それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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命を賭けてまで彼女が届けたかったもの


お届け物はなんですか?

独立遊撃部隊、ランページゴーストが帰還したと同時くらいに正門前に着いたユノとナガン、それとPPSh-41と、ストレッチャーを運んできたSOCOMとリベロールも来ていた、どうやら保護したAN-94の状態から即座に医務室で治療を施す必要があると判断した416からの通信が送られていたらしい。また人形の事となればヴァニラも来ており、装甲戦闘車の後方ハッチが開かれると同時にPPSh-41達がストレッチャーに乗せるために向かえば

 

「これは、ヴァニラさん直ぐに修復準備を、SOCOMは検査の準備を!」

 

「了解、アーキテクト達にも通信を入れておくわ」

 

「分かったわ、随分と無茶してたようね……あっと、指揮官、貴女は見ないほうが良いわ」

 

へ?と突如止められて驚くユノ、ナガンはそれに何かを勘付いたのかストレッチャーに乗せられたAN-94を見て、確かになと呟く、此処最近すっかり忘れていたし大きな負傷も隣のB基地のナガンM1895の時も彼女が搬送直後の彼女を見ていなかったが、ユノは人形が人間に見えてしまう関係上、損傷も怪我という形に変換されてしまう、そして今のAN-94の状態はそれなりの回数負傷して帰ってきた人形達を出迎えた彼女でもキツいと判断できるものであり、何よりも今の彼女は妊娠しているだから

 

「指揮官が見れば倒れるぞ、処置が終わるまではお主は見んほうが良い。お腹の子にストレスが回るかもしれぬからな」

 

「む、ナガンがそこまで言うってことは相当なんだね、分かった。私はまた特殊戦術室に戻ってるね。あとランページゴーストの皆もお疲れ様、今日は一応待機状態で暫く居てそれからオフにしてくれていいよ」

 

テキパキと指示を飛ばしてからユノはまた基地へと戻っていくのを見てから、ナガンは運ばれていくAN-94を見る、小さなものから大きなものまで様々な種類の怪我、左腕は既に無く、右腕も酷使されて機能停止寸前、外傷だけでもコレなのだ、内部の状態なんて想像も絶するほどに最悪なのだろう彼女。

 

この基地が彼女を発見したのは少し前、ナデシコで業務していたキャロルが偶々外れの此処最近で廃墟となった街の一つに戦術人形の反応とそれを囲むように展開されている鉄血の反応を見つけたからだ、当初は何処かの基地のはぐれかと思われたそれなのだがキャロルに指示で照合を開始したオモイカネの一言で事態が動く

 

《あっれ、未登録?》

 

《何だと?MIA処理されたということか、人形一体を囮に……》

 

《いや、確かにそうなんだけど、ここ最近の抹消じゃないし、この辺りの人形って感じでもないね》

 

オモイカネの報告に眉を顰めるキャロル、それはユノもナガン達も同じであり、だがかと言って見捨てるわけには行かないよねというのがこの基地の指揮官の言葉、ならばヘリ部隊を出そうと言う流れになりかけた所でキャロルがそれならば別の丁度いい奴が居ると言ってから

 

《こちらナデシコ、【ランページゴースト】訓練初日に悪いが貴様らに任務だ》

 

《はぁ?まだ誰が部隊長かすら決めてねぇんだぞ?》

 

《では暫定的にイチイバルを部隊長とする、詳細は……》

 

繋げたのは昨日まで未だ一人だけの部隊だった独立遊撃部隊、そこにキャロルがならば基地で眠っているだけのM1エイブラムス等を利用しようと編成に組み込み【今日が操縦訓練と小隊行動の訓練中だった【ランページゴースト】、早速繋ぎノアに説明すればまぁそういうことならばと言い他のメンバーに伝え、そしてAN-94を救ったあの場面に繋がることになる、因みにカルカノ姉妹が操るCV33の突撃は想定外のプランだった模様。

 

こうして彼女は救助され保護されたのだが、こうして医務室に運び込まれ治療を受けている彼女の姿を見てナガンはある種の確信を持てた、あのAN-94は間違いなくレイラが鍛え上げた彼女だと

 

「しかし、何故お主が今になって」

 

「知り合いですか副官?」

 

「まぁな、いや、すまん詳しく話すのは後にしよう、兎も角今は治療を施してやってくれ、ヴァニラ、どうじゃ?」

 

「正直に言えばよく今日まで動いてたわねって感想、コアはそこまで手を加えられてないけど、ボディ、四肢とか含めた大体のパーツはニコイチ、目も右目は別の人形のを無理やり適合させてるわね、左腕は、多分最近じゃなくて長い間この状態だったんでしょう、若干腐敗が始まってる、このまま修復するくらいならいっそ新規ボディを一つ用意してもらいたいレベルね」

 

では修復はできないのかと聞いてみれば、ヴァニラは出来なくはないけど戦場に出れるレベルに戻すのは厳しいかもしれないと答える、寧ろこの状態からそこまで戻せるだけでも凄いのだがと思いながらとりあえずそれでいいと伝えれば、彼女は了解と作業を開始、ただ彼女の見立てでは今日処置が終わったとしても直ぐには起きることはないだろうとのこと。

 

今日までろくに休息も取れなかったのだろう、メンタルへの負担も限界なんてとうの昔に超えているほどであり、いつクラッシュしてもおかしくなかったらしい、それを聞きナガンは再度

 

「大馬鹿者が、お主に此処まで無茶させるためにレイラは鍛えたわけではなかろうというのに」

 

「もしかしたら、此処まで無茶をしなくちゃいけない事情があったのかもね。ほら、意識を落としてるってのにこっちから開くことが出来ないファイルがこの娘の中に眠ってるのよ」

 

ヴァニラが見せたモニターには確かに操作しても開くことが出来ないファイルが、タイトルはなく、ただウィルス反応はないらしいということしか分からないそれ、しかしこれが彼女が無茶をしていた理由なのだろうというのは受け取れた。

 

「もしや、S地区に来たのは……」

 

「話から見るに副官さんの知り合いなら、貴女にこのファイルの中身を伝えるために此処まで来たってことでしょうね」

 

「此処までボロボロになりながらも伝えたいデータ、良い知らせってことではなさそうですね」

 

「じゃろうな……またパンドラの箱でも開くことになるかもしれぬな」

 

ならまぁ希望があるから良いんじゃないと思わずヴァニラがそう言ってしまうが、その場全員は思っている、希望が最後にあるパンドラの箱だとすれば、解き放たれる厄災は非常に大きいのかもしれないと。

 

AN-94の処置はその日の夕方には終わるもヴァニラとPPSh-41の言葉通り目覚めることはなかった、なので数日はかかるかと思われた翌日

 

「んっ……」

 

予想に反して彼女は目を覚ました。




あれ、AN-94さん参入話がどうしてこんなに複雑なことになっているの……?(事務猫

因みに保護された状態のAN-94さんは言ってしまえばガンダムエクシアリペア

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