それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

526 / 794
久しぶりの登場かもしれんな


プロジェクト・スチェッキンさん

商人というものは常に顧客が必要としているものを貪欲に探り、必要とあれば自らの手で開発することも辞さない者だったりする。

 

それはP基地所属のスチェッキンだって変わりはない、本日彼女は本社への仕入れのために訪れて搬入を終えてから少し時間があるな~と本社をぶらついていた時、その会話が耳を捕らえた。

 

「仕方ないんだけど、レーションもう少し美味しくなったりしないかな」

 

「確かに美味しくなったら嬉しいけど……」

 

キランと彼女の眼が光ったのを目の前の職員が若干ビビっていたのは彼女が気にするわけもなく、スチェッキンは即座に電脳の中で案をいくつも張り巡らす。レーションと言うのは基本的に長持ちすることを第一として次にエネルギー補給が優先されており味は二の次三の次の代物。

 

しかも人形用の物となればそれは瑞著に現れてしまう、なので彼女たちの言葉は非常にうなずけるものがあった、P基地も長期任務の隊員はレーションを食べるし、スチェッキンも長期的な遠征商売や搬送任務となると長持ちで持ち運びが用意なレーション等になるのだが正直に言えば味はよろしくない。

 

(だけどそれを覆したものが出来ればコレは間違いなく儲けになる、しかも保存が長く効いて味もいいレーションを人形用だけではなく人間も食べれるものを開発できたとすれば)

 

基地に備蓄しておけば万が一基地で籠城戦となった時にユノ達が食に困ることはなくなるし、もしそうじゃなくても街などに卸せばそれはそれで利益につながる、いや、もっと言えばと彼女はガンガンと、だが長らく商人として働き磨かれた勘で出せる利益を計算し、ポンッと手を叩いた。

 

それはつまり、出せると判断したのだ。無論、基地に戻りどの程度のものが、数はどのくらいの量産が出来るのかという会議を細かくしなければならないので卓上理論の域はまだ出ていないがもし成功しそうならば、唯でさえそこまで困っていない資金繰りは更に安泰になる物になるとスチェッキンは一人満足気に頷いてから、早速基地に戻って話をしないとなと帰路を急ぐのであった。

 

「って事なんだけど、どうかな?」

 

「レーションの改良品ねぇ、確かに出来て量産できれば基地としては助かるとは思うけど」

 

「でも面白い企画ではありますよね、、保存食というものはあっても困りませんから」

 

会議室、そこにスチェッキンの声で集められたのは開発部門と料理を得意とする人形達と差も当たり前の様に席に座って楽しげに会議に参加しているスリーピースの面々。

 

ホワイトボードに書かれているのはレーション改良、または新開発について、まず初めにスチェッキンが今回の計画の意図を集まったメンバーに説明すれば上記のネゲブとPP-90の反応であり他のメンバーもそこまで変わりない好感触な反応を見せた後、ディスカッションが始まり、様々な案が出し合いながら、これは、あれはと話し合いが滞り無く進んでいく様子にスチェッキンは

 

(うしうし、思った以上に皆が積極的で助かるよ……でもこの調子だと基地にそれ用のラインでも作ってもらわないと商品にする数は揃うのは厳しいかも?)

 

そう考え、基地の図面を投影機に映して使えそうな空間を探してみるがあまり大掛かりなものは通るか分からないしなぁと考えてから、あとでアーキテクトに頼み込んで小型の製造機を作ってもらい、一室を改造しそこに配備、後は材料などを入れて生産するのが現実かもしれないと結論づけて、また目の前の会議に視線を戻せば

 

「クッキーとかって結構、保存効きますよね」

 

「だがあれは持ち運びという点では弱いだろう、いや、そこを克服できれば」

 

「乾パンみたいな感じにしてみます?それともエナジーバーみたいなの?あっ、ブロック状のやつとかどう!?」

 

「それでも良いかもしれませんがレーションそのモノの味も並行して改善すればお菓子っぽいのはちょっとという方にも受けるかもしれません、それはスリーピースとネゲブとG36でやってみましょう」

 

お、なんか私要らないくらいに盛り上がってんなコレと驚きながら彼女たちが出していく案を一つ一つ電脳と紙に纏めていき、それから十分だと言うまで時間をとって会議を続けて、最後に議長ではあるスチェッキンがトントンと纏めた資料を整えてから

 

「いやぁ、今日だけでまさか開発案まで出してくれるとは思わなかったよ~」

 

「思った以上に盛り上がったからね、ただこれから開発だから、商品が形になるまではもう少し時間は貰うと思うわよ?」

 

「時間に関しては期限は設けないよ~、でも成功の暁には君たちにもきちんと報酬は出すよ、その時になったらまた集まってもらって話し合いになると思うけど」

 

「それ聞いたらアーキテクト様も張り切るってもんよ!……まぁ、料理とかに関してはてんで弱いんですけどね、あたし」

 

「だったら、任務先でも食事で役立つ開発品でも作るとかどうでしょうか主任」

 

「89式さんが前に作ったご飯が炊ける【おてつだいちゃん】あれ、改良すれば出来そうじゃありませんか?」

 

こんな具合にまた盛り上がり始める会議室、スチェッキンはそれを聞きながらとりあえず指揮官達にコレ提出してきちゃうね~と断りを入れてからそこを出て執務室に向かい、ユノとナガンに今回の話を事細かにしてみれば

 

「レーションって、そんなに酷い味なの?」

 

「む?まぁそうじゃの、好んでは食べたくはないが戦場で手早くエネルギー補給がと言う物じゃからな、正直な話、味なぞ気にしてはおらんかったわ」

 

「何とも副官らしいお言葉だね、でも他の人形達はそうじゃないし、戦っているのは人形だけじゃなく人間もだ、そして人間は戦 術 人 形(わたしたち)と違って味覚を切るなんて荒業は出来ない、ならば味が良いほうが現場からは好評を得ることが出来て、士気も上がる」

 

「そして士気が上がると分かれば噂となり、求める者が増え利益につながる、と言いたいのか?」

 

ナガンの言葉にスチェッキンはにっしっしと態とらしい笑い声を上げ、それが答えだと言葉にしないで伝えれば、ナガンは苦笑し、ユノは

 

「うーん、でもあまり噂になったらヘリアンさん辺りから色々言われない?」

 

「およ、指揮官から珍しい指摘、でもそこもちゃんと考えてるさ、その段階になったらレシピをグリフィンのレーションなどを作ってる部門に売り込むのさ……あとはまぁ、そういうことだよ」

 

何処までも抜かりなく。この基地のスチェッキンを言い表すとすればこうだろう、だがこの計画はまだ始まったばかり、試作品だってまだ形になっていないので時間は掛かるだろうが、それでも彼女の眼には自信と確信があった。

 

間違いなくこれは成功すると、今度は二人に気付かれないように静かに笑みを浮かべるのであった。




書いてて思ったけど、この世界線そういやMSF居るからレーション競争不利では?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。