それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
《オイ誰か聞いてるんだろ!?こちらMDR、エリアCで凄い攻撃に晒されてる!!!誰でもいいから援軍をうわわわわっ!?》
「……なぁ、416」
「何よ」
悲鳴に近いMDRの通信を聞きながらM16が銃のマガジンを抜いて残弾を確認し、また刺してコッキングしながら隣で物陰から少しだけ顔を出して様子をうかがっている416に声を掛ける。
対して向こうも気怠げに声を返す、その目は真剣なものではあるのだが声と纏う雰囲気はどうしてこうなったと言葉にしなくても分かる程にM16も苦笑しつつ、率直な疑問をぶつける
「【豆撒き】ってこんな物騒だったっけな」
「……少なくても豆撒き側と鬼側に分かれて豆型ペイント弾を詰めた銃を持たされて撃ち合うものじゃないってのは私でも分かるわね」
「だよな~」
《ステンもっと弾幕張って!!!ってF2000がやられきゃう!?》
《MicroUziさん!?あ、やばっ》
続々と流れては途絶していく仲間たちの通信を聞きながら二人は思う、何がどうすれば豆撒きがこうなるのだろうかと。始まりは今日の朝、本日は節分と去年もやっていたので流石に覚えていた基地の面々はまた恵方巻を食べようと食堂に集まっており、その中には勿論ユノ達も混ざっている。
だが今回はあの齧り付きには参加しない、と言うよりも出来ないと言ったほうが正しいかもしれない、流石に悪阻がまだ落ち着くには先の身体で恵方巻にかぶりついてモグモグは何処で吐き気に襲われるか分かったものではないからだ、なので彼女とクフェアは64式自が気を利かせて用意しておいた切り分けた物を一つずつ食べていくことに、まぁ食べる量に変化はないので相変わらずな皿の恵方巻に驚愕するAN-94、もといアナが居たとか居ないとか。
だが代わりと言っては何だがノアは縁起担ぎの為に齧り付きの方に居た、それに食らいつくのはエロウサギことFive-seven……だったのだが
「違う、違うのよ……」
「んあ?何がちげぇんだよ、にしてもこれはこれで美味いな、おにぎりとはまた違うんだな」
「貴女、そういう体験したことあるでしょうに!!!」
「今理解できたから黙ってやがれエロウサギ!!!」
尚、同じく意味が理解できてしまったクフェアも思わず顔を赤くしながら切り分けた恵方巻を食べていた模様、こうしてワイワイと一日が始まったのだが、今回は去年と違ってもう一つ行事をやろうと一〇〇式が言い出して、それが【豆撒き】
本来であれば炒った豆を鬼は外、福は内と言う掛け声とともに投げて行うそれなのだが
「豆、数は集まらなかったわよ?」
「ですよね……スリーピースの皆さんが栽培を初めたようですがそれもまだ先、でも今年はコレもやっておいたほうが良い気がするのですが」
「なれば、少々形を変えた、そうじゃなグリフィン流みたいな感じの豆撒きを提案するのじゃ」
へ?と日本組が発言者、ナガンを見れば彼女は笑顔を浮かべたまま、此処最近落ち着いた時間が多く戦闘も少なくなったからなとリストアップした面々を呼び出して向かったのは大規模演習場、作ってみたは良いのだが出撃がそれなりにあったので使われてなかったそこを使い
「鬼と豆撒き、二チームに分かれて撃ち合え、ようは模擬戦じゃ」
「この体でなければ私も参加したかった……」
「アナちゃんの身体はアーキテクト達が頑張ってるから暫くは我慢しててだって」
残念です、心からの言葉にもしかして彼女はバトルジャンキーの気があるのではと一部人形が危惧したが遠くない未来に正しい懸念だったと判明するがそれは余談なので今は置いておこう。
ともかく、こうして始まったのが豆撒き模擬戦、そして冒頭の場面に戻るのだが戦況はと言えば鬼側の圧倒的劣勢、と云うのもアニス達四姉妹に全員が思ったよりも苦戦を強いられているからだ
《クッソ、あの四姉妹動き良すぎるし、416のやつは早々に逃げるしグワッ!》
《あぁ、45姉がやられた!》
《落ち着きなさい9、貴女が指揮をしまっ!?》
《SIG!?あいたっ!?》
今しがたUMP姉妹、SIG-510がやられた通信が入りいよいよ鬼側の残存戦力が危険区域に来たことを知りあ~あと少々投げやりになるM16、因みにG11は戦闘前に現実からリタイアしているので既に居ない、これにはUMP45もニッコリ(半ギレ)
「アニス達が思ったよりも強い、コレが誤算だった」
「全くよ、お陰で他のメンバーも引っ張られて張り切って、結果このザマ、残ってるのは?」
「聞きたいか?《こちらMDR、増援は!?ねぇ増援はどうしたんだよオイ!ギャアアアあああ!!???》今二人になった」
「笑うしか無いわね」
ハハハッと乾いた笑いを零す416に笑いたいのは私もだと同じく乾いた笑いを返す、元々ルピナスとステアーの二人が屋内特化な戦闘能力を保持してるのにそこにアニス達が加わればぶっちゃければ勝てる要素なんて無くなるのだ、それでも此処まで粘れたのは自分たちとしては良くやったと言いたいほどである。
参ったなと胸ポケから箱を取り出してスッと一本取り出して口に加えるがそれを見ていた416が
「禁煙よ、と言うか何吸おうとしてるのよ」
「バァカ、ココアシュガレットだっての、最近なんか口に加えてないと落ち着かなくてな」
「完全に中毒出てるじゃない、まぁ強くは言わないけど将来考えたらタバコは止めるべきね」
何でだよと言いかけたあぁと向こうがそう言ってきた理由を察する、ユノとクフェアである。勿論、二人の前とか建物内で吸うつもりなんて一切ないが将来的に生まれ、成長すれば屋上にも来るだろう、それで自分たちがタバコを吸ってましたで煙を吸わせてしまうのはマズイ。
と考えれば確かになとM16は納得してから
「善処する、いや、流石にスパッとは止めるのは難しいからな」
「ま、その時間帯は屋上には近づけないとかすれば良いんでしょうけどね……さて、M16そろそろ来るわよ」
チラッとサイド物陰から覗いた彼女が聞いたのは複数人の足音、更に気配もそれ以上に感じたので何名かは隠密で動いている。
残存は自分とM16、大して相手はヴァルター家の長女と次女、と最後の通信ではアニスとディアナが残ってるとか、とすれば他の面々は何とか撃退したのだろう、中々に優秀な味方たちだったとM16はココアシュガレットを加えながらニヤリと笑みを浮かべて
「そういや、イベリスが良いお酒を仕入れたとか言ってたな」
「良いこと聞いたわ、生きて帰って呑みに行くわよ」
「へへ、お前が冗談に乗るなんてな、まぁ酒は本当だが」
互いに最後にもう一度弾倉を確認、刺し直してからコッキング、それから構えて一呼吸、視線を合わせてから一つ頷き
「行くぞぉぉぉぉぉ!!!」
「Sieg Heil!!!」
突撃を敢行した二人の顔は任務中宜しくなほどの獰猛な笑みを浮かべていた……
二人の勇気が勝利をもぎ取ると信じて!!(勝てるとは言っていない)
この基地のM16と416は割と仲が良い感じ、でも酒は飲ますな