それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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妊婦二人の一幕


何だかんだでバックアップは万全である

悪阻、と言うものは何も嘔吐だけが症状ではない、全身の倦怠感があったり、食事の好みが変化したりも悪阻の症状であり、正し嘔吐や吐き気に関しては母体に対して体内に胎児のための領域・スペースを作るという働きもあるため嘔吐感を抑えてしまうのは良くない。

 

つまりは悪阻というものは辛いが必要な症状である、と仰々しく書いては見たものの当の本人、ユノはと言うと今日も今日とて執務室で業務を行っていた、これにはナガンも大丈夫なのかとPPSh-41に聞いてみたがまだ大丈夫とのこと、流石に産前6週間前は止めるとの事だし、以上が出た場合は即座に安静にすることを条件には加えられているが。

 

「それにしても、ナデシコ以外でこうしてお仕事するのは久しぶりかもしれない」

 

「確かにな、呵々この際じゃ、丁度良い羽休めだと思うのもよかろう」

 

現在、ナデシコに関してはキャロルが担当することになっている、これはPPSh-41からの指示であり電脳空間との接続が胎児にどの程度の影響を与えてしまうかが全く分からないので出来ることならば出産まではナデシコでの業務にユノを使うのは止めてくれとの事をキャロルに話してみれば

 

『ならば俺が担当してやる、調整さえされれば十全に扱えるはずだろうからな』

 

と何とも頼もしい言葉で彼女は進んでナデシコでの業務を買って出て今日までまだなにか問題が会ったという報告が上がっていない、と言うよりも何やらS地区の指揮官の間でキャロル派とユノ派という派閥ができているらしいと営業を終えて帰ってきたスチェッキンの言葉に何がどうしてとなったとか。

 

それにしてもとナガンは黙々と作業を進めるユノを見て思う、悪阻が起きた初日はそれはもう大丈夫なのかと思うくらいにダウンしていた彼女だが今ではそんな素振りを見せずに仕事をする姿に安心して良いのかと思いたくなってしまうが悪阻というものは大体16週くらいまでは続くものと聞いているので

 

「……大丈夫か?」

 

「もう、平気だってば、まぁ少し怠いって感じはしないでもないけど……あ、ごめんちょっと!!??」

 

急に立ち上がったと思えばナガンの返事は聞かずに執務室に備え付けられた台所の影に消えて、まぁつまりはそういうことである。因みに陰にはアーキテクトがPPSh-41が二人のためにと共同開発した吐瀉物を自動で清掃、分解を行う【スイーパードッグMK2】が待機していたりする。

 

(むぅ、あまり聞くなとペーシャに釘を刺されていたというのに……)

 

ついつい心配になってしまい、そして聞いてしまう。このやり取りをやる度にナガンは反省してしまう、あまり彼女にストレスを掛けてはならないというのも彼女の反省に拍車をかけてしまっているのだろう。

 

その後もユノは悪阻に若干振り回されながらも業務を進めていくのだが、時同じく医務室では

 

「ど、どうですか?」

 

「数値に異常は見られませんね、なにかクフェアさんで気づいた異変などは?」

 

「悪阻以外には特に、ただちょっと倦怠感が強いかなとは思いますけど」

 

人形の妊娠はユノとは違い十月十日、ではなく大凡5~6ヶ月で出産になるため、クフェアは現状では週に一度くらいの感覚で検診を受けることになっていたでそれを受けている、ユノの方は月に一度、期間が進めばクフェアと同じ様に週に一度くらいになるらしい。

 

兎も角PPSh-41とSOCOM、リベロールはクフェアから話を聞き、その都度それはこうで、あれはこうでと彼女が安心できるような説明を挟んでいく、こうすることで彼女の心理的負担を軽減すると同時に、何か数値だけではわからない異常にいち早く着付けるような体制を整えているのだ。

 

「倦怠感も悪阻の一つですが、あまり強いとなると……食事は取ってますか?」

 

「はい、ただそんなにしないで戻しちゃいます」

 

「もしかして出来たてとか食べてないかしら?匂いや湯気っていうのも実は悪阻の症状を強くしがちなのよ、だから食べたいもの全てを一度冷蔵庫とかで冷やしたりしてから食べるとスンナリ食べれたりするわ」

