それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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だから何でアイドルがそこまでやってるんだよ


おこめおこめこめ

シャッシャッシャッと言う米を研ぐ音がしてから水が捨てられ、また水をボールに淹れ数度手でかき混ぜてから水を再度捨てる、これを数度繰り返す、別に水が透明になるまでやる必要はない。

 

数度研いたお米は今度は態々どこから用意したのか羽釜に移されてから専用のかまどへとセットされ、次に行うのは事前に用意してあった焚きつけと薪を井形に窯の中で組んで置いていき組み終えてから火を付ける。

 

「おぉ……」

 

本日の主役の少女の感嘆の声が漏れる、がまだまだ完成でも何でも無いので作業をしているP38は真剣の表情を崩さないまま火の様子を見つめ、広がってきたのを見計らってから薪を追加で焚べ、また暫く様子を見つめる。

 

火は弱すぎてはお米は上手に炊けず、また強すぎてもそれは失敗となる、丁度、本当に丁度の火加減と炊き具合を見定めなければならない、額に流れる一筋に汗も気にせずに羽釜と火を注意して見つめ、必要であれば火の調整を加えていく

 

「所で、一応電子ジャー有るんだけど」

 

「リーダーは羽釜で炊いたのを彼女に食べさせてあげたいと断言してたので」

 

いやまぁその気持ちはわかるけどと呟くのは64式自、見れば一〇〇式と62式もその場には居るのだがお米を炊くと言う行為に感動したのは彼女たちではない、というより彼女たちは既にお米を羽釜で炊くというのは去年行っているので今更感動も何もない、アイドルを自称している彼女がやってることには驚いているが。

 

では先程の感嘆の声は誰か、それは羽釜を見つめる一人の少女である、見てくれは言われなければ人形というよりも日本において居たと言われる女子高生を模した服装、これまたその年頃の少女らしい髪に炊いているP38の姿をスマホで録画するという徹底した女子高生的なムーブを繰り出しているのは数日前に配属された新たなAR戦術人形、その名も【89式5.56mm小銃】あの64式自よりも更に後継機の日本で使われていた銃の名を持つ人形である。

 

元気一杯、特に何かに偏見を持ったりはせずに寛容的に接し、更に言えばお米が何よりも大好き……なのだがそこで今回態々P38が羽釜でお米を炊いている理由になっている、と言うのも彼女、お米が大好きと公言はしているのだが

 

「でも、食べたこと無いんですよね」

 

その一言でP38の眼に炎が宿った、だったら食べさせてあげましょう!と数日を使いお米を用意、因みにコレは食糧難に対してどうにか収穫までの時間を短くしつつ味も普通レベルまでの品種は出来ないかという本社からのそれはもう素晴らしい無茶振りにPKとスリーピースが合同で品種改良を、そしてアーキテクトと88式が遺伝子組み換えまで施して更には栽培専用の設備まで用意して二ヶ月から三ヶ月で作れるようにしたお米の試作品である。

 

なので言ってしまえば試食会でもあったりする、一応スリーピースが事前に一度炊いて食べてみたのだがその時は口を揃えて、普通と答えた、寧ろその期間で普通の味だから凄いのではとナガンが驚いたとか何とか。兎も角、そのお米を今こうして炊いているのだ

 

火を付けてから10分ちょいが経過したくらいで羽釜の蓋と釜の間から泡が吹きこぼれ始める、が此処で慌てて蓋を取ってはいけない、慌てず騒がず薪を取り出しておき火という状況にしてから30分ほどお米を蒸らす、此処まで来れば一息つけるとP38は額の汗を手ぬぐいて拭き取り、時間になってから羽釜の蓋を開けば

 

「おぉ~!!!これが、これがお米!」

 

「はい、この基地にて品種改良を行った品種【ぬくもり】です、収穫期間の短縮がメインだったので味は平凡と言った感じですがそれでも満足させることは出来ると思います、では早速食事としましょうか、実はお味噌汁も用意してあるんです」

 

「へへーん、どうでしょ、美味しく出来ましたよ~」

 

時間ぴったりに完成させてきたPP-90達にサムズアップをしてから釜のお米を丁寧にほぐしていき、それからそれぞれの茶碗によそっていく、一〇〇式に62式に式自に、そして遂に89式にも渡されたのだが彼女は茶碗に盛られた白米を見つめ言葉を失うほどに感動する。

 

自分はお米が好きだと【設定】されてはいたが実物は見たことも食べたこともなかった、だが今それがこうして目の前にある、設定されたから好きなのもあるかもしれない、だが、だが

 

(お米、これが本物の白米!)

 

キラキラしていた、一粒一粒がしっかりと輝いているように彼女には見え、両手で持っていないと落としてしまいそうだとすら思うほどに今震えていた。

 

だが見てるだけでは冷めてしまう、食べるのも勿体無いがそれ以上に冷たくなっては更に勿体無いと踏ん切りをつけて利き手に箸を持ち、ゆっくりと茶碗の白米に箸を沈めて掬い、また感動に声が上がりそうになる。

 

「あ、い、いただきます」

 

感動しすぎて食事前の挨拶を忘れるなんてと思いながら、挨拶をしてから掬った白米を口へと運び……涙が溢れ、だが彼女は涙を拭くことは出来なかった、それよりもお米の、ご飯の味に、感触に、口に含んだ瞬間に広がったその全てに感動していた。

 

同時にこれがお米なんだと理解した、もう自分は言葉だけで好きだという存在ではなくなったのだと、そして何より今自分は設定だけで好きではなく、口にして、噛み締めて、味わって、飲み込んで、心からお米が好きだと言える物に変わった

 

「美味しい!!!」

 

何が普通の味だ、これは高級な味に違いない、89式はその美味しいという言葉を皮切りにモリモリと食べ進める、幸いにも釜にはまだご飯は存在していて先輩たちとも言える一〇〇式達がどうぞと言えば、迷いなくP38に茶碗を差し出してお代わりを要求。

 

対してP38もその様子を見て嬉しそうに頷いてから空になった彼女の茶碗にご飯を持って手渡せば、感謝の言葉を告げてからまた味わいながら食べ進める、途中お味噌汁も飲めばそれもまた美味しいものであり、白米と丁度いい感じにマッチする味で更にご飯を食べる速度が上がっていく。

 

気付けば彼女一人でほぼ全てを平らげていた、これにはいくらどうぞと言われてたとは言え食べ過ぎたと謝れば

 

「ふふっ、良いんですよ、最初から貴女に美味しく食べてもらおうと思って炊いたんですからね」

 

「大成功だねリーダー!」

 

「良い食べっぷりでした、見てるほうが気持ちよく慣れるくらいです」

 

「ホントホント、良かったら他の野菜とか果物も食べてってよ、色々あるんだから」

 

その言葉に感謝を告げつつ、今度は自分が皆の役に立てることをしなくちゃと決意した、後に彼女は開発部門に配属されることになる。

 

「主任、こんなの作ってみました、【おてつだいちゃん】を改良してその場でお米を炊けるように!」

 

「それの、利点は?」

 

「ご飯が何時でも食べれる!」

 

「ハッハッハッハッ!いいね~【ハキュー】、それをベースに色々作ってみようか」

 

彼女も88式と同じく発明家な部分があるようで、唯少々、変なもとい面白い発明品が多いらしいがそれでもそこからアーキテクトや88式が発展させ役立つ物に変わるので彼女の存在は無くてはならないものになるのに時間は要らなかった模様。




89式ちゃん登場である、因みに正月の初製造で引き当てました、重傷絵がエッチィ、エッチくない?

てかサラッととんでもない品種のお米作ってるなこの基地。
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