヤ、まだまだP基地とその周りに染まりきっていない成長途中の少女、この一日だけで分かったのはこの世界はまだまだ本当に広いということと
(今度からは妹達の繋がりで出会う者達には俺は少食だということは先に伝えておこう)
この日彼女が食べたのはあの日食べたサンドイッチとコーンポタージュスープだけである。
因みに端折られてるし圧縮しすぎてるけどクフェアのこととか、近況報告などもキチッとしてるよ!
……まぁ中身とかは好きに書いて!!!(土下座)