 

一応、ペルシカから送られてきている胎児が育つに必要な養分が詰まったカプセルを飲んではいるが母体の方は食事で体調を整えるしか無い、なのだが悪阻のお陰でそれも中々上手くいかなかったようでそれが悪阻とは別の強い倦怠感に繋がっていたようだ。

 

なのでSOCOMがそうアドバイスを送れば、なるほどと手持ちのメモ帳に書き記していくクフェア、彼女、と言うよりもユノもなのだが、妊娠が分かってから何度もD08の面々にも通信を取り、PPSh-41にも妊娠中の心得等を聞いてはこうしてメモを取りようになって、そこにはビッシリと事細かに様々なことが書かれ、毎日のように読み返しているらしい。

 

「ふふっ、順調にお母さんになる準備は整ってるみたいね」

 

「でもまだまだです、これからもっと大変になると思いますから……でも大丈夫です、こんなに心強い人たちが居ますし」

 

「ノアちゃんも居るからね~、そう言えばあの娘は今日は?何だか哨戒とは違う感じだったけど」

 

妙に着込んでたなとSOCOMがクフェアに聞いてみればどうやらL03地区に諜報活動に向かったMDRが当初の予想通り見つかり迎えを待っているのでとノアが向かったらしい、これには部長のFMG-9はただ一言

 

「いや、思ったよりも早かったですね。まぁ諜報活動で呑気にお湯沸かしてカップ麺食べてたって聞いた時は何やってんだアイツってなりましたけど、いや、教えたはずですけどね、諜報活動だって」

 

割と辛辣にバサッと切り捨ててた。まぁ帰ってくる頃には彼女は諜報活動舐めてましたとFMG-9に教えを請う姿が目撃されてたので向こうで絞られたんだろうなぁと遠巻きに見ていたノアは思うのであった。

 

こうして妊婦二人の日常は最後に二人の報告会、と言うなの雑談で終わり、部屋でパートナーと会話をしてからゆったりと身体を休め一日を終える、と言うサイクルが出来上がりつつあり、ノアとクリミナも自分たちはどうあるべきか、と言う相談会をしていたりと各々が動きを見せている。

 

《そうか、やはり正規軍には傍受されてたか》

 

その日の深夜、ナガンは密談室の通信機からペルシカに一日前に合同訓練でやってきたS04地区の指揮官、【アレクサンドラ・プーシキナ】からの伝えられた内容を伝えていけば上記の反応、どうやら彼女自身も16Labを使ったとしても完璧に隠せるとは思っていなかったようだ。

 

「この通信もそうだと考えるべきじゃろうな、幸いにまだグリフィンの者達にはわしらが伝えた以外には漏れてはいなさそうじゃが」

 

《時間の問題だろうね、分かった、こっちからも正規軍へのアプローチは止めておこう……ところでだけど》

 

「なんじゃ?」

 

《あ~、いや、今度二人に少し顔を出しに行ってもいいかなって》

 

声が彼女らしくない遠慮した感じにそれにナガンは溜息を吐く、なんで母親になってから弱腰なんじゃと思いながら向こうとしては下手に接触しすぎて妊娠のことが漏れるのを恐れているのだろうと同時に理解は出来るので仕方がないかと考えながら

 

「好きに来るが良い、お主はもうアヤツの母親なのじゃからな、日付が決まったら教えてくれ迎えを出そう」

 

《あぁすまない、あとノアは》

 

変わらずじゃよと伝えれば、今度は向こうからどうしたものかという溜息が漏れるのであった。




ユノ 基本的に執務室で負担が少ない書類整理などに留め現在はナデシコの運用はキャロルに変わってもらっている、執務室以外では娘組が側にいて有事に備えていたりする。

クフェア 基地でのネゲブの手伝いは一時中断、側には描写されなかったがG36やシャフトが何かあっても良いように控えていたりする。

正直、暫くは二人はコレでデフォだからどう書いたものか……

因みに最後の話は『スツーカ』様の作品『指揮官とG3がお送りするドルフロ銃解説』の最新話でのお話です!周りも心強くて感謝しか無いんだよなぁ

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