それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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さぁ、ごちゃごちゃして参りました


ちゃぶ台返し

AN-94が目覚めた、翌日の午後の業務が始まった直後にPPSh-41から来た報告に二人は驚いた、特に状態を見たナガンは特に驚いており、何かしら無茶をしているのではないかとPPSh-41に検査するように言えば、少しして返ってきたのは

 

《意識レベル正常、受け答えも確かですし、言語システムに異常が出ている感じもありません、驚きかもしれませんが彼女は確かに目覚めてます》

 

「呆れる生命力じゃな、分かった直ぐに向かおう」

 

「私も行くよ、もう行っても大丈夫でしょ?」

 

確かに修復はできる所は全て施しているので今のAN-94の姿を見ても少し前のユノならいざ知らず、現味の彼女ならば特に問題もなく接することが出来るだろう。

 

だがと、ナガンは考える。まだあのAN-94が『味方』だという保証がない、もしかしたら指揮官を暗殺するために態々手の混んだことをして送り込まれたかもしれない存在だという可能性が無きにしもあらず、なので

 

「いや、クリミナを呼んでおく。わしがあやつが完全に安全だと判断できたら呼ぶからそれから来るのじゃ」

 

「警戒しすぎじゃないかな……って、分かってるよ、私に何かあったら、でしょ?」

 

「分かっておるならばよい、ではクリミナと少々待っててくれ」

 

そう告げてから、途中でクリミナに通信を入れて、彼女を執務室に向かわせ、医務室の扉をノックし、応答を聞いてから入れば直ぐの医療用ベッドの上で上半身だけ起こしているAN-94と側で診察をしているPPSh-41とヴァニラ。

 

だがAN-94の姿は今こうしてみても痛々しいものであり、体全体は勿論、顔にも包帯が巻かれておりその下は治りようがない裂傷などが隠れている、だがその姿でも痛がる様子もなく、寧ろ入ってきたナガンを見つめて

 

「ふ、副官、ですか……?」

 

「ほぉ、お主が知っているあの姿とは違うというのに分かるのか【シンデレラ】」

 

「し、シンデレラ?えっと、このAN-94の名前?」

 

突如として出されたその呼び名に周囲は困惑するが、呼ばれた本人であるAN-94は目を見開き、それから彼女の元に向かおうとして体を動かすも側のPPSh-41に押さえつけられる。

 

だがそれでもAN-94は彼女を振り払ってでも動こうとする。

 

「副官、お話が!!あっぐぅ!?カハッ……は、離して、私はこの事を伝えなければならないのです!!」

 

「そんな身体で動けるわけ無いでしょう!!」

 

「ちょちょ、駄目だってばってうわ、副官すぐに来て!!!」

 

「ええい、落ち着け馬鹿者!!」

 

PPSh-41の力だけでは抑えきれないとなればヴァニラも協力するが全く意味がないと判断した彼女が呼べば即座にナガンも駆け寄りAN-94へと一喝すれば向こうもそれで冷静になったのか、ハッとした表情を晒してから直ぐ側のナガンの顔を見て、申し訳ございませんと身体を落ち着かせる。

 

数回の深呼吸の後、AN-94はナガンに顔を向けて

 

「副官、落ち着いて聞いてください。今貴女の指揮官をしている彼女ですが……」

 

「クローンだという話か?だとすればもうネタバレしておるぞ、まさかその情報のためにお主は命を賭したというのか?」

 

だが思えばあれもアーキテクトというグリフィンであることを考えれば特殊な形で仕入れた情報なのでそれを考えると彼女が無理を押してでも伝えに来たというのは理解できなくもない、だがAN-94はそれを聞いて、それもあるがと首を横に振る、いや、確かにナガン達がクローンの事を知っていることも驚きではあったが、そこは氷山の一角だと。

 

だからこそ、AN-94から次に出てきた言葉に場が凍ったのも無理はないだろう。

 

「あの娘は、彼女は……正規軍が計画した衛星軌道兵器【ゲイボルグ】の生体パーツの一つとして生み出された存在、ルーラー計画はそれを隠すために鉄血にやらせたダミーで、そして何より……レイラ指揮官の遺伝子を元に生み出されたその計画のためのデザインベビーなのです」

 

「……は?」

 

ナガンが辛うじて言葉を出せた、周りは突如として出た予想すらしてなかった事実に言葉を失い、その様子にAN-94はあることを思い出して今度は慌てるように声を荒げ

 

「っ!?そうだ、私の中にあるファイル、あれ開いてませんよね!?」

 

「うえっ!?あ、えぇ、かなり高度なロックが掛かってて、それに貴女が伝えたいことだろうって何も触ってないわよ」

 

「良かった……これは開かないでください、開いたら恐らくはアイツラに嗅ぎつけられ、基地を危険に晒すことになりますから」

 

ハァと息を吐いた、だが周りの空気は先ほどの出てきた衛星軌道兵器への疑問、生体パーツとは、そもそもその衛星軌道兵器とは何なのか、疑問は尽きないが何よりも聞きたいのはレイラの遺伝子を元に生み出されたデザインベビーだというあまりに衝撃的な事実。

 

ナガンはずっと彼女がお腹を痛めて生んだ娘だと思っていたし、彼女もそう話していた、確かに父親については一切話しに出てこなかったので彼女はてっきり死に別れたのだろう、そんな風に考えていた。

 

「これが正規軍の総意なのか、それとも一部の者達の計画なのかまでは分かりませんでした、ですがレイラ指揮官は恐らくは善意で遺伝子を提供し出来た子供がそう使われると知って子供を連れ逃げグリフィンに身を寄せた、ですが……」

 

「あの日の誘拐は、嗅ぎつけられ拐われた……?では、アヤツは知りすぎたから殺されたのではなく」

 

「裏切り者の抹殺、でもそれじゃ話がおかしくないかしら、だって指揮官のお母さんは確かに何かしらの情報を握って殺されたはずよね?それに、退役だって話を通したって」

 

ナガンもそう考えているし、Vectorが組織から依頼された内容もそうだと話していた、が今のことを聞けばそれすらただ単に逃げたレイラを殺すためのカバーストーリーだったかもと考えられてしまう。

 

しかし退役に関しては本当だろう、とすればこれは軍の総意ではないということが考えられる、もし総意であるとすればレイラが逃げる素振りを見せた瞬間に殺せば良いのだから

 

「ですが、だとすればどうしてクローンを?」

 

「デザインベビーであるはずの彼女の死は想定外だったのかもしれませんが、その辺りはデータも資料も紛失してました。ともかく……」

 

「生体パーツとかデザインベビーって、何?」

 

声に振り向く全員、その視線に先にはクリミナに支えられながら顔を少し青くしたユノの姿があった。




Q つまり?
A 今まで出てきたユノっちに関連する計画は全てカバーストーリーで、本来は全て一つの衛星軌道兵器計画の生体パーツだったんだよ

レイラが母親ではあるけど実際に産んだんじゃなくてデザインベビー、試験管ベビーとも言える存在だよ。

今、それをユノっちに聞かれたよ。

因みに、もし前の話で無理にでもファイル開いてたらバッドエンドでした。

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